【03】 人事課ヒアリング ~『勤務時間中に、女性と抱き合っていた件』~
数日後の午前中、人事課で。
秘書課長千葉洋市(ちば・よういち56歳)と人事課長大高正法(おおたか・まさのり53歳)の両課長が話をしていた。
千葉「篠田の方から丹沢君に関する報告書が来てるかと思いますが、読まれましたか?」
大高「ええ、読みました」
千葉「いかがいたしましょう?」
大高「報告書を見る限り、当然『美浦市倫理条例』に抵触しますので、なんらかの処分が必要ですね」
そう言うと、大高はパソコン画面で、『美浦市倫理条例』を千葉に見せた。
【パソコン画面】
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『美浦市倫理条例』
(目的)
『第1条 この条例は、職員の職務に係る倫理の保持に資するため必要な措置を講ずることにより、行政の中立性及び職務の執行の公正さに対する市民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、もって公務に対する市民の信頼を確保することを目的とする』
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千葉「なるほど。『市民の疑惑や不信を招く』とはっきりうたってありますね」
大高「ですから、この件は完全にアウトでしょう」
千葉「やむを得ませんなぁ」
大高「午後、本人に、倫理ヒアリングをしましょう。課長は出席できますか?」
千葉「大丈夫です」
◇
その日の午後、会議室で人事課による倫理ヒアリングが丹沢に対して行われた。事務局として、人事係長の立浪雅文(たつなみ・まさふみ・45歳)が進行を行った。
立浪「では、ただいまより倫理ヒアリングを始めます。本件につきましては、一般市民から『市長への手紙』が届き、市の男性職員が勤務時間中に、女性と抱き合っていた。という目撃情報によるものです」
出席者一同が、静かに聞いていた。出席者は、聴取者として大高人事課長と千葉秘書課長の2名、説明員として中牧秘書係長、進行役の立浪人事係長、事務局記録係の鈴木主任(鈴木英記・33歳)を含め、合計5名であった。
立浪「このことに基づき、秘書課で調査しましたところ、その該当職員が判明しましたことから、該当職員を召喚し、事情ヒアリングを行うものであります。では、丹沢さん前にあるテーブルの方にお座りください」
丹沢は、ひとつポツンとおかれた机と椅子の所まで行って座った。
立浪「では、丹沢さんにお伺いします。この『市長への手紙』をもとに、秘書課で状況調査をしましたところ、去る6月18日、午前9時半過ぎに、美浦市美女来にある共同住宅、ハッピーハイツ203号室において、そこの住人の女性と抱き合っていた、」
千葉秘書課長「ほぉーっ」
大高人事課長「うーん」




