↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薬術師リーンは騎士団長の監視対象です ~隣国のスパイ容疑をかけられましたが、なぜか最強騎士に囲われています~  作者: 空乃葉
第一部/第2章 王都の波紋

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/86

ep.21 紅狼の牙

おはようございます、空乃葉(ソノハ)です。

(たまには名乗ってみようかと思い実行しました!)


引き続き宜しくお願いします(*^^*)

「カイン!!」


 医務室へ運び込まれるなり、一人の女性が勢いよく駆け寄った。


 燃えるような赤い長髪を揺らし、寝台の横へ膝をつく。


「おい! しっかりしろ!」


 その後ろから、紫髪の女性と大柄な男性も慌てて駆け寄ってきた。三人とも、心配そうにカインを見つめている。


「命に別状はありません」


 その様子を見かねたリーンが、静かに声を掛けた。


「魔力の乱れは落ち着いています。しばらく休めば目を覚ますと思います」


 赤髪の女性の肩が、ぴくりと震える。


 ゆっくりと振り返る。


「……」


「……」


 リーンも相手を見つめ返した。


 どこか見覚えのある横顔。でも、まさか――。


 次の瞬間。


「……リーン?」


 赤髪の女性の瞳が大きく見開かれた。


「えっ……」


 リーンも目を丸くする。


「……ジル?」


 一瞬、時間が止まる。


「リーーーーーン!!」


 ジルは勢いよく立ち上がると、そのままリーンへ飛びついた。


「生きてたかぁーーー!! 会いたかったぞ!」


「わぁっ!」


 突然の出来事に、リーンはよろけながらも笑顔になる。


「ジル! 久しぶり!」


「やっぱりリーンだ!」


 その声に、後ろの二人も顔を上げる。


「えっ……?」


 紫髪の女性が目を丸くする。


「うそ……リーンちゃん!?」


 次の瞬間には、ぱぁっと笑顔を咲かせて駆け寄ってきた。


「きゃーーー!! 大きくなったぁぁ!」


「セレナさん!」


 ぎゅっと抱き締められ、リーンは苦笑する。


「もう、苦しいですって」


「だって可愛いんだもん!」


 そのやり取りを見ながら、大柄な男性も静かに近付いてきた。穏やかな笑みを浮かべる。


「元気そうだな」


「ダレスさん……!」


 リーンは嬉しそうに頭を下げた。


「お久しぶりです」


「あぁ。変わらなくて安心した」


 ぽん、と優しく頭へ手が置かれる。昔と変わらない大きな手。それだけで胸が熱くなった。


 少し離れた場所から、その様子を見ていたガイアスが静かに口を開く。


「ジル。知り合いだったのか」


 ジルは満面の笑みで振り返る。


「あぁ! 我ら紅狼の牙の恩人だ。昔、私の命を救ってくれた薬術師。リーンだ!」


 セレナも何度も頷く。


「リーンちゃんのお薬がなかったら、ジルは今ここにいなかったの」


 ダレスも静かに続ける。


「俺たちは、ずっと礼を言いたかった」


 リーンは照れくさそうに笑う。


「違います。助けたのは師匠です。私は、そのお手伝いをしただけですよ」


 三人は顔を見合わせると、同時に笑った。


「それも昔のままだな」


 リーンは、ジルたちを見回した。


「ということは……」


 ゆっくりと寝台へ視線を向ける。


「まさか、この人……」


 ジルがニヤリと笑う。


「あぁ。紅狼の牙の遊撃手。カインだ」


「えぇぇぇっ!?」


 リーンは思わず声を上げた。


「全然気付かなかった! 髪凄い伸びてる!」


「そりゃ治療に必死だったからな、顔なんて見てなかったんだろ」


 ジルが笑った、その時だった。


「……ん」


 寝台の上のカインが小さく眉を動かす。


「カイン!」


 三人が一斉に身を乗り出す。


 ゆっくりと瞼が開いた。まだ焦点が合わず、ぼんやりと天井を見つめている。


 やがて視線が、ゆっくりとリーンへ向いた。


「……」


「カイン!」


 ジルが笑う。


「お前を助けてくれたの、あのリーンだったんだぞ!」


「……リーン?」


カインは目を細める。ぼやけた視界の中、リーンをじっと見つめる。


「……」


「リーン……リーフェ村の」


 一瞬、医務室が静まり返る。


 そして。


「……ぺたんこか?」


 シーン……


 リーンの頬がぴくりと引きつった。


「……」


「……」


 ゆっくり拳を握る。


「……変わってないね」


 にっこり笑う。


「その女たらし癖!このぉぉぉ!バッカイーーーーン!!!」


 ゴンッ!!


「いってぇぇぇぇ!!」


 頭を押さえながら飛び起きるカイン。


「お、おい!」


 カインが抗議の声を上げる。


「病み上がりに何すんだ!」


「第一声がそれだからでしょ!」


 リーンが即座に言い返す。


「何年ぶりだと思ってるの! もっと他に言うことあるでしょ!」


 カインは頭をさすりながら笑う。


「……その勢い。やっぱリーンだ」


 リーンは腕を組み、ぷいっと横を向く。


「もう知りません」


 するとカインは、少しだけ真面目な顔になった。リーンを見る。


「……助けてくれたんだってな。ありがとう」


 リーンもふっと笑った。


「どういたしまして。でも、もう無茶しちゃ駄目だからね」


 カインは照れ隠しのように鼻を掻く。


「……相変わらず世話焼きだな」


 その様子を見ていたジルが大笑いする。


「はははは! これだよ! この二人だ!」


 セレナも涙を浮かべながら笑った。


「懐かしい~!」


 ダレスは静かに腕を組み、小さく頷く。


「変わらんな」


 その光景を少し離れた場所から眺めていたガイアスは、自然と口元を緩めていた。


(なるほど。これが紅狼の牙の"もう一人の家族"か)


リーンにとっては、ある意味「家族」みたいな関係を築いたメンバーでした。

バッカイン=バカ+カイン、意味通じましたか?(*^^*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。