resolve
「つーわけでおっさん」
Unreality社に戻ったゼファーとゼオはニコルズにゾディを預けた。
「こいつよろしく、手、痛いんだわ、片目に埋まってる水晶外して壊してくれ」
ゾディはむっとした口で大人しくしていた。
「ど、どうしたんだいこの子…包帯巻いているが目が見えないのかい…?」
「FEARの一員だよ、連れてきた。目は片目は見えるらしい」
ニコルズは頭をかく。
「ほんっと…君はいきなり過ぎる…毎回驚かされるよ…」
ゼオはエドの包帯で巻いた手をニコルズに見せた。
「痛えのー!!見て分からねぇ!?血!これ血!」
それだけ言うと1人部屋に戻って行った。
「ゼファー君はどうするのかな…」
ゼファーは目を上に向け、考える。
「どのくらいかかります?」
「そうだね…いきなりだから…義眼も用意できないし…水晶を取り除いて瞼を繋げるくらいしか…ただこの子が納得するか…」
ニコルズとゼファーはゾディを見る。
「別に…もうどうでもいいよ…」
「な、なにかあったのかいこの子に…」
ゼファーに小声でニコルズが話しかける。
「双子だったんですよ、片方はゼオが」
「そうか……なるほど…辛かったんだね…」
ゾディは顔を背ける。
「眼帯になってしまうがいいかな?」
「別に…」
……
空気が悪くなる こんな所一刻も早く立ち去らないと気まずい。
「じ、じゃあ俺も戻りますねっ」
ゼファーは早歩きでその場から立ち去った。
「ゼオ」
部屋に戻るとゼオが包帯を巻き直していた。
「ん?」
「手、大丈夫か?」
ゼオは手を前に伸ばし開いて閉じての繰り返しをした。
「んー…まぁ痛てぇな」
ゼファーはゼオの隣に座る。
「肩は?」
「ああ、すっかり忘れてた。肩も痛いんだった」
「ちょ、見せて」
ゼファーはゼオの肩に手を伸ばす。
「うん!浅いから大丈夫でしょ!」
ペチン
その傷口を叩いた。
「あぁぁぁぁ!!てぇぇ!!やめろ!」
ゼオがゼファーの手を叩いた。
「ああ、痛いの?」
「ったりめぇだ!」
「まぁまぁもうすぐ治ると思うから」
そう言った刹那ゼオの傷口から黒煙が上がり、傷口が塞がった。
「おーーー!この解放された感じたまんねぇーー!!」
ゼオは再び手を開いて閉じての繰り返しを始めた。
「後はあの子が来るだけだね」
「ああそうだ」
しばらくすると、部屋のブザーが音を立てた。
「へいへい」
ゼオが入り口に向かって呼ぶとドアが開く。
「やあ、遅くなってしまったよ」
ニコルズが部屋に入ってくる。
「さ、ほら君も」
ニコルズがドアの先にいるゾディに呼びかける。
するとゾディが部屋に入ってきた。
「ま、無事成功だ。」
ゾディは右目を包帯で巻いている。
左目は下を向いて無愛想な顔をしていた。
「包帯は今すぐにでも取れる状態だ。そしたら眼帯を巻いてくれ。」
そう言ってニコルズはゾディに眼帯を渡した。
「部屋は君たちの部屋の隣に私が昔使っていた寝るためだけの空き部屋がある、少し埃っぽいが…使うといい、後は頼んだよ」
ニコルズはそう言い部屋を出て行った。
ゾディはそのまま動かず、下を向いたままだ。
「おいほら、こっちこい」
ゼオがゾディに呼びかける。
ゾディは顔を上げ、2人を嫌そうな顔で見る。
「だぁぁぁいじょぶだ取って食ったりしねーよ」
それでもゾディは躊躇っている。
「おいで、何もしないから」
ゼファーが優しく声をかけるとゾディはゆっくりと近づいてきた。
「はーーー!なんでこう!俺は嫌われんだぁ?はーーー!!」
ゾディは2人の真ん中に座って下を向いた。
「さぁーて、まず何を聞こうか」
ゼオがゾディの頭をぽんぽんと叩く。
「どうしてFEARに?」
ゼファーがゾディの顔を見上げて言った。
「僕達…孤児だった…」
「みなしご?」
ゼオがゼファーに問う。
「親がいないんだよ」
「なるほど」
ゼオが軽く頷く。
「ごめんね、続けて」
