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48話 男二人で本音を

「……どう思う?」


 アレックスの私室。

 そこに呼び出されたジークは、そんな問いかけを投げかけられた。


「どう、って言われても、なんのことだい?」

「アリーシャのことだ」

「……」

「この前、なにかしらの事件に巻き込まれたことは間違いないだろ? でも、その情報は俺達のところまで下りてこない……そのことについてどう思う、って聞いているんだよ」


 あの日。


 突然、アリーシャが怪我をするという事件が起きた。

 転んだとかぶつけたとかではなくて、刃物で傷つけられていた。

 明確な事件である。


 しかし、詳細は今もわからない。


 ただの事件ではないのだろう。

 なにか大きな裏があるのだろう。

 事件の詳細は伏せられて、それが公になることはない。

 アレックスはともかく、ジークでさえも内容を知ることができていない。


「ジークは、この扱いに納得してるのか? アリーシャが怪我をさせられたのに?」

「……納得していないさ」


 ジークは拳を握りつつ、短く答えた。


「納得できるわけないだろう……アリーシャが傷つけられたんだぞ? あれは、明らかに誰かに襲われた跡だ。それなのに、なにも詳細を知らずに……納得なんて無理だ」

「なら……!」

「でも!」


 ジークはアレックスの言葉を遮るように強く言う。


 その顔は、今までに見たことのない表情が浮かんでいていて。

 色々な感情が巡っていて。


 それを見たアレックスは、さきほどまでの怒りや苛立ちを思わず忘れて、呆然としてしまう。


「事件の詳細が僕達にまで伏せられたということは……国は、僕達が知る必要はない、と判断したということだ」

「それは……」

「知っても意味がない。むしろ、知らない方がいい……子供だから。そう、判断されたのだろうね……」

「……」


 痛い現実。

 それを突きつけられて、アレックスは言葉が出てこない。


 ジークも、そのことを重く受け止めている様子で、とても苦い顔をしていた。


「……ただ、このままで終わるつもりはないさ」

「お前……」

「僕達が子供だから……いや。子供大人関係なくて、重要な情報を託すに値しない、と判断されている……そこが一番の問題だと思う」

「……そうだな。俺達は今、圧倒的に力が足りていない」


 庶民だから、とか。

 王族だから、とか。

 そういうことは関係なく……

 単純に能力の問題だ。


 アレックスとジークが事件に関わり、プラスになるものがない。

 彼らには、それだけの能力がない。


 そう判断されたから、情報が伏せられた。

 詳細を知ることができない。


 ……大事な人の危機を知っても、なにもすることができない。

 それは、これからも変わらない。

 ずっとそのままだ。


「これは、僕の能力不足によるものだ……もっと力があれば、こんなことにはなっていないだろう。確かな情報を与えられただろう」

「ああ……その通りだ。俺達は、なにもかも足りていない」

「でも……このままでは終わらない」


 ジークが決意を瞳に乗せて、強く言う。

 その言葉に、アレックスもしっかりと頷いた。


「僕達は強くならないといけない」

「今度、こんなことが起きても外に置かれるんじゃなくて……いや、違うな」

「情報を伏せられるのではなくて……」

「そもそも、最初からこんなことが起きないようにする。それだけの力を得る」

「それこそが、僕達が本当にやらなければならないことだね」

「そうだ……アリーシャのために」


 アレックスとジークは、今回の件で己の力不足を知った。


 ただ、それに嘆いているだけでは意味がない。

 悔しがっているだけでは、なにも前に進むことはできない。


 自分に足りていないところを認めて。

 悔しくても辛くても受け止めて。

 その上で、前に進んでいこうと思う。

 確かな成長を果たして、今度こそ、大事な人を守りたいと思う。


 そのために……


「僕達は協力すべきだと思うけど、どうだろう?」

「……そうだな、その通りだ」

「今はまだ、僕達の力はとても小さい。だからこそ、協力して、力を育てていくべきだ。学び、得ていくべきだ」

「そうすることが最善なんだろうな。そして、今度こそは……」


 アレックスとジークは互いの目を見て、しっかりと言う。


「「アリーシャを守る」」


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こちらも読んでもらえたらうれしいです。


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