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冒険者アイドルをやれるんだ

【風間凛視点】


 私は自分の耳を疑った。だって冒険者アイドルとして必要としてくれていたのは……ハッキリと私の容姿のためだとみんなから言われていた。それが……


「うむ! 凛嬢ちゃん、アリス嬢ちゃん。キミたち2人で『冒険者アイドル』をやればいいじゃないか。俺は輝くキミたちを見ていたいぞ」


 そう言ってくれたのは、奈落に落とされた私を初めて必要だと言ってくれたドワーフさん――。

 その容姿は物語とかで語られるような低身長(150cm)くらいの樽体型、お髭の伸びている岩本源さん。

 その短い足でチョコチョコと歩く姿に、思わず笑ってしまいます。


 もちろん、奈落に落ちた私を保護してくれて、一緒に地上へ戻ってくると言ってくれたのには感謝しかありません。それだけでも嬉しかったのに……冒険者アイドルにまたなれるの? 追放された私があらためて夢を見ることができるの?


「さしづめ、俺はプロデューサーだな。セラフィムはカメラマンだ。これからのダンジョン配信は、2人を主役に視聴者へアピールしていこう」


 そう言ってノリノリのゲンさん。


「えっ、冒険者アイドル……!? また私はアイドルができるの……!?」


「私もですか……!? 不安もありますけれど……生まれ変わった自分を見てほしい気持ちもあります……!」


 アリスちゃんも良い子だから、前の『ローズ・ヴァルキリア』みたいに省かれることもないとは思い(信じ)たいけれど……


「ああ、俺たちで最高の冒険者パーティを組もう。もちろん、セラフィムもな」


 セラフィムちゃんも嬉しそうにみんなの周りをクルクルと行ったり来たりしながら旋回していました。


「売れる。これは絶対に売れるぞ〜! フフフッ、嬢ちゃん達の魅力を高めるために……ゴニョゴニョ……」


 腕を組んで一人でうなずいているゲンさんを見て、私とアリスちゃんは顔を見合わせてクスッと笑い合った。


 容姿ばかりを求められて中身を見てもらえなかった私と、人見知りでずっと自分に自信が持てなかったアリスちゃん。

 そんな私たちに、ゲンさんは「輝く可能性」と「居場所」をくれた。


(ゲンさん……ホントずるいよ。そんな顔で言われたら、本気でトップアイドル目指したくなっちゃうじゃん……!)


 胸の奥がキュッと熱くなるのを感じながら、私はお隣でポッと頬を染めているアリスちゃんに視線を送った。


 私の『テーブル』でも冒険者をやれるんだ。私は自分の手のひらをジーッと見て……決意を新たにする。

 そして、この気持ちはしばらくはそっと奥にしまっておこう。私が冒険者として成長した時に、この気持ちも育っていることを願っています。な〜んてね。


【結城アリス視点】


 胸の鼓動が、トクンと大きく鳴った。


『生まれ変わった自分を見てほしい』


 口から出た言葉に、自分自身が一番驚いていた。

 亡き祖父の跡を継ぎたくて、ダンジョン運営の勉強をしていたけれど……本当は私も、誰かの前で胸を張って戦える、強い冒険者になりたかったのだ。

 けれど、ポンコツで人見知りで、いつも失敗ばかりの私には絶対に無理だと諦めていた。


 それを――この温かくて不思議なおじさまが、魔法のように私の世界を変えてくれた。『光』というスキルも便利でしたが、冒険者として活躍できるほどではありませんでした。


 それが『光の支配者』という恐ろしいほどの力へ進化したらしいのです。

 そして、私と同じように奈落へ来た風間凛さんのスキル『テーブル・表』で、私の人見知りさえ克服させてくれる『TP』という奇跡。本当に悩んでいたので嬉しいです。

 それ以上に……「おじさまの作業の役に立てる」と笑ってくれた、その優しさが何よりも嬉しかった。


(おじさま……私、頑張ります。おじさまがプロデュースしてくださるなら、どんな試練だって乗り越えてみせます……! アイドルになれるのかは不安ですが……)


「よし、それじゃあ……冒険者をやるには武器や防具が必要だな……ん〜、これこれ凛嬢ちゃん『テーブル』を、アリス嬢ちゃん『明かり』を頼む」


 早速頼ってくれました。それが嬉しかったのです。

 凛さんの『テーブル』は進化して作業テーブルへ……器用さが増すバフらしいです。私も様々な角度から照らせる明かり。それも暖色から寒色まで調節できるようになりました。


「嬢ちゃん達はすげーな。これなら良い武器ができそうだな……どんなのがいい?」


「私は槍……イヤ、薙刀がいいかな?」


 凛さんは薙刀を頼んでいますね。それなら私は……


「おじさま、私には弓をお願いいたします。できましたら和弓を……」


 私は冒険者になるために弓を習っていた時期がありました。それも冒険者になれないと分かると続かずに諦めてしまったのですが……


「おっ、薙刀に弓か……2人にピッピッタリだ。アイドルって武器からカワイイのな」


 おじさまはそう言うと、あっという間に私たちの武器を作ってくれました。その芸術的な手さばきに見とれてしまい、出来上がった武器は素人が見ても素晴らしい出来だとわかる逸品でした。


 これで頑張っておじさまに認められるぞ〜!

 幼い頃から胸にしまっていた初恋に懐かしさを感じながら、弦を引き絞りおじさまを狙い撃つのです……ウフフッ。

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