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アルニラム騎士団の憂鬱  作者: 古川モトイ
4/10

「捕虜」ケベックの証言と見解2

 さて、この記録を読むことになる読者が何の為にこの記録を読む羽目になったのかは分からない。例えば、大学のレポートのためかもしれない。校外学習の下調べか、はたまた地球に永住する変な宇宙人に興味を持ってくれたかは分からないが、非常に重要な話をしよう。それは、アルニラム騎士団が地球を侵略しようとした動機だ。まずそのために地球がどこにあるかという話をしよう。地球が太陽の周りをまわっているのは地球人が自力で発見したんだ。地球の土着宗教の裁判にかけられた人物が……なんていったけ?


-ガリレオ・ガリレイの事を話そうとしている?


そうだ、その名前だ。


-地動説の発見者はコペルニクスだぞ?


そうなのか?私が不勉強だったな。まあ、とにかく地球は一つの恒星である太陽の周りをまわっていて、その太陽と太陽の周りを回る星々をあわせて「太陽系」と呼ぶ。その太陽系は銀河の中心に引っ張られて、銀河ごとグルグル回っているんだ。ちなみに銀河の中心は近くまで行ってもあまり面白くはない。遠目に一度見れば十分だ、どうせ近づけないし。その銀河の中の地球で言うところの「オリオン腕」という辺りに太陽系はあって、その辺りがアルニラム騎士団の勢力圏で、地球も一応そこに含まれている。というか銀河や宇宙の他の連中から見たら、地球はアルニラム騎士団の勢力圏内なんだよ。でも、宇宙は広いので、アルニラム騎士団も自分の勢力圏について事細かに知っているわけではない。それで、ある時、見つけちゃったんだ。地球って星を。未開の惑星だから放っておけばいいと思うだろう?最初はみんなそう思ったさ。でも、地球にはちょっと無視できないコトがあったんだ。地球人が「生物多様性」って呼んでる奴だね。


-そこの部分に来るのにだいぶ時間がかかったね。


まあ、急かさない。地球の言葉をしゃべるのは楽しいんだ。地球は遺伝子の図書館みたいな惑星で、アルニラムの科学者は「あと1万年放っておくと地球人はアルニラムの文明レベルを追い抜く」と試算したんだ。これは地球人には気持ちの悪い話だけど、連中はマジで1万年後の心配をして生きてるんだよ。クローン延命しても500年ぐらいで飽きて死ぬ連中がだよ?アルニラム騎士団は遺伝子の図書館を自分のモノにつつ、地球文明が独自の発展をしないように取り込もうと考えた。地球を破壊することはいつでもできるんだ。ただ、生き物がいる星系を破壊したことがバレると宇宙中から非難されて大変なことになるってだけで、技術的には木星と地球の位置を入れ替えるぐらいワケないんだ。


-初耳だぞ!?


……知らなかったのか。考えれば分かるだろうに。多分、600年ぐらいあればできるんじゃないかな?……まあそんな話は良いんだ。とにかく、地球の生命をなるべく減らさずに地球を制圧したかったんだな。アルニラムはもうここ4周期ぐらい目立った発展はしていない。でも、地球を手に入れれば宇宙でも屈指の文明集団になれるかもしれない。信じて欲しいがアルニラム騎士団の中でも「そんな馬鹿げたことを考えていないで1万年後は地球の属国になっていけばいい」って考える人間も多かったんだ。なぜならアルニラム騎士団だって多くの文明からアルニラム騎士団文明に乗り換えた人間の集合体だからね。ただ、「遺伝子の図書館、地球」って響きに欲望が抑えられなかったんだろうね。


-キミも?


私はむしろ「遺伝子の図書館に住んでみたい」方だね。どちらにせよ征服路線には反対だったよ。

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