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アイドルとして初配信

「「コチラは奈落の底です」」


 本日の配信が始まった。凛嬢ちゃんとアリス嬢ちゃんがコンビを組んでの初配信に、コメントも賑やかになる。それもそうだろう。2人が身にまとっているのは、凛嬢ちゃんは赤色ベースのドレスアーマー、アリス嬢ちゃんは青色ベースのドレスアーマーなのだから。


 当然、ドレスアーマーの素材はこの奈落に生息する魔物……恐らくはS級の魔物素材を使った防御力はもちろん、見た目にもこだわった。


『『『始まったぁぁぁぁぁぁ!!??』』』

『「コチラは奈落の底です」流行らせる気かwww』

『待って衣装凄すぎない!!?? 赤と青のドレスアーマー!?』

『かわいすぎるだろ……なんだこのハイクオリティな装備……』

『……あの光沢と質感、まさかS級魔物『アラクネ』の糸か!? どんな技術を使えばあの強度をドレスに加工できるんだ!?』

『プロフェッサーだけが別次元へ移動しとるwwwww』


 画面のコメント欄が超スピードで流れていく。

 それもそのはず、俺が二人のためにとっておきの素材で仕立て直したドレスアーマーだもんな。それに凛嬢ちゃんの『テーブル・表』とアリス嬢ちゃんの『光の支配者』のおかげで、品質も今まで以上に良いものになっている。


「えへへっ、カワイイでしょう? 冒険者アイドルとして頑張るから応援よろしくね」


 久しぶりのアイドルに凛嬢ちゃんはノリノリだな。ドレスアーマーを着た姿を見せるために、セラフィムの前でクルリと一回転してみせている。


『最高だ! リンちゃんの魅力を最大限活かしている』

『ドワーフのおっさん、グッジョブ!』

『ああ、おっさんなのに……センスが光るな』

『感動した!』


「ほらほら、アリスちゃんもみんなに見てもらおう。絶対にカワイイから。ねぇみんな、アリスちゃんも褒めてあげて……」


 凛嬢ちゃんはアリス嬢ちゃんの背中を押して、セラフィムの前に連れてきた。


『うおー! 最高だぁ!』

『泣いた、マジ泣き!』

『生きてて良かった』

『俺はアリスちゃん推し』


「あ、あの……わ、私も、おじさまに作っていただいたこのお衣装で、精一杯がんばります……っ!」


 アリス嬢ちゃんが照れくさそうに青いドレスの裾をキュッとつまみ、深々とお辞儀をする。


『『『かわいすぎるだろぉぉぉぉぉぉ!!!』』』

『おじさま呼び助かる』

『裾をつまみながらの尊さはすぎる』

『推し変しそう』


 コメント欄がものすごい勢いで加速する。だが、ここは奈落の底。俺たちの「初ライブ会場」に、空気を読まない魔物が乱入してきた。


 ヴウォォォォォンッ……!!


 地響きと共に現れたのは、巨木のような腕を持つA級魔物『グランドオーク』の群れだ。


「ガハハ! ちょうどいい『前座』のお出ましだ! ちょっと見ていてくれ、いいな! 画面から目を逸らすなよ! 終わったら俺からお前達に提案がある……凛嬢ちゃん・アリス嬢ちゃん……初ステージだ。今の嬢ちゃん達をみんなに見せてあげてくれ」


「みんな、私たちの新しいステージ……見ててね! ――【薙刀・真紅】!」


 凛嬢ちゃんが叫ぶと同時に、手元の薙刀が真っ赤な闘気を纏う。ダイニングテーブルのバフ効果だな。

 素早い足さばきで間合いを詰めると、巨体を誇るグランドオークの攻撃を鋭くかわし、一閃!


 ズバァァァンッ!!


「すご……! 身体がかるーい! 刃が吸い込まれるみたい! 今までの私じゃないみたい」


『は????』

『え、リンちゃんってこんな動きできたっけ!?』

『一撃でA級倒したぞwww』

『リンちゃんが戦うところ、初めて見た』


「続いて私も……! 『光の支配者』――【聖なる集束矢】!」


 アリス嬢ちゃんが和弓を引き絞ると、弦の間に極小の光の粒子が凝縮され、眩いばかりの輝きを放つ。


 チュドォォォォォンッ!!!!


 放たれた光の矢はレーザーとなって空間を穿ち、残りのグランドオークごと後ろの岩壁を吹き飛ばした。


「「「………………」」」


 画面の向こうも、奈落の現場も一瞬で静まり返る。


『『『??????????』』』

『待って、今何が起きた????』

『光の矢で地形が変わったんだがwww』

『プロフェッサー「バカな……あの収束率と貫通力、概念レベルの光干渉だぞ!?」』


「ふふっ、おじさま! 弓、とっても使いやすいです!」


「ゲンさん! 私たち、すっごく強くなってるよ!」


 可憐なドレス姿でニッコリと微笑む二人と、粉砕された魔物の惨状。

 ギャップがあまりにも規格外すぎる初陣バトルに、世界中の視聴者が泡を吹いてひっくり返るのだった!


『『『???????????????』』』

『待って待って待って何が起きた!!???』

『弓引いて放ったらレーザー兵器出たぞ!?!?』

『薙刀の一撃でA級魔物の装甲ごと真っ二つなんだがwwww』

『かわいいドレス着た美少女がやることじゃないwwwwww』


「がっははは、そういう反応になるよな。そこで俺から提案なんだが……これから俺達は冒険者パーティーを組む。俺がプロデューサーでこの2人の嬢ちゃん達がアイドルだ。カメラマンは配信ドローンの『セラフィム』だ。今、この時をもって結成だぁ! これを見られたお前達は歴史の証人になる」


 俺の宣言にコメントも嬢ちゃん達も止まっていた。

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