警報
急いで向かうと冒険者ギルド前には大勢の人で溢れかえっていた。
この街の冒険者が全員集まっているようだ。
明るかった空も段々曇っていき生暖かい風が吹き始めてきた。
扉前にいかつそうな男が現れた。
「お前ら!このトレッド街を守るぞぉ!!!
本部からの連絡によると、少なくとも能天使並みの天使が来るとのこと!
今までの訓練を思い出し、全力をぶつけろ!!!」
「「「「「うぉおおおおおおおおお!!!!」」」」」
周りに合わせてとりあえず手を挙げておいた。
事前に配置が決まっているかのように、一斉に動き出し、その場に残ったのは俺みたいな新米冒険者と応援でやってきた者だけだった。
「突然の集合、ご苦労であった!
俺はトレッド冒険者ギルドの団長のギルドットだ。
最近成りたてのひよっこ共には天使と戦ってもらう必要はない!
先輩冒険者達の物資の支援などにあたってくれ!
応援の者はギルド内の急務を手伝ってくれ!
以上だ!死ぬなよ、未来ある者達よ!」
言いたいことだけを言って団長は戦場へと行ってしまった。
俺も戦場へ向かうようなふりをしてそそくさと裏路地に入った。
被っていたフードをさらに深くかぶり、小声で魔法をかける。
「反視認魔法。」
これで見た目どころか、声や性別すらも分からなくなっただろう。
遠くの方で笛が鳴り緊張の空気を感じる。
さらに遠くの方から昨日と同じような気配を感じ取った。
垂直にそびえ立つ壁をまるで取っ手があるかのように掴み、登る。
昨日歩いてきた場所には何人もの冒険者が剣や杖を構えていた。
外壁から見下ろす形で座り込んだ。
先ほどの場所に一本の矢が刺さる。
それを合図に戦場に緊迫感が高まる緊張感を感じた。
空を見上げるといつのまにか無数の天使が飛んでいた。
その中でも大きな気配が2つ。
「人間よ!対等に話せる者はおらぬか!」
「俺がそうだ。」
団長が大きな剣を片手に大きな声で会話を始めた。
「俺はギルドット!このトレッド街、冒険者ギルドの団長を務めている!」
「ふむ、よかろう!我が名はカマエル!《正義を執行する者》だ!」
「名を冠する天使か...、やはり能天使だな?」
「うむ!そしてこちらの方が!」
カマエルと名乗る天使が片膝をついて剣を構えた。
突如として空に大きな穴が形成され、一筋の光が注がれた。
光の中から現れたのは巨大な羽を持つ天使だった。
「ミカエル様である!」
登場により天使達が勢いよく手を叩き、拍手喝采が起きた。
「私はミカエル。大天使だが戦いにおいては最強格。
無数の戦士を率いるこのカマエルを連れてきた。
私の指揮、カマエルの洗練された戦いに感服するといい!」
「して、なぜそのような天使様達がこんな辺鄙な街に来たのですかな?」
「任務へ出たルヒエルという天使の死が確定した。
名を冠する天使が死ぬことは由々しき事態だ!
神の意向によりこの地を浄化することとなった!
まずは不要な人間どもを蹴散らすのだ!」
「知らんといって駄目なんだろうな。
お前ら!特にこの街に住むものよ!
家族を、宝を、全てを守るため、全力を尽くせ!!!」
「「「「「うおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」
「ミカエル様!」
「カマエルを筆頭に天使達蹂躙せよ!」
両者ともに進み始め、人間対天使の戦争が始まった。




