97話 まあ、こうなるよね
「……アリーシャ……」
「……」
アレックスが、さらに距離を詰めてきて。
でも、私は動くことができなくて。
そのまま……
なんていう時に、不意に鐘の音が響いた。
「「っ!?」」
私は、はっと我に返った。
たぶん、アレックスも我に返って……
ほぼほぼ同時に、互いに距離を取る。
「……」
「……」
二人共、耳まで赤い。
妙に動悸が激しい。
なんだろう、今のは……?
なんだか、不思議な感覚に囚われていたというか、理解できるようでできなかったというか……
本当に……うーん。
なんだったのだろう?
「えっと……戻りますか?」
「……そうだな」
なんとか、という感じでそう言って、私達は校舎に戻った。
――――――――――
「……私達が親しくしていることを、よく思わない方がいたそうです」
夜。
フィーの部屋で詳細を聞く。
フィーとリナリアは、無事、仲直りをして……
その後、ここまでこじれた原因を聞いたそうだ。
「よく思わない、というと?」
「えっと、その……リナリアの家のことで」
「……ああ、なるほど」
彼女が男爵家だから、ということか。
男爵家と公爵家。
二つは貴族ではあるが、その立場の差はとても大きい。
別に、我が家を誇るつもりはないのだけど……
天と地ほどの差がある、というのが現実だ。
「公爵令嬢であるフィーへ近づいて、なにか利益を得ようとしているのではないか……と邪推する方がいたのですね?」
「はい……ただ、それだけではなくて……」
うん?
他にも、なにか理由が?
「その……ジーク様にも近づこうとしているのでは? と、そう言われていたらしく……」
なんでジークに?
と疑問に思ったのだけど、ややあって納得した。
そうか。
そういえば、ジークは王子だったか。
私にとっては、『ただの』男友達なので、ちょくちょくその事実を忘れてしまう。
「リナリアに限って、そんなことは絶対にないのに……! でも、そういう噂が流れてしまって、それを気にしたリナリアが距離を置こうとして……」
「こじれてしまった、と?」
「はい……」
フィーは落ち込んだ様子で頷いた。
ふむ……
少し厄介な問題だ。
フィーとリナリアはきちんと話し合い、仲直りをした。
ただ、周囲のやっかみや邪推という、根本的な問題は解決されていない。
このままだと、また同じようなことが起きるかもしれないし……
最悪、もっと酷い事態に発展するかもしれない。
過干渉はよくないと思っていたけれど……
さすがに、これ以上、見守るだけというのは無理だ。
というか、これはもう過干渉ではないだろう。
姉として、やるべきことをやろう。
「そうですね……」
相槌を打ちつつ、考える。
この問題を解決するには、どうしたらいいか?
なにが最善か?
そして、なにが悪手となるか?
その辺りをしっかりと考えて、見極めて……
なに一つミスがないように、パーフェクトに完遂しなければならない。
そのために必要なことは……
「……うん、これならなんとかなりそうですね」
一つ、思いついた。




