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工場見学

毎日19時投稿予定です。

『この辺りでいいでしょう』


シエナはLPに連れられてかなり歩かされていた。


『少し下がっていてください』


エルピーがそう言うと空から謎の物体がゆっくり降りてくる。


その巨体が着地し、プシューという音を立てて口を開く!


魔獣か! と思ったシエナは身構えるが巨体が襲ってくる気配はない。


『どうぞ乗ってください』


開かれた大きな口の中に入るようエルピーが促す。


「あ…えっと……」


どうすればいいか戸惑っていると、


『ん?……そうですね。では付いてきて下さい』


一瞬で何かを納得したエルピーが巨大な物体の口の中に入っていく。


シエナはもうついて行くしかなかった。


口の中に入ると中は大きな空間が広がっていた。ほとんど何もない。


『すみません。資源輸送機しかないため、乗り心地は悪いですが……一機だけマッド様用にと、念のため作っておいたコックピット付きのものがありましたので、それを用意しました。こちらにどうぞ』


広い空間を進み、一つの部屋に通される。


その部屋には椅子が一つ、こちら側に向けて置いてある。その背後には大きな窓がついていた。


『お座りください』


言われるがままシエナは席につく、すると椅子が自動で回転して窓の方を向く。


そこからは、シエナにとって驚きと感動の連続だった。


物体が空中に浮かび、山脈をも越える高さまで達する。


どんどん地上が遠くなり、果てしなく先まで見通せる。


「広い……」


ずっと逃げ隠れしていたシエナは世界がこんなにも広がっているということを知らなかった。


(エルピーが言うギンガも本当に存在するのかもしれないです)


そこからずっと東まで飛行していた。その間、エルピーとシエナはいろいろなことを話しあった。


『もうすぐ拠点につきます』


「ウチュウ? いやギンガ?」


『……宇宙は上です』


この質問はタブーだった、エルピーが来たギンガがあるというウチュウについて聞くとエルピーは決まっておかしなことを言い出すのだ。


『ここから先に見るものはすべて他言無用でお願いします。そうしてくれればあなたを守るとお約束します』


「……わかったです」


この時点でのシエナのエルピーに対する評価は、謎が多いし少々デリカシーに欠けるところはあるが、優しくて頼もしい、エルピーなら本当に守ってくれるかも。という感じで、はじめの頃の警戒心はなくなっていた。


『着陸シークエンスに入ります』


『ミラーフィールド通過。サポートラインコネクト』


エルピーが謎の呪文を唱えだす。すると、さっきまで何もなかったはずの空間に突如として見たこともない都市が広がる。


「え!?」


『工場を隠すために簡易的な偽装を行っています。幸い周囲は荒野ですので周囲の景色をランダムにつなぎ合わせて鏡に映しているだけです。工場の西側だけしか張っていませんが、あとは侵入予想経路に162個の警戒装置を設置していますので、ここの発見は難しいでしょう。他にもetc…』


何やら説明してくれたのだろうがシエナには全く意味が分からなかった。


周囲の景色を見渡すが、見たことないものばかりである。


『到着しました。どうぞ』


席が自動で回転するとエルピーが手を差し伸べてくる。


「はい……」


手をつかんで立ち上がり、エルピーについて歩く。


『出入口をコックピットの近くに作るべきでしたね。作業用ボットしか想定していなかったので忘れていました、人を運ぶことを考えて次は専用の機体を用意いたしますね』


「はい……」


もうわけが分からなかったので適当に返事をすることにしたシエナだった。


入ってきた口から出ると何体ものゴーレムのようなものが歩き回っていた。


「使役魔法を使える人がここにもいるのです?!」


『……あぁ、作業用ボットのことですね? あれらは基本的にはプログラムで動いています。なので魔法ではありません。強いて言うならば管理者は存在します。私とマッド様とリンクスたちです。あとで紹介いたします』


「はい……」


『まずは、近くの施設をご案内いたします。気に入っていただけたならいつまでもここにいていただいて構いません。少なくともあの森よりかは安全を保障いたします』


「はい……」


そうしてエルピーについて行く。


『今、着陸したところが資源輸送機の離着陸場となっています。この先に格納庫があり、あちらには資源運搬用ボットと資源別のルートへ分けるためのソーティングゲートがあります』


