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Slaughter  作者: はく
14/26

Psycho Case2:BLADE GIRL

「何をやっているのかしら?」


その声と共に手下達は一斉に振り返る。

しかし奥は薄暗く姿が見えない。


「あ、姐さん…助けてくれぇ!」

「こいつら…!こいつらぁ!」


すると豪快な風切り音と鈍い音が聞こえ、手下の殆どの上半身がどちゃどちゃと飛んできたのだ。


「ひぃぃ!?」


奇跡的に斬撃を免れた手下が身をかがめる。


「おっふぁーー!すっげーなぁ!みーんな真っ二つ!」

「ゼオ、喜んでる場合じゃないかも」

「子供に命乞いをするなんて一体どう言う事なのかしら?」

「あ、あいつらバケモンでぇ!」

「…まぁいいわ、行きなさい」

「あ!ありがとうございますぅ!」


ドンと言う音と共にその男の身体は斜めに両断された。


「あら、失礼、ちょっと肩に置かせて貰おうと思ってただけなのよ」


コツコツと足音が聞こえる。


「重いのよねコレ、疲れちゃうわ」

「持ってやろーかぁ?」

「あらそぉ?」


ガァンと地面が割れる音。

2人の前に現れたのは布面積よりも肌の露出の方が多い赤いドレスの様な衣類を身に纏った女性だ。

その傍らに全身を隠せるくらいの横幅に身の丈を超える大きなブレード。


「うっお、すげぇ…」

「ああ…大きいな」

「はみ出しそうだ…」

「…ゼオ何見てんの」

「夢と希望?」

「あらあら、こんなに可愛らしい子達とは思わなかったわ」

「はん!それはどうかな!」


ゼオが日本刀を出現させる。


「あらぁ、そんな可愛らしいモノで私をイかせられるかしら?」

「何を言う、俺のはマグナムだ」

「ぷっ…マグナム…」

「ゼファー何笑ってんねん」

「いや、それも夢と希望かなって」

「まぁ見てろよ!」


ゼオは日本刀を担ぎ女に突っ込み振り下ろす。


「らぁ!!」


どこからそのような力が出ているのか、女はブレードで刀を弾くとギィンと音と共に日本刀は根元から折れたのだ。


「うえぇ!?」

「ゼオ!!!」


叫ぶが遅い。

巨大なブレードの柄がゼオの腹部にねじ込まれ体が吹き飛ぶ。


「そんなオモチャじゃ満足しないわねぇ」

「ゼオ!大丈夫か!?」

「だ、大丈夫、なんだあの女…」


巨大なブレードを肩に担ぎ、女は微笑んだ。


「日本刀じゃ無理…か…」

「なら力を使うぞ」


ゼオは両手に黒煙を纏わせる。


「ゼファーもいくぞ」

「了解」


ゼファーも両手に黒煙を纏わせ、ブレードを作る。


「あら?そんなチンケなモノで私を斬れるかしらねぇ」

「ほざけ…!」


ダッ


2人は一斉に走る。


「おらぁ!」


ブォンと言う音と共に一撃がかわされた

続けてゼファーが攻撃を食らわせるがまたもや身体をくねらせかわされる。


「くっそ…」

「ダンスでも踊っているのかしら」


ブォン


来たっだがブレードでカバーできない速さでは無…

巨大なブレードの側面が2人に襲いかかると激しい衝撃と共に2人は吹き飛んだ。


「!?」


なぜだ!?今完璧にガードしたはず…

女の一撃はゼファーとゼオのブレードをすり抜け、身体に叩き込まれる。


「ふふ、ダンスは初めてなのかしら?」

「どういう事だ…?」

「なんですり抜けた…?」

「わからねぇこんなの初めてだ…」


すると女は微笑み、口を開く


「純粋無垢な坊や達に教えてあげるわ」


女は巨大なブレードを地面に突き刺す。


「このブレードには素晴らしい水晶が埋め込まれているのよ…」

「!水晶だと!?」

「これ」


ブレードの中央には透明な水晶が埋め込まれている。


「Darknessを無効にできるのよ、そして肉に食い込んだ刃からDarknessを吸収できる…」

「本格的にマズいんじゃないか…?ゼオ?」

「あぁ…斬られたらマズいな」

「そしてこの太っといのはとびきりの合金…あなた達の日本刀なんでただの子供の玩具…最高ね…」

「…ああ最高だ…」


