93話 すれ違い
フィーとリナリアが友達になってから、一週間が経った。
二人の関係は、順調に深まっているようだ。
休み時間に話して。
時々、二人だけで昼食を食べて。
放課後は一緒に街に出て。
休日には、リナリアの家で、一緒に花を使った焼き菓子を作ったこともあるらしい。
羨ましい。
できれば一緒に参加したい。
というか、実は誘われていた。
でも、涙を飲んで我慢した。
フィーが自分で築いた友達関係なのだ。
色々なことに怯えていて……
身を縮こまるようにしていて……
そんなフィーにできた友達なのだから、もっともっと仲良くなってほしいし、大事にしてほしい。
なので、私は、最初はできるだけ様子を見るだけにしておいた。
もちろん、リナリアの誕生日などのイベントがあれば、そういう時は喜んで参加するが。
……そのような感じで、しばらくはほどほどの距離感で過ごしていて。
一方の私は、フィーはいないものの、アレックス達と過ごしていて。
それは今日も同じ。
今日は学食でごはんを食べる。
もちろん……というとおかしいかもしれないけど、アレックス達も一緒だ。
「ほら、見て……」
「まあ、素敵です♪」
「やはり絵になりますね……」
「でも、誰なのかしら?」
「私は殿下推しです」
「あら、アレックスさんもいいのでは?」
「案外、ネコさんという秘密の関係も……」
なにやら周囲が騒がしい。
私達を見て、あれこれと話している様子。
ジーク……殿下が一緒だから目立っているのかもしれない。
でも、推しとか秘密の関係とか、どういうことだろう?
「……なんか落ち着かないな」
「アレックスは、注目されるのは苦手なのかい?」
「好きなヤツなんているのか?」
「いないね。まあ、僕は王族故に、こういうことには慣れたけど」
「羨ましいスキルだね。私にも分けてほしいな」
「キミは、そういうスキルは必要ないんじゃないかな?」
「酷いなあ。これでも、繊細な心を持っているのに」
みんなはいつも通り。
うーん……強い。
まあ、かくいう私も、あまり気にしていないのだけど。
最初は、公爵令嬢ということで色々と注目されて、落ち着かない日々を過ごしていたのだけど……
時間が経てば、案外なれるものだ。
今では、ああなるほど、という感じ。
嫌でもなく嬉しいわけでもなく。
それが日常、という感じで受け止めている。
なんだかんだ、私も成長しているのだ。
えへん。
――――――――――
そんなこんなで、いつも通りごはんを食べた。
中庭が多いけど、今日は学食。
食後の紅茶を飲みつつ、のんびりと過ごすのだけど……
「……アリーシャ姉様」
「フィー?」
ふと、フィーが現れた。
どうしたのだろう?
今日も、リナリアと一緒に過ごすと聞いていたのだけど……
それと、すごく落ち込んでいる様子だ。
表情がとても暗い。
ひとまず、隣の席に座ってもらう。
「どうしたんですか?」
「……」
「あまり顔色がよくないですが、もしかしたら体調不良?」
「……いいえ、大丈夫です」
うん。
ちゃんと受け答えはできるみたいだ。
たぶん、精神的な問題だろう。
今日は、リナリアと一緒のはず。
でも一人で、なにやらショックを受けている様子。
と、なると……
もしかしたら、そういうことなのだろうか?
「なにかあったんですか? よかったら、話してください。もちろん、無理強いをするつもりはありませんが」
「それは……」
フィーは、迷うように視線を揺らした。
ややあって、私のところで固定される。
「リナリアさんと……ケンカをしてしまいました」




