【02】 隣室、市原和子の供述 ~男と女が抱き合っているじゃないの!~
和子「それで、私は『なんだろう?』と思って外へ出た訳、」
中牧「なるほど」
和子「私が外へ出て隣を見たら、珍しく隣のドアが開けっぱなしだったから『あれっ!』と思ったのよ」
中牧「不思議ですよね。男性3人は帰ったはずだし、」
和子「それで、気味が悪いからちょっと首を出して隣の部屋を覗き込んだのよ。決して悪気があったわけじゃないのよ」
中牧「わかります。当然の行動だと思います。治安という観点からも」
篠田「強盗とか、多いですからね」
今度は篠田がフォローした。
和子「で、覗き込んだら、男と女が抱き合っているじゃないの!」
中牧「二人は部屋の中で、寝ていたんですか?」
和子「いえ、立ってだけど」
中牧「で、女性は立って泣いていたんですね?」
和子「そうよ。泣きながら男に抱きついていたわ。男も女の背中に手を回していたわよ!」
中牧「なんででしょう?」
和子「なんでだったんだか、こっちが聞きたいわよ!」
中牧「その男性は、美浦市役所の職員だったんですか?」
和子「そうよ。最初と2度目と両方来た男よ!」
中牧「それで、その後は?」
和子「わからないわ。男女が抱き合っているのを見て、私は、慌てて自分の部屋に戻ったから」
篠田「今のお話を伺った限りでは、住民課の調査みたいですね」
篠田が口を挟み、自分の考えを述べた。
中牧「そうだな。あとで、住民課長に聞いてみよう」
秘書課中牧係長が美浦市役所に戻ると、すぐに鬼塚住民課長に電話を入れた。
中牧「ちょっとお伺いしますが、ハッピーハイツに市民が住んでいるかどうか調査されました?」
鬼塚「ええ、しましたけれど。それが何か?」
中牧「二回調査に行った男性職員がいると聞いたのですが誰だかわかりますか?」
鬼塚「それなら丹沢です。何かありましたか?」
中牧「いえ、こちらもまだ調査中なので、何も言えないんですが、また何かありましたらご協力をお願いいたします」
鬼塚「わかりました」
電話を切ると中牧係長が篠田主任に言った。
中牧「ハッピーハイツで女性と抱き合っていた職員が分かったよ」
篠田「誰ですか?」
中牧「住民課の丹沢だ」
篠田「丹沢ですか」
中牧「この案件、私から市長に報告しておくので、篠田さんは人事課に経緯を報告書として上げてくれないかな?」
篠田「承知いたしました」