身体を起こし、日本刀を出現させる。


「どうしてもその玩具で私をイかせたいつもりのようね…」

「ナメるな、俺達は2人だ」

「へぇ…よろしい関係なのねぇ」

「ゼオ、次は真面目に避けないと危ないぞ」

「ああ、わかってる…行くぞ…」


ゼオとゼファーは脚に黒煙を纏わせ一斉に走る。

女に構える素振りはない。


「らぁぁぁぁ!」


ゼオは地面を蹴り上げ跳び、刀で突きつけ切りかかる。

しかしどこから巨大なブレードを振り上げる力を出しているのが解らないくらい細い腕でブレードを瞬時に横に振る。


ギィン ピィィィン


刀はブレードの合金の切れ味と力で簡単に切れてしまう。

なんとか交わす事は出来たがゼオの身体は勢いで吹き飛ぶ。

その隙を見計らいゼファーは女の脚元にスライディングして切りかかる。


ゴッ カッ


しかしブレードの柄を突き立てられ斬撃を防がれる。


「あら?スカートを覗こうとするなんでおませさんだこと」

「ち、違っ……!」


冗談に返事を返してる場合ではない。

女はそのブレードの柄を蹴り、現在地面に伏せてる状態のゼファーに柄をぶち当て身体を吹き飛ばす。


ドッ パキィ


どこかの骨が折れる音がしたが、今の攻撃ではDarknessは大丈夫のようだ。


「くっそ…なんであんなブレード振り回せるんだ…」


ゼオはゼファーが吹き飛んだ場所に後ろ歩きで刀を構えながら近づいてきた。


「わからない…」

「どうやってやんだよ…」

「使えない刀で防御しつつ隙を狙うか、黒煙ブレードで行って本体を斬るか」

「いや…まだある」


女を睨みながらゼオが言う


「なにがあるんだ?」

「結構前に言ったよな、刀や銃自体にDarknessを入れる事が出きるって」

「そんな事言ったっけ?」

「ああ言った」


ゼオが構えを解き自然な立ち姿になる。


「あら?どうしちゃったのかしら?」

「合金なんか玩具にすぎねぇんだよ…」


刀を持つ手に黒煙がかかり、それが刀に伸びる。

その黒煙は次第に刀に巻きつき歪に固形化していく。

そして刀は峰が黒くグロテスクな肉の塊で被われている。

悪魔が持つ武器みたいだ。


「あらぁ見た目とは裏腹に禍々しいのねぇ」

「これでやっと…」


ゼオは脚に黒煙を纏わせ突撃し、刀を振る。


ギィィィィィン


が、女はその斬撃を防ぐ。


「対等ってワケだ…」

「くっ…!?」


女はそのまま、ゼオの刀を弾く。

ゼオは後ろに跳び、地面をえぐりながら引きずる。


「へぇ…これはなかなか…どうして…」

「へっ…ゼファー」

「なるほど」


ゼファーはゼオに近づき自らの刀も同じように変化させる。


「こっからが本番ってわけだ」


2人は笛をくわえる。


ピィィィィィィ


鳴らしたと同時だ。


「はっ!」


ビュォォォ


ゼオは脚に黒煙を纏わせ一気に距離を縮ませる。


ブンッ ガギギィ


女に刃を振るが受け太刀され、鍔迫り合いになる。


「がっついてくる坊やね…」

「へっ…お前なんかよりゼファーのが魅力的だな…」

「なんじゃそら」


ブンッ ヒュッキィン


ゼファーが横から縦に切りかかるが女は後ろに避け、ゼオとの鍔迫り合いも解かれる。


「刀だけじゃねぇよ」


パラララララララ


キキキキキキキキキィン


女はその巨大なブレードに隠れて銃撃を流す。


「くっ…この……クソ○○○共がぁ!」


ブォン


本性を表した女が勢いよく切りかかるが、銃を撃っていた場所から2人は消えていた。


「女性が軽々しく下ネタいうなっ」


ドッ


後ろからゼファーが女の背中に跳び蹴りを喰らわせる。


「かはっ…くっ!ナメんなこの○○野郎!」


ブォン ギィィィィィン


跳び蹴りを喰らわせた後からの斬撃だったため、とっさに刀を構えて受け太刀するが、場所が悪かったか、刃は折れて勢いでゼファーが吹き飛ぶ。


「この変態女がぁ!」


その刹那、横からゼオが切りかかる。

女は身体を反らせてかわしてきたが、刃は肩を斬る。


「ぎゃぁ…!」

「らぁ!」

「かっ!」