「はい……」


『このポートとは別で新たにエアポートも建造中です。ここから歩くと長いのでこちらにお乗りください』


「はい……」


『これはマッド様の設計した自動馬です。初期型からいくつも改良を重ね、今では移動用の手段として一定の評価はしています。どうやらマッド様はお気に入りのようで”シュバルツ”という名前をつけて、いつも乗り回しています。今日は勝手にお借りしました』


「はい……」


そうしてエルピーの手を借りて大きめの馬のようなものに乗る。


『地上を走りたいのでしたら車輪付きの物をと提案したのですが、どうやら車輪に抵抗感があるそうで……』


「はい……」


それからしばらく自動馬というものに乗って移動する。移動中も何やら説明していたがやっぱりわからない。


『着きました』


そう言われて来た場所はただの広場にしか見えず、目の前には何もない。


『ここが一番興味を示していただけると思います』


そう言うと地面が急に沈み始めた。


「あわわ!」


『大丈夫です。地下格納庫へ移動するだけです』


LPの言葉でとりあえず気を取り直したシエナは、沈み続ける足場に驚きながらも前を見る。すると、徐々にそれは見えてきた。


「これは!?」


『やはり、一番いい反応ですね』


目の前には巨人の上半身らしきものが宙にぶら下がっていた。


「ゴーレム?」


『近しい存在と言ってもいいでしょう。私の元の体です』


「エルピーの? じゃあ今のエルピーは?」


『この中を移しただけです』


そう言って頭を指さす。エルピーが前にも言っていたが、難しい話だと思ったシエナは考えないようにしていた。


『少し待っていてください』


そう言うとエルピーは、まるで時を止められたように急に微動だにしなくなった。


「え、エルピー? 大丈夫です!?」


『私はこちらです』


エルピーの声がした方を向くとゴーレムが手を振っていた……


『あれに乗っていた時にここへ転移させられたのですが、帰り方が分からず困っています』


「うわっ!」


突然、隣からエルピーの声がして驚く。エルピーはまた動きだしていた。


ゴーレムの方を向くと手を上げたまま止まっていた。


シエナは少しだけ理解した。エルピーはその()()を移動することができるのだ。


「エルピー。試したいことがあるです。またゴーレムに移動してください」


『移動しました』


そうゴーレムの方から聞こえる。


となりに立つエルピーの抜け殻に向かって使役魔法を試す。


「う~ん……動いた! です」


エルピーの抜け殻は左手を振る。


「これ、すごい……です。かなり細かく作り込まれていて……操作できる箇所が多すぎて難しいですけど……」


エルピーの抜け殻はヒットやロールを繰り返し、ロボットダンスを踊っていた。


『どうやら私の存在が干渉していたようですね』


突然魔力が弾かれて使役魔法が解除された。


『ではあちらは?』


ロボットダンスをやめたエルピーがゴーレムの方を指さす。


シエナはゴーレムに向かって使役魔法を行使する。


「……無理です」


『なにが違うのでしょうか? 単純にサイズでしょうか、それとも他の何か……サイズの制約はあるでしょうが、5メートルほどのアイヴィーゴーレムを動かせても私が入っている状態のロデアは操作できませんでした、となるとサイズ以外の制約があるのは明確。人間は対象に出来ないと言っていましたが、AIである私が入った状態のロデアは対象としては選択できるものの操作は不可能でした。ロデアとエアレーとでは大きく違いますが、基本的な構造は同じです。現状ではエアレーが動かせない問題はサイズ的な問題としか言えませんね……私の存在如何でロデアを操作可能か不可能かが決まるという点では、私の存在も使役魔法に何かしらの干渉を働かせているようです……』


エルピーが何やらぶつぶつ呟いている。


「えっと……エルピー?」


『は、すみません。情報を整理していました』


するとそこに乱入者が現れた。中年の男性がこちらに向かって走って近づいてくる。


「エルピー様ー! おかえりになられたのですね!? 連絡をして下されば迎えに行ったものを! ……おや? こちらのお嬢さんは?」


『こちらはシエナ様。私が守る対象です』


「な、なんと!?」


『シエナ様。こちらがマッド様です。えーこのお方は、そうですね……なんでしょうか?』


「え、エルピー様?! 私はあなた様の忠実なるしもべにございます!」


『……』


「……」


エルピーとシエナはドン引きしていた。


『違います。端的に言えば私の協力者です』


「わ、私はシエナ……です。よろしくお願いします」


こうしてエルピーの工場に新たに魔族が加わった。


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