表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】 機械仕掛けの薔薇〘R15版〙  作者: 路明(ロア)
19.薔薇に棘あり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/63

ROSA HABET SPINAS 薔薇に棘あり IV

 引っかかるものがありつつも、アレクシスはベッドの端に腰をかけた。

 いつもダニエルと密着して寝ているベットが、うしろめたさのせいか冷たく感じる。

 ローズブレイドがかたわらに座り口づける。

 彼にあたりまえのように部屋着を脱がせられると、罪の意識がうすれた気がした。

 ローズブレイドが、はずかしがるように目を伏せている。アレクシスは新鮮な感覚でながめた。


「大尉」


 ローズブレイドがゆっくりと自身のシャツを脱ぐ。

「あ……アレクシスか」

 ほそくなめらかな肢体(したい)が、あかるい部屋のせいかさで健康的で子供っぽく見える。

 ダニエルと昼の時間帯に性交したことはあまりないが、窓から射す陽光の下では、やはりこんな感じだ。

「ああ……カーテンか」

 アレクシスは体をひねり、ベッドの横にあるカーテンの開閉操作パネルに手をのばした。

 シャッと音を立て、部屋のカーテンがいっせいに閉まる。


「いいよ、大尉」


 ローズブレイドが、裸の体を密着させる。ダニエルとおなじ柑橘系の香りがすることに気づいた。

 自身の息使いが、熱くなったのに気づいた。目の前のなめらかな肉体に口づけたくてたまらない。

 ローズブレイドの腰に腕を回す。

 思っていたよりもずっとほそい腰の形に、自制心が飛んだ。

「大尉、抱いて」

 ローズブレイドがすがりつくように背中に手を回す。

 二人でベッドに倒れこんだ。

 自身が押し倒したのか、それともローズブレイドが抱きついたまま身を倒したのか。

 はげしくキスするアレクシスを、ローズブレイドが熱い息を吐きながら受け止める。

「大尉……!」

 初々しい様子に(そそ)られた。

 ローズブレイドが自身のスラックスに手をかける。

「下も。大尉、好きにして」

 アレクシスは大きく息を吐いた。体が熱い。まだ心には何かが引っかかっているのに止まらない。

 ダニエルとの情事に使うローションの(びん)に手をのばす。


 ふいに罪悪感が頭を(もた)げた。


「いや……」

 動きを止める。

「……すまん」

 アレクシスはシーツに手をついて起き上がろうとした。

 ローズブレイドが肩に手をそえて引き止める。

「そんなもの使わせて大尉に負い目を感じさせるほどバカじゃないから」

 そうささやいて、スラックスのポケットから小さなローションケースとゴムを取りだす。

「つけてあげる、大尉」

 ローズブレイドがゆっくりと起き上がる。

 ゴムのパッケージを口で破った。

 あまり馴れてはいなそうな手つきで、ゴムをあつかう。


 こんな手口を、どこかで見た気がする。


 決定的な性交の状態になるまえに何とかふり切ろうとすると、むしろ最後までを前提にした言葉で誘導される。

「大尉」

 ローズブレイドが肩に顔をよせる。


「あんまり経験ないから、やさしくして」




 思い出した。


 おなじ手口を使ったのは、ダニエルでは。

 誘惑され全裸の体にむしゃぶりついたものの、国を裏切ることに躊躇(ちゅうちょ)して止めようとした。


 とたんに「やさしくして」と。最後までするのがとうぜんのような言い方で。


「大尉」

 何かが引っかかり続けたものの、ローズブレイドに性欲を(あお)られ思考がぼやける。

「大尉、好き」

 ローズブレイドが、胸元に(ほお)をよせる。

 声の感じもダニエルに似ているだろうか。そっくりというわけではないが、おなじ傾向のテノールの声。

 



 ローズブレイドとの情交を終えてしまったとたんに、後悔と疑念のようなものが一気に心に押しよせた。

 横たわりぼんやりと天井をながめる。

「大尉……」

 ローズブレイドが手をのばし、おもむろに後頭部にふれてくる。


「恋人、ぜんぶ聞いてたかな」


 GPS盗聴コードがつけられていると言っていたか。

 ダニエルの視線を感じたような錯覚を覚えて、アレクシスはつい室内の端から端を見回した。

「……ダニエルには私から謝っておく。いくら何でも浮気で殺すとまで」

 言ってからアレクシスは口を手で押さえた。

「ダニエルっていうんだ、恋人」

 ローズブレイドが口の端を上げる。

「あ、いや……」

 恋人がスパイだと疑っている相手に、不用意に名前を教えるなどまずかっただろうか。

 何とか取り(つくろ)おうとしたアレクシスをよそに、ローズブレイドがゆっくりと体を起こす。

「シャワー使っていい? 大尉」

 名前などとくに関心もないというふうで、乱れた髪を軽く整える。

「あ……ああ」

「ゴム、帰りに外で捨ててあげる。よこして」

 そうと続けて、ローズブレイドはこちらに手をさし出した。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