「捕虜」ケベックの証言と見解1
まず最初に私は地球人ではない。ケン・アトキンス・ダール氏から証言を求められた侵略者側に属していた「人間」だ。まず私にカナダの国籍と素晴らしい地球名を下さった方々のご尽力に感謝したい。
さて私はアルニラム騎士団の勢力圏で生まれて育った。一般的な地球人に分かるように説明すると、アルニラム騎士団は大恒星アルニラムに比較的近い星域で発展した勢力で6周期の歴史を持つ。周期とは銀河を中心に銀河が公転する1周を1周期とするざっくりとした時間の単位で、地球の数え方では2億5000年に相当する。地球に比べると遥かに進んだ文明を持っていて……と言いたいところだが、どちらかというと遥かに「歪んだ」文明を持っていると表現した方が適切だ。例えば人間の一生を地球で言うところのロウソクにたとえるとき、ロウソクが表すのは命のはかなさである。しかし、多くのアルニラム騎士団民はロウソクにたとえた時に「燃やして終わりのロウがもったいない」と言った考え方をしてしまう。ロウソクが燃えきって人生が終わりならば、その後の心配をする必要はないと言った考え方は「破滅主義」だと考える。なぜ、ロウのような燃やして終わりのエネルギーに頼るのだ、そんなものは本当に緊急の時にしか必要はない。灯りを取るためにロウなどいちいち燃やしていたら、あっという間に資源が枯渇して300代後には何も残らない……といった考え方が本当にできるのがアルニラム騎士団民だ。地球では「再生可能エネルギー」と表現するらしいが、彼らアルニラム騎士団の兵器は全て再生可能エネルギーで賄われなくてはいけない。反重力技術があれば、地球の感覚からすると驚くほど大きなエネルギーを得ることができる。要するに「エネルギーはタダ」なのだと考えて欲しい。あそこで鉛玉を発砲して士官を射殺したゴードン・ワシントンJrの名前はアルニラム騎士団の歴史に永久に残るだろう。我々は特にレーザー兵器とイオン兵器類に対してしか防備をしてこなかったのだ。あの時、地球人に反撃するのに使った武器は当然レーザーの類で、地球人に多数の死者を出した。中には税政に取り組んでいたヒギンス合衆国大統領も含まれている。しかし、それと同じぐらい、ホームセンターで箱売りされている弾丸で侵略したアルニラム騎士団も命を落とした。他人事のように言うが、自業自得だよ。




