【06】 秘書課長の質問 ~ひとつ引っ掛かる点があるんです~
秘書課長「うーん」
秘書課長は唸っていた。
立浪「丹沢さん、今の人事課長の意見に対して、何かありますか?」
丹沢「まったく違います。お門違いもいいところです。すべて人事課長の作り話です」
人事課長「じゃぁ、なぜ泣いてたんだよ、お前!!!」
人事課長が激しく大声を上げた。
会場が静まり返った。
丹沢は何もしゃべらなかった。
人事課長「中牧君、さっきの住民課の明石さんに電話して、相手女性の住民票がひとり世帯かどうか、確認してくれ」
中牧「かしこまりました」
中牧は、すぐに住民課の明石春菜に内線電話した。
中牧「……ひとり世帯ですか?」
春菜「ひとり世帯です」
中牧「ありがとうございました」
中牧が電話を切った。
中牧「ひとり世帯だそうです」
人事課長「やっぱりな。丹沢は、それを知っていて、最初からその女性を襲うつもりだったんだよ。ところが隣のおばさんに見られたので、途中で、つまり未遂で市役所に戻って来たんだよ。図星だろ」
今度は丹沢の分が悪くなった。
立浪「丹沢さん、今の人事課長の話で間違いはありませんか?」
丹沢「まったくの言いがかりです」
人事課長「なんだと!」
丹沢「私がその女性を襲おうと思う根拠もなければ、証拠もありません。人事課長の勝手な妄想に過ぎません」
人事課長「襲う気がなかった、という証拠もないだろ」
丹沢「相手の女性に聞いたらどうですか?」
人事課長「そんなもん、相手の女性は、お前が怖くて言えないだろ」
秘書課長「これまた、平行線ですな」
立浪「ええ」
秘書課長「私もひとつ引っ掛かる点があるんです」
立浪「はい、なんでしょうか?」
秘書課長「相手の女性宅には、職員3人で行ったんですよね?」
中牧「隣の女性が、そう言ってました。そのことは、私がはっきりと聞いてきました」
秘書課長「では、どうして3人で行って、帰るときは、丹沢君を残してニ人で帰ったのですか? みなさん、そう思いませんか? これって不自然ですよね」
中牧「なるほど」
立浪「丹沢さん、この点については、どうなんですか?」




