Psycho Case3:SHOOTING STAR
その夜だ。
まただ、またあの夢だ。
私なにかした?
お前らのせいで俺は。
この人殺し。
死にたくなかった。
I still want blood.
Tear meat.
Crush a bone.
Drink a heart.
Darknesssssssss!!
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
「!?」
叫び声で目が覚める。
叫んだのはゼオだ。
ゼオの寝相はピカイチ酷いがそんなものでは無い、腕は上に上がり、黒煙を纏わせていた。
「ゼオ!?」
飛び起きてゼオを見る。
その手は獣の様に爪を立てガクガクと動いている。
ゼオもその自分の腕を冷や汗をかきながら睨みつけている。
バンッビシィィ
突然その腕が破裂し、飛び散り、ゼオが静まる。
その腕は黒煙により元に戻り始めていた。
「ゼオ…?」
ゼファーは唖然と目を点にさせゼオを呼ぶ。
「んだよ……何だってんだよDarkness!!」
ゼオはベッドを殴った。
「大丈夫…?」
「ごめん、起こしちまった。」
「今の…」
「…Darknessは何がしたい…何を求めている…」
「わからない…」
「……最高の力だな…くそが…」
ゼオがベッドにうずくまる。
「ゼオ…」
ゼファーはその姿を見守るしか出来なかった。
他人事では無い、自分も該当者、Darknessなのだ。
そう考えているうちに自然と眠りに落ちたのだった。
「へぇ…これねー」
翌日、ニコルズ博士からチケットが2枚渡された。
「バンド名、Madness」
「狂気か…ふ…ふふっ…だっはっはっは!!き、狂気、狂気だってよぉ!最高にいっっったいぜぇ!!」
「それだとSlaughterも笑われても文句言えないよ」
「あぁ!?誰だ笑ってる奴ァ!ぶち殺しちめぇぞ!」
「ほんと自分勝手…ボーカルの名前は…イースト?」
「ああ、調べたところ、鎌鼬の本名は東 丈一郎」
「おお!?日本人なんか?」
「ああ、日本人だよ」
「これ、他のメンバーは?」
「それも調べたけど他のメンバーはみんな普通のアーティストだ、問題はなさそう」
「ふーん」
ゼオがチケットの裏面を見る。
会場
東地区 バロック通り
廃ビル 地下
17:30より
尚終了時間は未定
「終了時間未定って…」
「ワケありってこった」
「で?どう潜入すんの?」
「フード被ってりゃいいだろ、それとも女装でもすっか?」
「…いやフード被る…」
「えーと…公演は明日」
「じゃーーー今日は普通にSlaughterだな」
2人は準備を終えると部屋を出た。
「最近煙草の名前のギャング増えすぎだな」
2人はニコルズから連絡を受け、とある取引がある倉庫の二階にいた。
目と鼻の先では麻薬と銃器の取引をしている。
片方はPhilip Morris
もう片方はhi-lite
Philip Morris側には下にbasicと言うギャングを連れている。
「あれがハイライト?で、あれがフィリップ…あーなんちゃらにベーシック?」
「多分」
双方話し合っているが突然騒がしくなる。
どうやらもめ事が起きたみたいだ。
「あれ?なんかやばくね?」
Philip Morris側の方がhi-liteに拳銃を向けている。
「なんかややこしいことになってない?」
「ははっ!おもしれー!ややこしくても殺りゃいいんだ」
ゼオは二階から降りる階段に向かう。
「お前らフィリップモリス舐めすぎなんだよ!」
「なに言ってやがる!ここの地域は俺達のシマだ!」
なにやら、危ない状況。
ゼオはどこか楽しそうな笑みを浮かべ、駆け足でフィリップモリス側に駆け寄る。
その後をゆっくり歩きながらゼファーが追う。
「最初に手を出したのはフィリップモリスだろ!?好き勝手抜かすんじゃねぇ!」
「お前らの時代は終わったんだよ!」
「そーだそーだー!これからはパーラメントの時代なんだ!」
「んだよ!パーラメ…!…パーラメント?」
両者とも聞き慣れない声がする方へ振り向く。
ゼオがハイライト側に拳銃を構えて立っている。
その表情は真剣そのものだが、両者全員ゼオを見て呆然としている。
「あそこにアホがいるぞ」
影でこそっとゼファーが言う。
「あれ?パー、パーラメントだっけ?」
「いや…フィリップモリスだ」
「おぉっ!そうだ!なんちゃらモリスだ!」
「いや、お前誰だガキ」
「えっ?続きは?なぁーんだよつまんねー!」
