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リ・プレゼン  作者: たむーん
第二章 魔国と旧友

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最高神

 巨大な爆発と物凄い衝撃波。

爆心地には大きなクレーターと濃い瘴気に包まれた二人と大きな羽を持つ天使とそれに守られた一人。

「なんとか、間に合いました。」

大きな羽の中から意識もうろうとしているハーロットの姿が現れた。

アテナの羽は大きく傷付き、所々出血もしていた。

が、そのようなことは気にも留めず、ハーロットの無事を確認していた。

「おかしい、治癒しない...。」

「さきほどの攻撃で私の体内に濃い瘴気が入り込んでしまい、それが悪さをしているようなのです。」

状況を飲み込み適応してきたハーロットは冷静に己の状態を分析した。

「ヒロト!やりすぎだよ!」

瘴気の中から声が聞こえ、アテナとハーロットは戦闘態勢に戻る。

瘴気が霧散していくと二人が出てきた。

「まぁまぁ、俺もあんなに大きくなるなんて思わなかったし。

でも、これで力加減は分かった!

次はナナミがやってみろよ!」

「えぇ、私は...。」

先ほどの衝撃のせいかナナミは攻撃を躊躇っていた。

「でもヒロトの言う通り力加減を知らないとね...、えいっ!」

「なっ!」

そうアテナが驚くのも無理では無い。

なぜなら今、不可視の攻撃をされたからだ。

不可視の割に俺とアテナは見えているようだがハーロットには見えてないらしい。

遅れて後ろの方でギィィィィィンという甲高い音が聞こえてきた。

振り返って見ると、着弾地点が綺麗に切り取られており、その様子から察するに空間を切り取ったと思われる。

「見て見て!やっぱり私の方が”適正”があるみたい!」

「ちぇっ、まぁ俺の方がかっこいいからいっか。」

その隙にアテナとハーロットはクレーターから脱出し二人を見下ろせる高所に避難した。

「ハーロット、もうすぐ天界より主が来て下さる。

来るぞ!」

素早く天の方に視線を移し天が輝く。

クレーターの中心にいる二人に太い一本の雷が落ちた。

凄まじい雷鳴を轟かせ、雷が止むと同時に姿を現した。

「我が主にして父、最高神ゼウスだ。」

天界、神界の絶対的な統治者、ゼウスが現れた。

「ふむ、其方らは”私の子”では無いようだな?」

と言い雷を喰らってもびくともしない二人を見下ろした。

「アテナよ、アポロンを訪ねよ。

さすれば、その子は助かるであろうぞ。」

「はっ!さ、ハーロット、私に掴まってください。」

「でも、このまま天界に行っちゃうと他の二人とお師匠様が...。」

「私の方から彼らには伝えておきますので。」

アテナの手に掴まり抱きかかえられたハーロットはまるで神話の絵画のように天へと舞って行った。

そしてその場に残ったのは、最高神ゼウスと異世界人二人。

「して、其方らはどの神の恩恵を得たのか聞いても?」

「イーアペトス...様だっけ?」

「そうそう、ちゃんと覚えてて偉いよヒロト。」

「うぅむ。」

ゼウスはその名を聞き低く唸った。

「あっち側の神か...、まぁいずれにせよこの世界での無秩序な行為は止めていただきたいのだが?」

「んなこと言われても、ここで遊んでいいって言ったのは神様だし、好きにするね!」

最高神にこのような態度と言い方を他の神々にでも聞かれたらとんでもないことになるだろうな。

「この世界では私が絶対的な象徴である。

他の世界の者が神の恩恵を受けようが知らぬ。

この世界にも其方らと同じ同類はおるが、しっかりとこの世界に従ってもらっている。

従わぬというならば...。」

「交渉決裂でいいね、ナナミ?」

「勿論!ヒロトも全力でやっちゃおうよ!」

「しかたない...。」

神vs異世界人の壮絶な戦いが始まるかと思いきや、ゼウスの一言で戦況がひっくり返った。

「ほれ、あっちいけ。」

「「え?」」

神の絶対的な”力”によって二人はこの世界、神の庭から放り出された。

「ふむ、ここの山には瘴気が残留しとるな。

まぁ月日が流れれば瘴気も薄まるじゃろぉ。

ここをこうして、こうじゃ。」

と、指をくるくるすると地形が変わり、クレーターは埋められ大地が蘇った。

「ふむ、ついでに近寄らせぬよ雪でも降らせておくかのぉ。」

その一言で突如として猛吹雪が吹き荒れ始めた。

「おっと、強く念じすぎてしまったわぃ、まぁこのぐらいが丁度いいかぁのぅ。

念には念をいれて、数体の魔物を配置して...。」

とかなんとかブツブツ言ってるのを聞いてたら今現在猛吹雪と強い魔物で溢れかえってるロンバーギ山脈の姿になった。

思わぬ経緯でこの山脈の生い立ちを知ってしまった。

「して、そこのお主よ?」

!?

おかしいな、なぜゼウスはこちらを見ているのだ?

「気づいていないとでも思ったか?

最初っからバレバレじゃよ。

そちらからは情報を発せぬようじゃな。

世界の存命の瞬間を盗み見されるのは小っ恥ずかしいのぅ。

強制的に閉めさせてもらうぞ?」

まだ、ハーヴァーがああなった原因を見れていないので強硬手段に出ることにした。

本来なら本人の許可なく干渉するのはタブーなのだが、後でハーヴァーに謝ることにしよう。

俺は《顕現者》、全てが終わった時存在は無に帰すだろう。

「むっ?」

「俺が見えてるか?」

「何もないところから出てきよったわい。」

「俺は人間だ。

無論この世界のな。」

「そのようだが、儂の子では無いようだな?」

「最高神の威厳の欠片もない一人称だな。」

「あのキャラを演じるのは疲れるんじゃ。

で、お主なんなのじゃ?」

「あえて言うならば、死にたがりとでも言っておこうかな。」

「ん?なんだかお主から神の気配がするのじゃが...、はて?何の神じゃ?」

エディはこの世界に持っていけないので元の世界に置いてきたのに、長く一緒にいたせいか匂いが付いてしまってるらしい。

「俺は愛称で呼んでいるがヘカテという名前に聞き覚えは?」

「!?」

まぁ動揺するだろうな。

「な、なぜその名の気配がお主から?」

「この時代だと、俺達は異空間で過ごしていたからこっちのことは何も分からないんだ。」

「あぁ、そういうことか。

ヘカテは無事に生きているのか?」

「あぁ、真面目にやるときはしっかりやるけど、基本堕落した生活をしてるさ。」

「そうかそうか、ある時突然気配が消えたから心配したんじゃ。

後で、ヘカテにも伝えておいてくれ、ゼウスがお前たちを我が神殿に招待したい、とな。」

「分かった。

じゃぁ俺はまだ用事があるから先に失礼させてもらうな、ゼウス?」

「儂を呼び捨てにするのは...、まぁいっかのぅ。

最近皆、仕事で忙しくて誰も儂に構っちゃくれんのよ。

寂しいとも伝えておいてくれ。」

などど、9割方雑談とも言えるようなことを話してさぁーっと消えてしまった。

最高神の秩序から外れる前に、現段階でのこの世界の異物である俺を消滅させる。

「《顕現者》から《普遍者》へ。」

そうして無事に《俯瞰者》の姿に戻った俺は、風で飛ばされた二人の方角へと飛んで行った。


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