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95話 仲直り

 がんばります! と奮起して。

 フィーが駆けていって。


「……ちょっと意外だったかな」


 様子を見守っていたネコが、小さく言う。


「なにがでしょう?」

「アリーシャのことだから、一から十まで、全て道筋を立てるんじゃないかな、って」

「うーん……ちょっと耳が痛いですね」


 思わず苦笑してしまう。


 以前の私なら、確実にそうしていただろう。


 可愛い妹のため。

 姉として全力を出すのは当たり前である……と。


 フィーのためなら、なんでもしてあげたい、という気持ちは今も変わらないのだけど……

 やりすぎてもよくない、ということを、最近、学んだような気がする。


 ただ甘やかすのではなくて。

 時折、厳しくして、そうして導いて……

 最後に、ちゃんと甘やかす。


 みたいな?


「けっこう慎重なんだね」

「やり直しは効かないですからね。慎重にもなります」


 私自身、終わりかけた。

 故に、そう思うようになったのかもしれない。


 人生は一度きり。


 それは、地球でも乙女ゲームの世界でも、なにも変わらない。

 ここは、確かな現実なのだ。


 以前は、まだちょっと夢見感覚だったところがどこかにあったのかもしれない。

 でも、一度、死を経験してからは、そのようには考えなくなって……


 だからこそ、慎重に慎重に。

 石橋を叩いて渡るくらいになったのだと思う。


「慎重に行動して……それと、もっと周りのことを見ていきたいと思いますから」

「うん、それは本当に見てほしいな」

「?」


 ネコがとても真剣に言うので、なんだろう? と私は首を傾げるのだった。




――――――――――




 中庭。

 そこで、フィーとリナリアが向かいあっていた。


 距離が離れているので、なにを話しているかはわからない。

 ただ、とても真剣な様子だ。


「……後のことは、シルフィーナに任せるんじゃなかったのか?


 私と同じように、隠れてそっと様子を見ているアレックスが呆れたように言う。


「任せているじゃないですか?」

「こうして覗き見しているのにか?」

「失礼な。姉として、見守っているだけです」

「やっぱり、あんたはあんたのままだな……」

「?」


 なにやら失礼なことを言われたような気がするけど、今はフィーだ。


 ちゃんと仲直りできるだろうか?

 さらに、こじれたりしないだろうか?


 心配しつつ、ハラハラと見守る。


 そして……


「……」

「……」


 やっぱり声は聞こえないのだけど、フィーとリナリアに笑顔が戻った。

 握手をして、それから抱きしめ合い……


 ちょっと涙ぐみつつも笑い、さらに話をする。


 うん、よかった。

 どうやら、無事に仲直りできたようだ。


「……やったな」


 アレックスも安堵した様子で、ぽつりと、小さくつぶやいていた。


 なんだかんだ、心配していたのだろう。

 二人は幼馴染だし……

 そもそも、アレックスはヒーローだ。

 フィーの恋人になる可能性があるわけで、心配しないはずがないだろう。


 ……うーん?


 現時点で、アレックスはどの程度、フィーに好感を抱いているのだろう?

 ここはゲームではなくて現実なのだから、好感度を数値で示すことはできないし、把握することもできないのだけど……

 それでも、どれくらいの好意を抱いているのか、できれば知りたいと思った。


 なぜか?


 ……なぜだろう?


「アレックス」

「うん?」

「あなたは、フィーのことが好きなのですか?」

「ごほっ!?」


 アレックスが咳込んだ。


「落ち着いてください。大きな声を出すと、フィー達にバレてしまいます」

「おまえ、がっ……いきなり、変なことを、ごほっ……言うからだろ!」

「そんなに変なことだったでしょうか?」

「十分すぎるほどにな」


 はぁー、という呆れたため息。

 どうして、そのような反応になるのだろう?


 まあ、確かに唐突だったかもしれないが……

 でも、私達、学生なら恋話の一つや二つ、わりと普通にするものだと思うが。


「あのな……」

「はい」

「……お前、それは本気で言っているのか?」


 急に、アレックスがとても真剣な顔になって……

 それから、ぐいっと距離を詰めてきた。


ちょっとストックが切れてきたので、更新頻度を減らします。

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新作を書いてみました。
【家を追放された生贄ですが、最強の美少女悪魔が花嫁になりました】
こちらも読んでもらえたらうれしいです。


もう一つ、古い作品の続きを書いてみました。
【美少女転校生の恋人のフリをすることにしたら、彼女がやたら本気な件について】
現代ラブコメです。こちらも読んでもらえたらうれしいです。
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