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リ・プレゼン  作者: たむーん
第二章 魔国と旧友

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19/22

ハーヴァー

 今はマルガスをそっとしておいた方が良いと思い、俺達は部屋を出た。

「ギルド長のご友人方様...?」

「おっと、びっくりした。

何用かな?」

扉を閉めたら目の前にチョーリが立っていた。

「恐らく、この後酒場に向かいますね。

ハーヴァー様が在住していられる酒場は会員制です。

合言葉は”死は命より重し”です。

お気をつけて行ってらっしゃいませ。」

と、不穏な合言葉を教えてもらい、そのまま冒険者ギルドを後にした。

「にしても、あのマルガスが今や冒険者ギルド長になってるとかウケるな。

ハデスさんって、マルガスに会ったことなかったっけ?」

「一度だけお会いしたことがありますが、あの頃は私も若かった者ですからきっと覚えていないでしょう。」

「俺が覚えているマルガスは、あんなシャキッとした服を身にまとうような奴じゃなくて、気だるそうにぶかぶかな服を着ていたマルガスだな。

言葉遣いも正されていたが、唯一俺のことを呼び捨てにして呼ぶことだけは治らなかったみたいだな。

ライムにこっぴどく怒られていたマルガス、それを横目に見ていたハーロット、さらにその様子を面白がっていたハーヴァー、段々と思い出してきたなぁ。」

「おっと、グレイス様そろそろ着きますぞ。」

ハデスさんに言われ前を見ると、地味な看板に”酒場-アリシア-”と書かれていた。

扉の前には杖を突いた初老と思われる男性が立っていた。

男に近づくと気だるそうにこちらを一目見て、

「ここに何用かね?」

と、低い声で若干の殺気を放ちながら喋ってきた。

「いやぁ、ここに知り合いがいるらしくてな。

合言葉は”死は命より重し”だ。

通してくれ。」

と、言うと男は殺気を鎮め、

「なんだ、客か。」

扉の前から離れていった。

「なんだ、客かってここの警備は大丈夫なのか...?」

「やや心配ですな。」

とか言いつつ入店した。

中は静まり返っており、薄暗く埃っぽさを感じた。

奥にはカウンターがあり、コップを丁寧に磨く人がいた。

「注文は?」

「水を一杯くれ。」

「水は置いてないんだ。

水以外で。」

「じゃあミルクを。」

「ガキんちょ、失敬。

ミルクも置いてない。

先に言うが酒もない。」

「じゃぁ何ならあるんだこの酒場?」

不毛なやり取りをしていると周りから睨まれるような殺気を感じ取った。

殺気の制御ができるということは少なくとも熟練者ぐらいの力は持っていると思われる。

「ここには、浮浪者がいるんだ。

誰を探しているんだい?」

より一層殺気が強まった。

並大抵の者だったらこの量の殺気を浴びただけで気絶してしまうだろう。

「ハーヴァー。」

「あの厄介者ハーヴァーで間違いないね?」

「厄介者かどうかは俺が直接目で見て確かめるが、ハーヴァーという名は俺の知る限り一人しかいない。」

「分かった、今連れてくる。

少し待っててくれ。」

店主はそのまま奥へと消えていった。

「グレイス様、さきほどから複数の殺気を感じ取っておりますが何かしでかしましたか?」

「やめてくれよ、ハデスさん。

なんもしてないぞ?」

軽く小話をしていたら周囲の殺気が収まった。

「ほらよ、これがあんたの求めてるハーヴァーだ。」

片手で引きずられてきたのは虚ろ気な目で酒瓶を銜えた、どんよりとした男だった。

俺の顔を見た途端目を見開いたがすぐにまた虚ろな目に変わってしまった。

「あとは好きにしな。」

店主は男を床に放り投げカウンターでコップを磨き始めた。

「アンタにこんな姿見られたくなかったよ、グレイス。」

「俺のことを呼び捨てにするのはお前とマルガスぐらい、つまりお前があのハーヴァーという訳か。」

「マルガス、そんな奴もいたな。」

どうでもよさそうに言葉を吐き捨てるようになってしまったハーヴァー。

昔の姿からは想像できないぐらい髪の毛もボサボサになり、服装もだらしなく、通りにあった像とはかけ離れた汚い姿をしていた。

「さきほどマルガスに会って来た。

お前の事や他の皆のことも聞いた。

俺は俺独自のやり方でこの問題を解決していこうと思う。

マルガスには言ったが、こちらのハデスさんから一言言いたいことがある。」

「初めまして、ハーヴァー殿。

私はハデスと申します。」

「知ってるぜ。

冥土を統べるハデス、だっけか。」

「おや、昔の私の異名ですな。

どこかでお会いしましたかな?」

「魔小族は記憶が良いんだ。

ただそれだけさ。」

「ふむ、今は我が主より別名を賜りましたが許可が出ていないので、ハデスです。

マルガス殿にもお伝えしましたが、ハーロット殿についてです。」

と言うと明らか様にハーヴァーは顔を顰め唇を噛んだ。

「ハーヴァー、真面目なマルガスと違ってお前は小賢しい奴だ。

だが、俺の知るハーヴァーは誰よりも努力をする隠れた努力家だ。

今の状態では微塵も感じないが、まだまだ生きられる種族であるお前の背中を一押ししてやる。」

ちらっとハデスさんを見て、頷く。

「では、現在行方不明とされているハーヴァー殿についてですが、現在も”生きておられます”。

私が言えるのは以上となります。

それ以外は何も分かりませんので、あしからず。」

「は.........?」

マルガスと同様にハーヴァーも喜んだと思ったが少し違ったみたいだ。

ハーヴァーはどこか悲しげにしていた。

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