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77話 大事な友達

 昼休み。


 みんなで中庭で昼食を取ることになった。


 学食でもいいのだけど……

 でも、今日は、フィーがお弁当を作ってきてくれたらしい。


 いつの間に。

 お姉ちゃん、感動で泣いてしまいそう……


「えっと、うまくできたかどうかちょっと心配なんですけど……」

「大丈夫です。フィーが作ってくれたものなら、一流の料理店よりも全てが上回っているかと」

「お、大げさです……」

「事実です」


 そんなに謙遜しなくてもいいのに。

 慎ましい子だ。


「一応、俺等も作ってきたぜ」

「普段、料理はしないから、あまり自信はないけれど……」

「こういうのは気持ちだよね」

「それ、自分で言うか?」


 笑いつつ、さっそくみんなのお弁当を見せてもらう。


 フィーは、サンドイッチがメインだ。

 野菜と肉を挟んで。

 卵を挟んで。

 フルーツを生クリームで包んでいる、豪華なサンドイッチもあった。


 アレックスは肉が多い。

 調味料とハーブで焼いたもの。

 冷めても美味しいように工夫されているらしく、普通に美味しそうだ。


 ジークは、パイだった。

 こちらも肉がたっぷりのミートパイだ。

 香ばしい匂いが漂う。


 ネコは、他のみんなが主食を持ってくると予想していたらしく、スイーツがメインだ。

 色鮮やかなフルーツ。

 そして、クッキー。

 甘い砂糖の匂いがたまらない。


「わぁ……どれも、とても美味しそうです」

「ほ、本当ですか?」

「もちろんです。それに、フィーが作ったのなら、世界で一番美味しいに決まっています!」

「まだ食べていませんよ?」

「食べなくてもわかります!」

「でも、アリーシャの言う通りじゃないか? たぶん、シルフィーナが一番、料理がうまいだろ」

「そうだね。僕らもがんばったつもりではあるが、いくらか負けているように思う」

「さすがだね、シルフィーナちゃん」

「い、いえ、そのようなことは……はぅ」


 照れるフィー……天使か?


 でも……


 こうして見ると、アレックスもジークもネコも、フィーとわりとお似合いだ。

 まあ、当たり前か。

 彼らはヒーローで、そのうちの一人がフィーと結ばれる運命にあるのだから。


 とはいえ……


 私も、そのヒロインを目指さないといけない。

 ただ、相手は誰になるのだろう……?


「では、いただきます」

「「「いただきます」」」


 みんなでごはんを食べる。


 さっそく、フィーのサンドイッチをぱくりと一口。

 それに気づいたフィーが、ドキドキとした様子でこちらを見る。


「ど、どうでしょうか……?」

「うん、すごく美味しいですよ」

「ほ、本当ですか!?」

「もちろんです。すごくよくできていますし……それだけではなくて、フィーが私のために作ってくれた。それだけで、世界で一番美味しいです」

「……アリーシャ姉さま……」


 フィーが嬉しそうに笑う。

 その笑顔がなによりの幸せのスパイスでもある。


「アリーシャ、もっと肉を食べた方がいいぞ。だから、病気になるんだ」

「やれやれ……食事は栄養のバランスが一番だよ?」

「最後にスイーツで締めることも大事だよね。というわけで、食べる?」


 みんなも、次々とお弁当を差し出してきた。


 それは嬉しいのだけど……

 みんなも食べないと意味がないのでは?


 そうして笑いながらごはんを食べて、温かい時間が流れていく。


「うーん……やっぱり、私は幸せ者ですね」

「急にどうしたんだ?」

「大好きな妹と、こんなに頼もしい友達に囲まれているので」

「……友達……」


 アレックスが、なぜか微妙な様子で呟く。


「友達……か」


 ジーク様も同じく、軽く視線を落とした。


「友達は友達……なのかな」


 ネコまで、なんともいえない表情だ。


 三人、同時に肩を落としている。


「どうしました?」

「な、なんでもない!」

「問題ないよ」

「うん、気にしないで」


 ピタリと息が合っていた。。

 とても仲が良いな。

 本当に、素敵な友達だと思う。


 ただ……


「むぅ……?」


 フィーが、怪訝そうな表情で三人を順番に見ていた。


 アレックス。

 ジーク。

 ネコ。


 最後に私を見る。


「フィー?」

「なんでもありません」


 そう答えたものの、なにかを考え込んでいる様子だった。

 疲れたのだろうか?


 屋敷へ戻ったら、一緒に休もう。

 そう考えながら、私はフィーの手を握った。

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