「いいかハイライト共、舐めてっとこうなるからな」
ゼオの隣にいるのは多分リーダーだろう。
そのリーダーがゼオの頭に拳銃を向ける。
ダァン
ゼオは脳漿を飛び散らせ倒れる。
「うわぁ!まじ撃ちやがった!」
hi-lite側が騒ぐ。
「女、子供関係なく俺達ぁ撃つからな」
Philip Morris側のリーダーがもう一度hi-lite側に拳銃を向ける。
「わかった!わかった!どうすればいい!?」
「こうすればいい」
するとPhilip Morrisのリーダーの足元から声がする。
リーダーが足元を見ると、銃口が見えた。
「あ…?」
パララララララ
リーダーの頭が吹き飛び目玉と脳が飛び散る。
「あぁーもうめちゃくちゃだぁ」
ゼファーが物陰から出てきて、拳銃を向ける。
パララララララララ
「ぐぁぁぁぁ!いてぇ!」
「な、なんだこいつら!?」
ダァン ダァン ダァン
両者とも慌てて逃げ出す。
hi-lite側は銃を持っていないので逃げるしかできない。
「逃がすかよ」
ゼオが倒れた状態から脚に黒煙を纏わせ地面を蹴り、hi-lite側に急接近。
手から高周波ブレードを出す。
「うわぁぁぁぁぁ!」
シュバンッ ドチャァ
1番目に遭遇した男の体を両断する。
「バケモンだこいつら!!」
ダッ ブンッ ブシィィィィ
叫んだ男の首を踏み込んで切る。
半分しか斬れてないせいか、細い傷口から大量の血が噴き出る。
ゼオは返り血をモロに浴びる。
「うっわ!きったねぇ!悪者の血を浴びちまった!副流煙になる!!」
「自業自得だゼオ」
パララララララララ
「がはぁ!」
「ぐわぁ!」
ゼファーは銃を撃ち続けPhilip Morris側を次々と倒していく。
カチンッ
「あら?」
「やつは弾切れだ!撃てぇ!」
ダンッ ダンッ ダンッ
ビスッ ドスッ ドスッ
次々とゼファーに被弾し、銃創から血が溢れる。
「連射出来んのは良いけど、すぐ弾無くなるんだよな…」
手から弾切れの銃が落ちる。
そして再び銃を出現させる。
「な、なんだありゃあ…銃が…」
銃創を塞ぎながら銃を向ける。
「まぁいいけど…」
パララララララララ
「あ、ゼオ、笛ならしてないや」
パララララララララ
「ぐぁぁぁ!」
「し、死にたくねぇ!」
「あー…もういいや、決まりじゃねーしめんどう」
ブシィィィィ
「頼む!死にたく…」
パララララララ
「あーあ、全部殺っちまった。1人残しとけよ」
「あ、悪い」
ダァン ダァン ダァン
「おっ…!まだいたっ」
「まってゼオ、最初あんなのいなかった」
「はぁ?」
2人に向けて撃ったのはどこか西部劇に出てきそうな服装にカウボーイハット。
手にはSAAのリボルバーを持った渋そうな男。
「わぁーー…かっけ……ひゅう…アウトローだな」
バッ
男がホルスターから銃を抜く。
ダァン
ビスッ
ゼファーの肩を掠める。
「っ!」
肩に痛みが走る。
まさかっ
ダァン ダァン ダァン
「隠れろゼオ!」
「え?お、おうっ」
フシュ
「痛っ!」
次はゼオの腕を掠める。
倉庫だったため、隠れる場所は幾多にある。
2人は積み荷に身を隠す。
「いっったーーー!っだあいつ!?」
「わからないっ…いや、FEARの連中か…」
ゼファーが角から覗き込む。
ダァン キィン
撃った銃弾は積み荷に当たり弾かれる。
「あっぶな」
「ゼファー、肩大丈夫か?」
「ああ、掠っただけだから大丈夫、痺れて痛いけど、そっちは?」
「俺も掠っただけだ、傷は浅い」
「そうか、いいかゼオ、刀じゃ分が悪いぞ…」
「ああ解ってる」
ゼオが銃を出現させる。
「固まらないように…そうだな…1.2.3で俺が向こうの積み荷に移動するから…」
「援護しろってか?俺のエイム力をよく知ってんなぁ」
「いや…ばらまいて気をそらせるだけ…頼んだ」
「あいあいさーー!!まっかせな!」
「1…2…3!」
ダッ
パララララララララ
ダァン ダァン ダァン
ゼファーが積み荷に向かって走る。
その後ろでゼオが銃を撃つが無論男も撃ってくる。
ズサァァァァ バッ
ゼファーは間一髪でスライディングをし、無事に隠れる事ができた。
「大丈夫かゼファー!」
「ああなんとかっ」
積み荷の隙間から男を見る。
男は二丁拳銃を上に向け、佇んでいる。
「誰だおっさん!」
ゼオが叫ぶ。
「クックック…ガッハッハッハッハッ!」
男は派手に笑い出した。
「なかなかやるな坊主!シューティングスターの銃撃を免れるとは!ガッハッハッハッハッ!」
シューティングスター…?
