↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/95

82話 お披露目

「それでは、皆さんにも見てもらいましょう」


 少し遅れてやってきたお母様が、そんなことを言う。


「皆さん?」

「舞踏会の練習をすると言って、アレックスさんとネコさん、そしてジーク殿下がいらしているの」

「いつの間にそのようなことに……」

「少し前から、応接間で待っていただいているわ」


 仕事が早い。


 さすがお母様……と、称えるべきなのだろうか?

 それとも、なにか裏でよからぬことを企んでいませんか、と問い詰めるべきなのだろうか?


 うーん。

 どうもここ最近、お母様の動きが怪しい。


 やたら、あの三人と接することが多いというか、私の見えないところでコンタクトをとっているというか。

 なにを考えているのだろう?


「まあ……練習はいいのですが、私は、この姿で?」

「せっかくですもの。男性の意見も聞いておきましょう」

「うーん、必要でしょうか?」

「必要ですよ」


 お母さまは、なぜか楽しそうだ。


 一方で、フィーは、なぜか急に真剣な顔になる。


「行きましょう、アリーシャ姉様。もちろん、私も一緒です!」

「それはそうですが……なんだか、妙に気合が入っていませんか?」

「気のせいです!」


 やっぱり気合が入っていた。

 なんだか、こう……審査員のような感じだ。


 なんだろう?




――――――――――




「お待たせしました」

「「「……」」」


 応接間に移動すると、アレックスとジークとネコの姿があった。


 三人はこちらを見て、ぽかーんとする。

 すごく驚いているみたいだけど、なぜだろう?


 私の衣装に、おかしなところがあるのだろうか?

 鏡で見た時は問題ないと思ったけれど、後ろ側に糸でも出ているのかもしれない。


「えっと……どうしたんですか? アレックス?」

「な、なんだ?」

「なにかおかしいですか? 皆さんの意見がほしいので、なにか思うところあれば、率直に教えていただけると」

「お、おかしくはないから……ああ、大丈夫だ」

「では、なぜ驚いているのですか?」

「それは……」


 アレックスが視線を逸らす。

 耳まで赤い。


 よくわからないけど、驚いている理由を教えてくれるつもりはなさそうだ。


「えっと……じゃあ、質問を変えますけど、どうでしょうか? 似合っていますか?」

「……似合っている」

「本当ですか?」

「ああ。その……すごくいい、と思う」

「よかった。アレックスに褒めてもらえると嬉しいです」

「っ……!」


 アレックスが、さらに赤くなった。


「アレックス」


 そんなアレックスに、フィーが静かに声をかける。


「感想は、それだけですか?」

「それだけ、っ、て……」

「似合っている、だけなんですか?」

「他になにを言えっていうんだよ!?」

「アリーシャ姉様を見て、思ったことを正直に言えばいいのでは?」

「それは……」


 アレックスが、もう一度私を見る。


 一瞬目が合い、また逸らした。


「……綺麗だ」

「え?」

「すごく……綺麗だと思う」


 小さな声だけど、きちんと聞こえた。


「そう、ですか……ありがとうございます」


 なぜだろう?

 先ほどの『似合っている』よりも、胸の奥が少しだけくすぐったい。


 ちょっと……ぽかぽかした。


「ジーク様は、アリーシャ姉様の衣装、どう思いますか?」


 フィーは、今度はジークに意見を求めた。


 あれ?

 いつの間にかフィーが仕切っている?


「同じ意見になっていますのだけど、でも、これが本心だから……とても綺麗だよ、アリーシャ」

「ありがとうございます」

「赤がよく似合っているね。強くて温かい色で……うん、あなたに本当によく似合う。本当に素敵だと思うよ」

「そ、そこまで言われると、少し照れてしまいますね……」


 また、ちょっとぽかぽかした。

 なんだろう?


「うーん……三番手となると、語彙が貧弱になるけど、でも、本当に綺麗だと思うよ」


 ネコが、そう続いた。


「衣装もそうだけど、いつもと違う髪型もいいね。新しいアリーシャを発見したみたいで、ちょっと……ううん。けっこう心が踊るかな?」

「では、もっと喜んでもらえるように、私もがんばらなければいけませんね」

「うーん、それはどうかな?」

「えっ」


 ネコは、そっと、耳元でささやく。


「……そこまでがんばられたら、友達のままでいるのが難しくなりそう」


 それは……

 どういう意味なのだろう?


 よくわからない。

 わからないけど……なんだか、ちょっとドキドキした。


「……むぅ」


 ちょっと離れたところにいるフィーは、なんともいえない複雑な表情を浮かべていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆ お知らせ ◆
新作を書いてみました。
【家を追放された生贄ですが、最強の美少女悪魔が花嫁になりました】
こちらも読んでもらえたらうれしいです。


もう一つ、古い作品の続きを書いてみました。
【美少女転校生の恋人のフリをすることにしたら、彼女がやたら本気な件について】
現代ラブコメです。こちらも読んでもらえたらうれしいです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。