怯んだ瞬間を見計らい、蹴りを喰らわせ、女を突き放す。


「ゼファー、大丈夫か?」

「あ、ああ大丈夫だ」


ゼファーは折れた刀を捨て、もう一度同じ物を出現させる。


「この変態女…子供に手を出して殺すったぁ飛んだイカレた野郎だなショタコンが」

「…」

「今日限りでそれも終わりだけどな」

「…さいわよ……」

「あ?」

「あんたらみたいな楽しんで人殺してる奴らなんかに言われたく無いわよ!!」


突然怒鳴られ硬直する2人に、崩れていた女が素早く起き上がり、ゼオの目の前に移動した。


「へ…?」


ブォン ブシッ


我に返った時には既に遅かった。

ゼオの左手は手首から切断されていた。


「!ゼオ!下がるぞ!」


ゼファーがすぐさま距離をとるがゼオは動かない。


「あ…あ…」

「…ゼオ…?」

「いっ…いぃぃぃぃぃてぇぇぁぁぁぁぁぁ!」

「!?」


ゼオが右手で切断された場所を抑えながらもがく。


「ゼオ!」

「く…ああぁぁぁ…!」


どんな痛みなのかは想像できない。

Darknessの力は痛みは無く、何度も切断されたりはしてるはずだ。

それがいきなり、斬られ、激痛が走り、完治しないのだ。

力む度、切断面から血が吹き出る。


「死になさい!」


ブォン


「ゼオ!」


ゼファーは脚に黒煙を纏わせゼオの元に素早く移動する。

寸ででゼオのフードを掴み女の振りをかわすことができた。


「ちぃ…」

「ゼオしっかり!」

「…ゼ…ファー…痛い…手、手…」

「あぁ待ってて、絶対どうにかする…」


ゼオを壁に寄りかからせて座らせ、ゼファーは女の元に向かう。


「あんたらに…私の何が…!」


その顔は怒っていたがどこか、悲しみに満ちた表情をしていて涙を流していた。

女の手にしている巨大なブレードの水晶の中に、黒の煙が渦巻いていた。


ダッ バンッ


ゼファーと女が走る。


キィン ガッ ギィィン


攻撃しては受け太刀の繰り返し。

女は怒りに満ちた目で、ゼファーは冷や汗をかきながら必死に攻撃をかわす。

度重なる攻撃により、刀の刃にヒビが入る。


「やばっ…!」


ブォン ギッ キピィィィィン


ゼファーの刀はまたもや割れる。


「死ねぇぇぇ!」


ビュ


女はブレードを突き出す。


「たぁっ!」


額から貫かれる寸でで、ブレードの表面を殴り軌道を変える。

が、頬を掠めてしまう。


「つっ…!」


ピリリと頬に痛みが走る。

久しぶりの痛覚の為動揺してしまう。


「あぁ!!」


今現在、ブレードはゼファーの肩の上の位置にある。

女はそれを見計らい、捨て身で自らのブレードの刃を掴み、ゼファーの肩に押し付ける。


「くあぁぁぁっ!」


刃が肩にくい込み鎖骨あたりで止まっている。

未だかつてない痛みが肩に走った。

こうなると、ブレードがゼファーを裂くのが先か、女の手の平が切断されるのが先か。


「あぁぁぁぁ!」


女は泣き叫びながら手の平でブレードを押し付ける。

ブレードの刃は手の平とゼファーの肩にどんどんくい込み鎖骨が折れる感覚があった。


「いぃぃぃ…」


ゼファーは歯を食いしばり、手に黒煙を纏わせる。

女性を殴る男は最低?

今はそんな状況じゃない。

なるべく刃を動かさないように、自分の手が届く範囲、女の肩を今出せる力で殴る。


ガッガッガッ


「ああぁぁぁ!!!」


ブシッ


「くぅぅぅ…!」


それに対抗した女の力が刃を伝わり、ゼファーに届く。

本格的にヤバい状況だ、痛みで冷静に考える事ができない。

どうする…

ブレードを殴れば肩は割れるだろう。

しゃがみこめばそのまま斬り潰される。

日本刀で腕を斬り落とすか、いや、例え日本刀でも今のゼファーにはそんな力は出せない。

500年以上の人生に終止符を打つか?


諦めかけたそのときだった。


パラララララララ


突然の銃声。

ゼオを見ると、痛みに顔を歪ませたゼオが座り込みながら銃を構えていた。

しかし痛みで照準がズレているだろう。

一発も当たっていない。


「ゼファー…銃だ…」


銃…

銃!

