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地上を目指して

「クロエ嬢ちゃん……こっちでいいのか?」


「うん、そう! ここの壁を壊してくれる?」


 ドゴンッ――――パラパラ……


「『リストアップ』……ふむふむ、あった。リストからミスリルを選んで……はい!」


 ポン! という音と共に、白銀色に輝く金属へと変わっていた。


「おじさま……ここにもございますわ。私の『光の支配者』で探知しましたわ」


 ドゴンッ――――パラパラ……


「さすがはアリスちゃんね。私の『リストアップ』をするまでもなかったわ」


「いや、凛ちゃんも凄いからね……私なんて索敵とマッピングくらいしか……」


「何言ってるんだ、クロエ嬢ちゃん! そのマッピングと斥候能力がなけりゃ、俺たちもこの広大な奈落で壁を片っ端から殴りつけるハメになってたんだぞ!」


 俺が大槌を肩に担ぎ直しながらガハハと笑うと、クロエ嬢ちゃんはぱっと表情を明るくして「ゲンさん……!」と嬉しそうに微笑んだ。


「そうだよクロエちゃん! 索敵とマッピングがあるから、私は迷わず『リストアップ』に集中できるんだから!」


「うん、クロエさんのマッピング……暗い洞窟でも安心できるわ」


 二人に追撃で褒めちぎられ、クロエ嬢ちゃんは「もう、みなさんったら……っ」と真っ赤になって照れている。


 コメント欄も、ヒロインたちの尊いやり取りと怒涛のレア鉱石回収に大盛り上がりだ。


『『『クロエ様尊すぎるだろ……』』』

『探知(アリス・クロエ)×採掘(ゲン)×選定(凛)=無限ミスリル錬成陣ww』

『黒猫ちゃんのナビゲーションも完璧かよ』

『ミスリルって希少金属じゃなかったか?』

『プロフェッサー「驚異的な採掘効率ね……本来なら数か月かかるミスリル鉱脈の採掘が、ものの数分で完了しているわ(早口)」』

『重課金貴族「【赤スパチャ 2,000,000円】そのミスリルでノエル用の防具も作ってやってくれ」』

『重課金貴族様、もうノエルの身を案じすぎてて草www』


「よし! これで最高品質の『ミスリル』が山ほど手に入ったぞ!」


 俺はゴロゴロと転がる白銀の鉱石を大袋に放り込むと、ニッと不敵に笑った。


「ノエル嬢ちゃんの病気も治る見込みだしな……次は地上で待つノエル嬢ちゃんへの『復帰祝い』と『新衣装』のクラフトにかかるとしますかね! 確か衣装係が凛嬢ちゃん・アリス嬢ちゃん・クロエ嬢ちゃんの新しい装備のアイデアを考えてるはずだしな」


 コメント欄も、あの名物デザイナーの再登場(?)の予感に一気に湧き立つ。


『出たwwww ガチムチオカマデザイナーwwww』

『あの人のセンスはマジで本物だから期待しかない』

『凛ちゃんとアリス様の衣装も神だったからなぁ』

『黒猫クロエちゃんと白猫ノエルちゃんの双子コーデ来るか!?』

『重課金貴族「【赤スパチャ 1,000,000円】デザイン料および素材加工費だ。極上のものを作ってくれ」』

『重課金貴族様、仕事が早すぎるwww』


「よし! 素材もたっぷり揃ったことだし、一度地上に帰還するぞ!」


 俺は山盛りのミスリルが入った大袋をひょいと担ぎ上げ、マジックバッグへ押し込んで、セラフィムの前で力強く拳を突き出した。


「待ってろよ、ノエル嬢ちゃん! 病気を治した上で最高にイカした衣装と、元気になったお前を迎えるための特大のお祝いを準備してやるからな!」


『『『地上凱旋だーーー!! お祝いだーーー!!!』』』


 リスナーたちの歓声と祝福のスパチャが画面を埋め尽くす中、俺たちアビス・プロダクションの一行は、光の射す地上へと足を向けるのだった。


 ◆◆◆◆


 先頭を歩くクロエ嬢ちゃん。三人の中では一番の『ちっぱい』だが、目を引くのは太ももだろう。そこへ繋がるケツから腰までが素晴らしい。短剣二刀流も良い。


「ここは気を付けて! たぶん、罠があるわ!」


『クロエちゃん最高!』

『何か凛々しいのにエロいなwww』

『ああ、すき♡』


 何かクロエ嬢ちゃんのファンはコアな層が多い気がするな。

 ――次を歩くのは、光の玉をフヨフヨと発光させながら自身もスキルで索敵し、弓で射抜く。サーチ&デストロイの清楚美人のアリス嬢ちゃんだ。なんと一番の巨乳ちゃんで、その柔らかさといったら……弓に当たってしまうので胸当ても特製で作った。


「いました! そこ!」


『俺が射抜かれました!!』

『アリスちゃん……マジで叱ってください!』

『アホが湧いた。俺がアリスちゃんを守る!』

『溢れる母性に……ぽっ!』


 リスナーもいつも言ってるけど、三人の中で一番奥さんにしたいタイプだって……

 そして殿(しんがり)を歩くのは……


「いえ〜い! みんな付いてきてね。それ、リンちゃんの必殺技『朱雀の舞』だよ。それそれ!!」


 槍で後ろから襲いかかる魔物を滅多刺しにしている、我が『アビス・シグナル』センターのリンだ。さすがは元『ローズ・ヴァルキリア』でセンターをしていただけあり、アイドル性は抜群だしリスナーを楽しませるのもお手の物だな。


 そして俺は……何もせずに歩いている。三人が俺に何もさせてくれないのだ。まぁ、良いけどね……


『おっさんが役に立ててない件!!』

『歩いてるだけでおっさん丸出し。ガニ股だから……』

『ドワーフwww』


 だからドワーフって悪口なのか?

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