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Début.2 田舎町から始まるアイドルストーリー

---まぁなんて美しいの。


---そりゃ僕たちの子供だからね。


---まぁ おバカねあなたは。



目を開くととても眩しい。

何かを喋りたくても呼吸をする事に必死で

言葉にならない声を吐き出すの精一杯だ。


収縮されたスポンジに水が染み渡る様に

肺が空気でいっぱいになる。

理屈で分かってても吐き出し方が分からない。


生前の幼少期の記憶なんてあろう筈なくて

呼吸なんて物心つく前から当たり前に出来てたから

筋肉の使い方なんて考えたことが無くて

というか考えてる事を処理する事も出来なくて・・・


思考を張り巡らせては忘れていく

ニワトリの様な気分になった。


"かくして私は再度産まれた。"


記憶を持ったまま赤ちゃんから

やり直したいと思った事はあるだろうが

実際になってみると分かる


----これは苦行だ。

あの身勝手な神め、覚えておけ。


そう思ってもすぐに忘れてしまうのであった。



********************


なんとなく記憶が定着し始める様になったのは

3歳にもなる頃だ。

四角い吹き抜けから見える世界は

淡いグリーンに包まれていて目に良さようだ。

果物が熟す木から香るフルーティーな香りに

包まれて私はスクスクと育って行った。


「痛てっ!!!えーん!!!!」


小窓から外に落ちた。



「エリルったら!また転んで 歌って踊る事が大好きなのね」



母親に抱えられ頭を撫でられる。

そういえば母親からの愛って感じた事が無かったなぁ。



父親のアロン、母親のエーテルの間の

長女として産まれた私は"エリル"と名付けられた。



くるりと体を翻しステップを踏むと讃美歌を口ずさむ。

音楽の才能に恵まれたのかその声は透き通り、

山に囲まれた村は大きなライブハウスの様に反響する。


深い海のように黒く艶やかな髪が靡き

風が巻き起こると隙間を通り音色を奏でる。

少し悪戯にニコッと笑うと

見たものは初恋に似た熱気に包まれ高揚した。



「わぁ!すごいぞエリル!

将来は国を代表するミューズで間違いなしだ!」



両親の拍手が沸き起こるとエリルは左手は背中、右手を胸に当て深々と礼をする。


「本日は足元の悪い中足をお運び頂き、

誠にありがとうございました」



目を丸くした両親が視界に入ると


「はにゃ?」と首を傾げおどけて見せた。


「そんな言葉どこで覚えてきたんだか」


「もしかして・・・・。」


---やばい。母親に転生を疑われる。


「ヤバいくらい天才なのかもしれない」


どうやら杞憂に過ぎない様だ。



少しの間が空き笑って見せると

アロンに抱きかかえられ頭をわしゃわしゃと撫でられた。

くすぐったくてなんだか恥ずかしくて

ちょっと誇らしくて嬉しくて温かい気持ちだった。



**********


パチパチパチパチ・・・。


どこからか拍手が聞こえる。


見渡すと緑の髪をした少年と目が合った。


少年の方へ駆け寄ると少年は足音を察知し

足早に逃げていってしまった。


「まぁもうファンが出来たのね。さすがうちの子だわ!」


目の中に一番星が宿った様にエーテルは目を輝かせ

顔の前で手をポンと合わせた。



---そっか。私はこの世界にアイドルになりに来た。

この才能ならもしかして本当に一番になれるかもしれない。


夢がなんとなく目標に気がした。



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