シャルル、ついにDランク冒険者なのでっす!
ここは王都の冒険者ギルド。
「はい、ニガヨモギが十本、薬草を三十本、ピピンの実五個、全て良質の品ですね。納品ありがとうございます。では……こちら、報奨金です。相変わらず、クリスティさんの品物は査定で全てA評価です。本当に他の冒険者にも見習ってほしいです」
「へへへ。私は採取専門ですから。報奨金の上乗せ、有難いでっす!」
私、シャルル・クリスティは「それでもなかなかこんなに綺麗な品はないんですよ」と言われながら、銀貨と銅貨を受けとった。
「では。クリスティさん、今回のこの採取クエストで、Dランク昇格条件を満たしました!おめでとうございます!こちら新しいDランクのギルドカードです!」
「有難ございまっす!やったやった!!ついにDランクになれました!!」
私が新しいギルドカードを受け取ると、近くにいる冒険者がダンっと足を鳴らしたり、ガンガンと盾を鳴らしたり、パンっと手を叩いたりとお祝いを示してくれた。
「おめでとう」
「Dか。シャルル、採取で?凄いな」
「ああ、採取のシャルルか。Dに?やるなあ」
口々にお祝いを言われ、私は「有難う、ありがとうございます、どもども、恐縮です、今後ともよろしくお願いしまっす!」と言いながら、新しいカードを高く上にあげると皆に見せびらかした。
「ははは、シャルル、リンゴやるよ」
「おれは上級傷薬だ。これからもがんばれよ」
「じゃあ、私は、この採取バサミをあげるわ。丁度新しいの、買ったけど、これも良い品よ」
「わあ!皆さん!遠慮なくいただきまっす!これからも、新・D級冒険者のシャルル・クリスティをよろしくお願いしまっす!」
「はっはは」
「いいぞいいぞ」
「よし、今日はシャルルのお祝いだな」
皆は勝手にお祝いを初めだした。
私の手にはキラキラと光る銅色のシンプルなカード。決して上位ランクのカードではないけれど、私にはとても綺麗に光って見えた。
「クリスティさん。私もこのギルドで働いて十年ですけど、Dランク昇格に必要な最低限の尾長兎の捕獲、土鼠の捕獲のみでD級に昇格された冒険者は初めてです。とっても珍しいです」
「はい!凄くがんばりました!私、弱っちいので!無理せず採取一筋でっす!」
胸を張って言うと、「そうは言っても、採取も大変なのですけれどね。クリスティさん、これからも無理せず、命大事に頑張って下さい」と頷かれた。
「がんばりまっす!!」
私は大きく頷くと、新しいギルドカードを首にかけた。
******
ココは王都の冒険者ギルド。
王都の中心の大通りの南の方にあり、便利な場所にある。
ギルドの中は入ってすぐに用心棒兼受付のお姉さんとお兄さんがいて、クエスト受付場所、買い取り場所、ランクについての相談場所、そして二階に上がる階段が真ん中にあって、階段を挟んで、食事を提供するギルド食堂と、宿泊受付がある。
私は、たった今、Dランクに上がったばっかりで、凄くも何もない貧乏冒険者のシャルル・クリスティだ。
ソロで採取クエストばかり受けているから、派手な冒険者ではないけれど、受付のお姉さんが言ってくれたように、私みたいな常に採取クエストする冒険者は有難いらしい。
まあ、上はS、したはFのランク分け。Fは初心者冒険者で、大きな活躍が無くとも、一年経つと昇格試験が受けられ、筆記と活躍、ギルド職員の面接でEランクに上がれる。だから冒険者の中ではEランクが最低ランクとも言われ、Dランクはその一つ上にやっとあがれたレベルなんだけれど、FからEに上がるのは割と簡単なのだが、EからDに上がるのはまあまあ難しいのだ。
それからDからC、CからBと上がって行くのはどんどん難しくなるのだけれども、とにかく、私はこの度、Dランク冒険者になったのである。
私はどうしても、Dランクに上がりたかった。それはなぜかと言うと、
「ジョルジョさーん!!見て下さい!!シャルル・クリスティ!!本日、見事!Dランクに昇格致しました!!」
私はたった今受け取ったばかりの新しいギルドカードを、食堂でゆったりしている、素敵な食堂のマスターのジョルジョさんに見せつけながら突撃した。
「何?本当にDランクにあがったのか」
「はい!勿論!正真正銘の本物のDランク冒険者になりました!期限ぎりぎりでしたけどね!!へへへ、がんばったのでっす!」
「本当に頑張ったな。しかも相変わらず、採取ばかりで上がったんだろう?」
「はい!丁寧な仕事で買い取りが高評価と、褒められていまっす。そのおかげで、ランクアップしたんです!」
「この時期は上級薬草の納品か?」
「勿論薬草もでっす!それ以外にも最近は完熟イエローベリーとか。白星草を根っこ付きで納品しました!今日、納品したのはニガヨモギ、薬草、ピピンの実ですね」
ふんっと胸を張って私が答えると、ジョルジョさんは、面白そうに眉を上げて笑ってくれた。
「そりゃ凄い。最近特に納品の質があがったって聞いたが、クリスティのおかげかもな」
「へへへ。そうですかね、褒められると照れちゃいますね。うへへ、照れるぜ!」
「ああ。で、今日は何を食べるんだ?」
「えっと、日替わりランチを…ってジョルジョさん!そんな、通常運転も素敵ですけど!!約束!約束!覚えてますよね!!大切なことなのでっす!」
「日替わりランチ一つね。ああ、約束な。一月以内にランクが上がったら願いを叶えてやるって言ったヤツな?で、クリスティが上がらなかったら俺に、三日月の短剣の材料くれるって言ってたやつだよな。なんだ?何か欲しい物があるのか?それとも、食べ放題にしてくれとかか?しかし、本当にランク上げてくるとはな、大したもんだ」
「はい!ジョルジョさん!そりゃあ、もう、必死ですよ。願いを叶えて貰う為ですからね!!」
「で?なんだ?願いは?」
「へへへ。ジョルジョさん!私のことシャルルって呼んで下さい!」
ふんっと勢いよく言うと、ジョルジョさんは目を大きくして驚いた。
「そんなのでいいのか?俺みたいなおっさんに名前呼びされて?一ヵ月食い放題とか?なんか欲しい防具とかじゃないのか?」
「はい!憧れのジョルジョさんに名前で呼ばれるなんて最高でっす!」
「……分かったよ。お前も変な奴だな。シャルル」
「はうううううう!ジョルジョさーん!貴女のシャルルは今日もジョルジョさんが大好きでっす!」
私がカウンター越しに抱き着こうとしたが、「別に、お前のじゃない」と言われ、頭を抑えられて拒否されてしまった。