「流れ星きらりーーん…っておい!!!おっさんめっちゃかっけえ声してんじゃん!待たせたなって言ってみてくれよっっっと!!」
ゼオが銃を持った腕だけを出す。
パララララララララ
ダァン
ガキィン
「うわたっ!」
銃を撃たれ弾き飛ぶ。
「ガハハハハ!乱射乱撃じゃ駄目なんだよ坊主!」
「くっそオヤジ…」
「ゼオっ…!ゼオっ…!」
「ん…?」
ゼファーが脚に黒煙を纏わせている。
指で前にある別の積み荷に移動しろ、というジェスチャーをしている。
「ああ…」
ゼオが頷く。
ダッ ズサァァァァ
パラララララララ
ダァン ダァン
ドンッ
スライディングの勢いでゼファーが積み荷に激突。
そのままカバー。
「いい動きするなゼファー…俺もっ…!」
ダッ ズサァァァァ
ダァン ダァン ダァン
「あっぶね!あっぶねっ!」
「大丈夫か?」
「うーーーん!アドレナリーーン!ドッパァー」
「大丈夫そうだな…」
ゼオが銃を出現させる。
「ほほう…すばしっこい坊主だなぁ!」
「うっせ!黙れ!」
パララララララララ
ダァン
ビスッ
「いっ!」
是雄の手の甲を弾が掠る。
「あっくっそ…どうするゼファー!」
「ゼオ、あんまり調子に乗らないの、奴は水晶を使ってる、それに射撃が正確だ…」
「銃に水晶があんのか!?」
「多分…」
ダァン
ボスッ
2人は頭を下げるが、足元の床に穴が開く。
「教えてやる!よく見ろ坊主!」
ゼファーが穴が開いた場所に身を低くし、近づく。
「…!」
ダァン
ドスッ
「ぐあぁ!」
ゼファーの肩に被弾する。
「ゼファー!」
ゼオが駆け寄る。
ダァン
カァン
「あっ!…ぶねっ…ゼファー!」
ゼファーは、その場で転がりゼオの元へ行く。
「いっ…たぁ…」
肩から血が流れ、服が血で汚れる。
「大丈夫か…!?」
「ああ…大丈夫…かな…それよりゼオ」
「あん?」
「弾だ…」
「弾ぁ?」
「あれ…、水晶が銃弾になってる…」
「まじかよ…」
「まずいぞゼオ、慎重に行かなきゃ真面目に今日命日になるぞ」
「いや…」
ゼオが身を出し銃を構える。
「命日はあいつだ」
「ゼオ…?」
「ああぁぁぁぁ!」
突然ゼオは真正面に立ち銃を構える。
気は確かか…?