ゼオのヒントにゼファーは銃を出現させ、女の腹部に銃を向ける。


パラララララララ


ギギギギギギギギン


くそ…腹になにか入れてる…

ならば頭だ。

女の顔に銃口を向ける。


「あ゛ぁ!」


グッ


「ぐぅぅ…!」


さらにブレードに力が加わる。


パラララララララ


銃を撃つが狙いが外れる。

ブレードの水晶は黒くなり、紫色が加わり始めている。

へぇ…Darknessは紫色もあるんだ…

吸い取られるとこうもなってしまうんだ……


水晶…


すると突然ゼファーが水晶に銃を向ける。

一か八か。


「あぁぁぁぁぁ!」


パラララララララ


刃に振動が加わり、ブレードが下に下がってくる。

しかし後戻りはできない。

痛みを堪え、引き金を引き続ける。


パラララララララ


ピキィ


水晶にヒビが入る。


「クッソガキィィィィィ!」


ブシィィィアァァァァ


ブレードはゼファーの胸までいき大量の血が溢れゼファーの手から銃が落ちる。


「ゼ…ゼファー……!?」


ゼオが遠い目でゼファーを見る。


パキィィィィィィン


「!!?」


大量の銃弾を受けた水晶が砕け散る。

するとゼオの切断された腕から黒煙が上がり、落ちた手首が吸い込まれるように元に戻る。

痛みは既に無い。


「ゼファー!!!」


ゼファーと女はピクリとも動かなくなってしまった。

しかし水晶が割れた今、Darknessは再び動き出す。

ゼファーの身体は肩から裂け、ブレードが突き刺さってるが、裂けた傷口から黒煙が上がり、くっつき始めた。


「まだ生きろってか…」


ゼファーが女を蹴り飛ばし、ブレードから離させる。

女は抵抗を見せず、下に俯いている。


「あぁ良かった…ゼファー…またひとりになるかと…」

「できれば今の痛みで終わって欲しかったのが心境だが…」


ブシッ


ゼファーがブレードを引き抜く。


「まだ死ねないな…」


ガァンカラカラ


ブレードを投げ捨てる。

それと同時に女は崩れ、座り込む。


「さて…覚悟できてんな?今から殺す」


ゼオが銃を向ける。


「待って、ゼオ」

「あん?」

「あんた…」


ゼファーが女に喋りかける。


「なにがあって少年を殺してた。絶対ワケがあるだろう?」


へたり込んでいる女は重い口を開かせた。


「許せなかった…」


ゼオが再び銃を向けるがゼファーが腕を出し、止めさせた。


「私にも息子がいたの…一年前までは…」

「んでどうしたんだよ」


ゼオが問う。


「死んだわ…旦那に見捨てられてね…昔の私も……それなのにあいつ…他の女の!子を作りやがった…!許せなかった!」

「それで…」

「殺してやったわ、あいつも、女も子も!……ただそれだけじゃ収まらないわ…幸せそうにしてるそこらの家族も…私と同じ目に合えばいい…」

「それで…少年達を…!?」

「それ以外に何があるの?……それでも本気で止めようとしてた…!」

「じゃあ止めれりゃ良かったんだ!そこで!」

「ゼオの言うとおり、そこで止めればよかった。殺したって何も変わりはしない…」

「同じ事考えたわ……それにあんたらSlaughterが悪人を殺して回ってるのも知ってて恐怖した…あの連中が現れなければね…」

「あの連中?」

「FEARよ」

「FEAR…」

「奴らは私に薬を打って殺人マシーンにした…」

「よくそんなペラペラ喋れるな。」

「当たり前よ…!あんなクソみたいな連中…今まで入って後悔したと思ってたのに今は余計に後悔してるわ………でももういいの」

「…?」

「これで息子の元に行けるわ…さぁ…殺しなさい、言う事はもう無いわ」

「ああ分かった」


ゼオはそう言い放つと直ぐにゼファーが捨てたブレードを取りに行き、帰ってきた。


「くっそ重ぇなこれ」

「へぇ…最後は私のブレードでって事ね、案外優しいわね坊や」

「俺はそんなに優しくねぇ」


ゼオはブレードを地面に置き、腕に黒煙を纏わせる。

拳を思い切り振り上げた。


パギィィィィィン


ブレードを一撃で粉砕。


「…嘘でしょ…?合金よ……?」

「これでお前は死んだ」

「…へ?…」

「死んで息子の元へなんか行かせない」


女は驚きを隠せない顔でゼオを見る。


ゼファーも驚いている。

あんなに残忍なゼオが殺人鬼を生かした。


「なんで……どうして……まだ苦しめって言うの!?」

「ああ、だから俺は優しくない、ゼファー笛だ」

「あ、ああっ」


意外な是雄の行動にゼファーの顔は微笑んでいた。



ピィィィィィィィィ


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