次はドワーフ
「がっははは! 凄まじいな! こんな広さを一瞬で探知する高性能レーザー探知。それに劣化していた果実を最高品質まで巻き戻し……いや、選定しちまうとはな!」
俺が膝を叩いて絶賛すると、アリス嬢ちゃんは顔を赤くして俯き、凛嬢ちゃんは得意げに鼻を鳴らした。
「役に立てて良かったです」
「ふふん、これで『アビス・ミード』の素材は完璧に揃ったでしょ!」
「みんな……本当に、本当にありがとう……っ!」
クロエ嬢ちゃんは涙ぐみながら、手に入った極上の【月光果】と、黄金色の【アビス・メープル】の小瓶を愛おしそうに見つめている。
コメント欄も、二人の怒涛のスキルコンボに大盛り上がりだ。
『うおおおおお!! 凛ちゃん&アリスちゃんの神連携!!』
『光の支配者で特定してテーブル・表で最高品質選定とかチートすぎww』
『黒猫ちゃんだけじゃなく全員見せ場あって最高かよ』
『これで神酒が作れるぞーー!!』
『プロフェッサー「それだけではないぞ。リンちゃんにかかれば素材は最高の状態へ、アリスちゃんはダンジョン探索で一番大事な情報を素早く得る。それは最大のアドバンテージだぞ!」』
『プロフェッサーが興奮しすぎwww』
「よし! 嬢ちゃん達のおかげで素材はすべて揃った!」
俺は腕まくりをすると、背中の大鍋と職人ツールをズドンと地面に叩きつけた。
「ここからは俺の出番だ! 職人スキルと『ねる』の力を組み合わせて……【アビス・ミード】を超高速醸造してやるぜ!」
「「「おじさま(ゲンさん)、よろしくお願いします!!」」」
三人のヒロインたちの熱い視線を背に受けながら、俺はノエル嬢ちゃんの命を救う『奇跡の神酒』の調合へと取りかかる。
「任せとけ! 職人の本気を見せてやる!」
俺は大鍋に黄金に輝く【アビス・メープル】と瑞々しい【月光果】を投入し、金槌で軽く叩いて成分を砕き合わせる。
甘く、どこか幻想的な香りがふわりと立ち上った。
(よし……ここからが俺の真骨頂だ)
「スキル――『錬る』発動!!」
俺の手によって大鍋の中の【アビス・メープル】と【月光果】が均等に混ざっていき……糖分がアルコールへと変貌していく。
「さらに、ここから――『寝る』発動!!」
『寝る』スキルの「時間を極限まで圧縮・熟成させる」副産物的な効果が、鍋の中の液体に作用していく。本来なら数か月、数年かかる最高級の醸造プロセスが、ものの数秒で駆け抜けていくのだ。そう、素材を寝かせたんだ。
「す、すごい……! 鍋の中のお酒が、みるみる深みのある黄金色に変わっていくわ……!」
クロエ嬢ちゃんが息をのんで見つめる。
「うわ〜、すごいお酒の匂い。でもなんだか甘くて……」
「本当ですね……なんだかフワフワしませんかぁ?」
「やだぁ、なんだかポカポカして……熱くなって……」
『3人とも、酔っ払ってないかwww』
『匂いだけでww』
『相変わらずツッコミどころ多すぎて草』
『プロフェッサー「驚異的だわ……『ねる』ことによって生じる特殊な魔導効果が、発酵菌の増殖と熟成を極限まで加速させている……! これがゲンさんの『ねる』なのね……!」』
「――ふはっ! 出来たぞ!」
フッと顔を上げた瞬間に……
「もう……ゲンさんはこんなにカワイイ女の子達が周りにいるのにお酒ばかり……クスン」
「キャハハ、おじさまが3人にみえましゅ」
「……うん、眠い〜〜」
赤い顔をして横に縦にフラフラしている。
(――おいおいおい!! 匂いだけで完全に出来上がってるじゃねぇか!!)
赤い顔でふらふらと千鳥足を踏み出す女の子三人に、俺は慌てて大鍋の蓋をバンッと閉めた。
「ちょっと待てお前ら!! 熟成速度が早すぎてアルコール蒸気まで極上になりすぎたか!?」
「もう……ゲンさんなんて知らない……えへへ、アリスちゃん、お耳引っ張っちゃうぞ〜」
「キャハハ! リンさんダメぇ〜、あははは!」
「……ノエル……私、お酒に酔うアイドルになっちゃった……すやぁ」
クロエ嬢ちゃんに至っては、そのまま俺の太ももに抱きつく形でスヤスヤと眠り始めてしまった。
コメント欄はもはや地上最大の爆笑の渦と化している。
『『『神回確定wwwwwwww』』』
『ヒロイン全員撃沈wwwwww』
『黒猫ちゃん寝落ちかわいすぎかよ!!』
『アリス様がキャラ崩壊してて草』
『凛ちゃんの耳引っ張り合い助かる』
『重課金貴族「【赤スパチャ 2,000,000円】ヒロインたちのあまりの尊さに全額投げざるを得ない。目の保養代だ」』
『重課金貴族様また増額してて草www』
「おいプロフェッサー! 感想言ってる場合じゃねぇ! 俺達はこれから地上を目指す! 嬢ちゃん達が戻り次第だがな……」
「う〜ん、みなさ〜ん。リンが会いに行きますよぉ〜」
「リンさんだけじゃな〜いですよ〜! アリスだっていますからね〜。キャハハ」
「う〜ん。もう、食べられないよ〜、ムニャムニャ」
ハァ、いつになったら出発できることやら……いっそ、スキル『ねる』で全回復させてから出発しようかな。それなら確実だし……『寝る』発動っと……