パララララララララ
ダァン ダァン ダァン
ドスッ ドスッ ドスッ
「ぐっ…くっ…あぁぁぁぁぁ!」
パララララララララ
ダァン
ドスッ
ゼオは次々と銃弾を受けながらも必死に連射した。
運よく急所を外していたが出血が酷い。
時間の問題だ。
「ぜっゼオ!」
カチッ カチッ
既に弾は尽きている。
それでもゼオは弾が出る事の無い引き金を引き続けた。
「終わりだ坊主」
ダァン
バッ
間一髪、ゼファーがゼオを引っ張ったがゼオの身体は力が無く倒れた。
「ゼオ!ゼオ!しっかり!」
「はっ……痛ってぇなぁ…撃たれるってのは…」
腹部に2発、肩に1発、太ももに1発撃たれたゼオは手を動かすのがやっとか。
「にひひぃ…やっぱ…格好つかねー」
「この馬鹿!!」
ゼオはゼファーを見るとゼファーは涙目になっていた。
「…ぐっ…ごめん…」
どうすればいい…下手に動けば自分が撃たれる。
だが何もしなければ2人共危ない。
選択の余地はない。
殺るしかない、あの男を。
「ああ…どうすれば…」
当たりを見回すが使えそうな物はない。
自分が隠れているのはhi-liteが用意した大量の薬の裏だ。
いつ崩れてもおかしくない。
「くそ…くそ…どうすれば…」
何か奴を倒す方法を考えなければ。
ゼファーはただ大量の薬物を見つめながら考えていた。
どうする…フルオートからセミオートにして一発ずつ確実に…いや、奴の方が腕は上だ、狙いなんか定めていたら奴に撃たれる。
どうすれば…どうすればいい…
「なにもたもたしてるんだ坊主!煙草一本吸い終わっちまうぜ!」
ダァン
バスッ
サァァァァ
薬物が入った布に当たり薬物が流れ出る。
「くそ…くそ…」
その流れる薬物を見ていた時、異変に気がついた。
「これ…薬か…?」
大量の薬物を全体的に見る。
よくよく考えたらありえない…こんなに大量に…
ほんの少量手に取り確かめてみる。
「これ…小麦粉…薄力粉…かなにかじゃないか?」
「ははっ…hi-liteのやろう…騙して取引しようとしてやがったんだ…」
「ゼオ…」
「ん…なんだ…」
「ちょっと耳貸して」
「切って貸すか?」
「冗談言ってる場合じゃないだろ」
「ごめ…で?」
ゼファーはゼオにある事を伝えた。
「なるほどね…ゼファーが考えたんだ、上手くいくだろ」
「じゃあ行くから…気をつけて、絶対死ぬんじゃないぞ!?」
ゼファーは脚に黒煙を纏わせた。
バンッ
ダァンダァン
ゼファーは大ジャンプで二階に飛び、銃撃をかわし、身を隠し姿を消した。
「チィ逃げたか小僧」
男がゼオが隠れている積み荷に近づく。
バッ
男が銃を構えゼオの前に姿を現す。
そこには血塗れで積み荷に寄りかかり男を見るゼオがいた。
「…よぉ…つえーなおっさん」
「1人は逃がしちまったが…まぁいい…」
男がリボルバーのハンマーを起こす。
「Slaughter1人始末した。こんな手柄はねぇなぁ…」
「…待て…最後に1つ待ってくれ…頼みがある…」
「なんだ坊主、訊いてやる」
「煙草…吸ってみてぇんだ…一本貰えないか…」
「がははっ…そんな事か、まぁいいだろう…ガキには早ぇが煙草の味も知らずに死ぬなんて可哀想だからな、冥土の土産だ」
「サンキュー…」
ゼオは血塗れの手を差し出す。
男は煙草一本とジッポライターを渡してきた。
「へぇ…いいジッポだな…」
「ほぉー、わかるか?親父から受け継いだ代物なんだ、最後に見れて光栄だと思え」
カチィン
ジッポライターを開ける。
「へぇ…じゃあそんな良いジッポで…」
「そうだ、お前は最初で最後の一服ができる」
「あんたは死ぬわけだ…」
「……なんだと?」
「ゼファー!!!」
血を吐きながらゼオが叫ぶ。
バッ
二階にゼファーの姿が現れる。
「ガキィィィ!」
男がホルスターに手を伸ばす。
ダァン
銃声が響くが
先に撃ったのはゼオだ。
男のリボルバーが吹き飛ぶ。
「くそぉ…!」
「こっちだ!」
ゼファーがそう叫び、なにかを放り投げる。
ボファァァァ
「ゲッホ!ゲッホ!な、なんだ!?」
ゼファーが撒いたのは、薬、いや、薄力粉
「…おっさん」
男がゼオを見る。
「アディオース…」
ゼオがジッポライターを着火した。
「なにぃ…」
-Unreality社本部-
ニコルズは1人、窓際でコーヒーを飲みながら考え事をしていた。
Darkness…2人から聞いたが…意思を持っているのか…あの力は…
だとすると手に入れた側はその意思が受け入れられていなければどうなる…?