「僕達…親を殺されて…男の人達に無理やり身体を売らされた…」
「…」
ゼオとゼファーは黙ってゾディを見続けた。
「何人もの男にも!女にも!犯されて…限界に来た時僕達は買った男を殺して逃げた…」
ゾディの声に若干震えが入った。
「それで家がなくて路地裏で屈み込んでた僕達を…ルーカお姉さんが拾ってくれた」
「ルーカさんが…」
「そして僕達は見えない目の方に水晶を埋められて、よく解らない薬を打たれた」
「薬…?」
確かルーカさんも薬を打たれたと聞いた。
何だろうか。
「薬を打ってから僕達は変わった、平気で人を殺すようになった、そしてページボーイとして…ベル家に使えた」
ゾディの左目に涙が浮かぶ。
「さっき水晶を取ってもらってから何故か殺人意欲や疼きが消えた、楽になったよ…けど」
ゾディは着ていたYシャツを握って震え始めた。
「僕は…僕は…これからどうすればいいの……エドも死んじゃった…ベル家も置いてこんな場所…」
ゾディは泣きながら震えた声で言った。
「いいか…ゾディ…」
ゼオが真剣な目で語り始めた。
「俺達はこの街の使えない警察の代わりに悪を滅ぼしている、FEAR…この集団は悪だ、解るな…?」
ゾディは泣きながら頷く。
「FEARがいなければお前たち兄弟はまだ売られてただろうが、拾われたお前たちは戦い、結果片方を俺が殺した」
ゼファーがゾディへ言った。
「ただな、俺達はFEARを潰す、お前の兄弟の為にもな」
ゼオがゾディの肩に手を回し、自分に寄せる。
「お前はもうFEARじゃない、俺達の仲間だ」
ゾディはゼオにしがみつき、再び声を上げて泣いた。
「ただ毎日食えんのはかってぇパン たまにうっすい魚のフィッシュ・アンド・チップス、ここの社員はカフェイン中毒者しかいねぇからコーヒーしかない」
「はぁー…ゼオ」
「だって真実だもーーん、まぁ?今度特別にぐっにゃぐにゃのポークビッツ缶を出してやるお楽しみに〜」
「全然楽しみじゃないよね」
「ほらいつまでやってんの、お前だよ著者、早く場面切り替えんな」
その後、ゼファーはシャワーを済ませ、ゼオがシャワーを浴びてる時にゾディの部屋へ行った。
ゾディの部屋はベッドに机、奥の扉はトイレだろう。
極めて殺風景な部屋だ。
そのベッドにゾディは体育座りで座っていた。服は着替えが無いため、ニコルズから借りたYシャツのみだ。
ゼファーが部屋に入るとゾディは目をこちらに向けた。
「暇だよね?こんな何も無い部屋」
「…別に…」
「後で本持ってきたげるよ」
「…」
間が開く。
空気的に既に逃げ出したい所だが…交流て事で…。
ゼファーはゾディの顔を見た。
さらさらな金髪に青い大きな目。
「なるほど、ルーカさんに拾われる訳か」
ゼファーはゾディの頭を撫でた。
ゾディは恥ずかしそうに顔を逸らした。
「ああ言う言い方しかできなくていい加減な奴だけど…良い奴なんだよゼオは」
ゼファーはゾディの隣に座り、上を見上げる。
「まぁ怖かったら俺んとこおいで」
「…別に…怖くなんてない…」
ゼファーはゾディを見て微笑んだ。
「そっか…じゃあもう遅いし、ゼオもそろそろ出てる頃だろうから戻るね」
ゼファーは部屋を出る。
その後ろ姿をゾディは目で追った。
「どうだゾディは」
ゼオは風呂から上がったみたいだ。
上半身裸の短パンでベッドでぐったりしている。
「まぁ…大丈夫かな」
「そうじゃあいいや」
ゼファーはゼオに服を投げる。
「明日はどうするのさ」
ゼオは渡された服を着た。
「ベル家ってとこに行く」
「場所は?」
「わかるぜ、南地区の山奥だ」
ゼオはあるであろう方向を指差した。
「そっちは北じゃないか」
「じゃあこっちだ。」
「そっちは東だ」
「……あ、そうだゼファー」
「ん?」
「お前に謝んなきゃいけねぇ事あんだ」
「どうしたのさ急に」
ゼオは真剣な表情をする。
「今日金玉光ってねぇわ」