ふむ……謎は深まるばかりだ…
コーヒー啜る。
すると眺めていた先にある倉庫で大規模な大爆発が起き、コーヒーを吹き出す。
「ブッ!なっなんだ!?」
爆発音が社内まで聞こえ社員達がざわめく。
バリィィン
ドッ ズサァァァァ
爆風で二階にいたゼファーが窓から外に吹っ飛ぶ。
「ふぐわぁ!」
倉庫は派手に爆発し、高く炎上している。
「びっくりしたぁ…すげぇ…粉塵爆発って」
前に漫画で読んだことがあって試して見たがこんなに上手くいくなんて。
炎上している倉庫を眺める。
「って、こんなことしてる場合じゃない!ゼオ!」
走ってゼオを探す。
そして、倉庫の外の影でなにかがうごめいた。
「ゼオ!?」
ゼファーが駆け寄る。
「ぐっ…あああ…」
そこにいたのは両脚と左手の肘から先を失ったあの男だ。
爆発で吹き飛んだのか。
その場で蠢いている。
「動くな」
ゼファーが手を黒煙のブレードにして男の頭に突きつける。
「やりやがった…な…坊主ぅ…」
「当たり前だ、俺達はSlaughterなんだ」
「…はっ…もう1人だけだ」
「それはどうか」
ゼファーが燃え上がる倉庫を見る。
「ほんとっいいジッポだなぁ」
ジッポライターを持ったゼオが倉庫から姿を現す。
「な…なんだ…と…」
「あんたの銃撃だったら死んでたけどなぁー!こんな爆発じゃ死なねーよ!この爆発で弾の水晶は全部壊れたんだろ、すこぶるゴキゲンだぜ!」
「さて、あんたが死ぬ前に吐いてもらおうか」
ゼオが男に銃を突きつける。
「Slaughterを窮地に追いやった銃で殺されんだ、光栄に思え」
「あんたらFEARだろ?上の名前を言ってもらおうか。」
「ぐぬぬ…ガキ…が…」
男はうつ伏せだった身体を右手のみの自力で仰向けにする。
「ぐっ…た、煙草…くれ…胸ポケットに入ってる…」
「はっ、冥土の土産ってか」
ゼオは男の胸ポケットを探る。
次の瞬間だった。
ガッ
「おおぉ!」
男は右手で全力でゼオを殴り飛ばす。
バッ
男はもう一つのリボルバーに手を伸ばす。
「しまった!やつは二丁拳銃だった!」
ダァン
撃たれた?どっちが?どこを撃たれた?
突然の事だったため、目を瞑るしかできなかった。
「…」
少なくとも俺は痛くない…ゼオか…?
ゼファーがゆっくりと目を開ける。
ゼオを見ると、ゼオもまたゼファーと同じ事をしていたであろう、固まったまま目をゆっくり開けていた。
「…あれ…?」
2人共に撃たれてはいない。
男を見る。
「はっ…?」
男は銃を自分の顎の下に突きつけ、頭から脳漿を飛び散らせ、息絶えていた。
「死に…やがった…」
突然の事に呆然と立ち尽くす2人。
2人は顔を見やる。
「くそ……くそ!」
ゼオが苛立ち始める。
「情報聞けなかった…!あんな思いして…くそ!」
「ゼオ…まだ…まだFEARはいるんだ…」
「くっ…そうだな…こうなっちゃ仕方ない…」
「…帰ろう」
そのときだった。
「2人共動くなぁ!」
叫ぶ方を見る。
「まーじ…警察とか勘弁」
通報があったのか、警察が出動していた。
警察であっても銃は所持していないため、警棒を構えている。
「武器を捨てろ!」
「めんどくせぇな…」
ガチャン カラカラ
「ゼオ、捨てるのか?」
「いいよめんどくせぇ捕まらねぇし」
「そうか…」
ガチャ ガチャ
「そのまま動くな! 倉庫を確認しろ!」
「了解です!警部!」
部下達が倉庫付近を捜索し始める。
警部と呼ばれた男は小太りで鼻の下に髭を生やしている。
「この爆発はお前らか?」
「はい…俺達でーす」
「未成年…だな?いや、そんなのこの惨状じゃ関係ない、署まで来てもらう。」
ジャラ カシャン
警官は手錠を取り出し、ゼオに繋ぐ。
「11月11日午後20時38分、現行犯逮…」
バキン
ゼオが手錠を引きちぎる。
「なっなんだ貴様ぁ!」
「わり、署より帰って寝てぇんだ、明日ライブあるし」
ガキン ガキン
手錠の輪も引きちぎる。
「なんだ…お前らは…」
「警部!これを!」
部下が男の遺体を発見する。
「大量銃殺犯のマイケル・ライアンです!」
「なにぃ!?」
「あらま、そんなやつと戦ってたんだ。」
「戦ってたって…お前ら…一体何者なんだ…」
「俺達?」
「俺達はSlaughter…悪だけど悪を滅ぼすんだ」
「邪魔をすれば一般人にも容赦はしない…だろ?」
「ああそうだゼファー」
「一般人って…お前ら…」
「安心しろよ、邪魔しない限りはなんもしねーよ」
「…何人殺した…?」
「はぁ?覚えてるわけねぇだろ、記憶力はそんな良くねぇんだ、あんたは今まで食ったパンの数覚えてんのかぁ?俺は覚えてるよ、3枚」
「すっくな」
その言葉に顔を真っ赤にして怒りを押さえてた警部が遂にキレた。
「ふざけるなぁ!一般人が死んでるんだぞ!そんな貴様らを野放しにできるか!」
言い返すようにゼオが怒鳴る。
「てめぇらがやんねぇからだろうがよ!こんな時だけ善人面してんじゃねぇ!」
「状況が状況だ!」
「てめぇらは状況で悪を決めんのか!?状況が悪くなきゃそこらの売人をほっとくのかぁ!?あぁ!?」
「警察はもっとちゃんと国の為に働いたほうがいい…このままじゃ悪が増える一方じゃないですか?」
ゼファーが割り込む。
「ぐっ……日々の巡回を怠ったのは認めよう…だがしかし…君たちを放っておくことはできない……!」
「放っとかない以外になんもできねぇよ、俺達2人を縛れんのはDarknessだけだ」
「…Darkness?」
ボォォォン
倉庫でまた軽い爆発があった。
「くっ…あっ…!伏せろ!」
爆発で平たい鉄板がこっちに向かって飛んでくる。
ドッ ブシィィィ
鉄板はゼファーに当たりゼファーの上半身は斜めに切断され、倒れる。
「あぁっ!」
突然の出来事に刑事は声を上げるが、ゼオはそのまま刑事を睨む。
「お、おい…それは…死ん…」
するとゼファーの下半身は不自然に起き上がり、その断面から出た黒煙と共に上半身は元に戻る。
「あ…あっ…ああ…」
警部は口をパクパクさせ、唖然とした顔をしていた。
「Darknessだ」
「しっ…信じられん…」
「信じて貰うしかない、いや、もうわかってんだろ」
「夢でも見てるのか……?」
「だとしたら相当な悪夢だな、寝るのがトラウマになっちまう」
「こんなの一体…どうすればいいんだ…」
「さっきからうるせぇなぁ、あんたはもっとやる事あんだろ、ピーチ姫を救うとかよ、俺らはもう帰るぞ」
「だ…だが…」
「帰るから」
ゼオが強気で言い返し、Unreality社の方へ歩き始める。
その後ろをゼファーがくっついて追いかける。
「まて…どこに帰るかだけ…」
「Unreality」
そう言うと2人は歩いて街の暗闇に消えていった。
「警部…いいのでしょうか…?」
「…いいわけない…いいわけないんだ…」
「なら今なら間に合います。2人を捕まえましょう…!」
「わかっている!わかっている……!」
「警部…?」
「…お前は見たか…?あれを…」
「ええ…」
「なら今俺がお前に奴らを捕らえろ、と言ったら遂行できるか…?」
「……正直不可能です…」
「当たり前だ…だがこのままじゃいけない…本部に戻りSlaughterとUnrealityと言うものについて調べるぞ」
「承知致しました」
せっまい…
Unreality社に戻った2人は食事等を済ませ、床に就いていた。
ゼオは大の字になっている。
「…もう…狭いって…」
ゼファーがゼオの手足を押す。
「あれ?ゼオ?」
「ん…?」
起きてたのか。
どこかを見ながらボーっとしていた。
「珍しい、起きてるの」
「ああ…」
ゼオの頭が小刻みに縦に揺れる。
「どうしたの?」
「いや…ここんとこ毎日あの夢なんだ、今日も寝たら見るのかなって」
そう言うゼオの顔はどこか遠い目をしてしょんぼりしている。
「…嫌な夢だよね…」
「まーじ嫌なんだけどーーー」
ゼオが手足をバタバタさせる。
「あの、ゼオ狭い」
「ごめっちゃごめっちゃ」
こうして夜は明けた。




