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1+1は200の奇跡!異世界レスラー山田、プロレス愛で団体設立。10倍だぞ、10倍!  作者: マスクドぷるこぎ
王都外征編

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146話 「スカイハイ史上……最大の危機」


 試合は中盤に入った頃でしょうか。試合展開は……どうやらバカ王女の望んだように進んでいるようです。




 バシッ! バシッ! バシッ! バシッ!


〈やべえな、足を狙われてるぜ!〉


 アーサーさんのローキックが、カルラさんの両足を襲っています。カルラさん、その鋭い蹴撃に防戦一方ですね。


「お嬢ちゃん、足ばかり気にしてると……頭がガラ空きだぜ!」




 バコーーーン!


〈うわ! いいの入った!〉




 ローキックに意識を集中させたことによって、頭部への防御が散漫になってしまったカルラさん。その隙を、アーサーさんは見逃しませんでした。鋭いハイキックがカルラさんの側頭部に命中します。そして、カルラさん……ダウンを喫してしまいました。




「悪いが……王女様の指令なんでな! 飛び技を封じる為にも……足を狙わせてもらうぜ!」


 ダウン中のカルラさんの足を取ると……アキレス腱固めを極めるアーサーさん。王都でヴィクトリアさんも喰らってしまった展開ですね。しかし、ヴィクトリアさんと違って……カルラさんに取って足は生命線です。なるほど、これが王女の指令……つまりは狙いということでしょう。


 それに対しカルラさんは……上半身の力を用いてロープへ向け、這いずっていきます。


「こっちだよ、こっち!」


 セコンドのヴィクトリアさん、大きな声でカルラさんを応援していますね。カルラさんは少しずつ……ロープに近づいていきました。そして…………




「ロープ…………なのです」


〈おおおおお!〉


 カルラさん、右腕を精一杯伸ばして……ロープを握りました。これでロープブレイクです!




 そんなカルラさんに、イクセントラさんが近づいてきます。




 そして…………カルラさんの右腕を蹴飛ばしました!?


 なんと、それによって……カルラさんの右手がロープから離れてしまっています。これでは、ロープブレイクにはなりません。そして、アキレス腱固めは……まだまだカルラさんを苦しめ続けるのでした。




「イクセントラさん、いったい何をしてるんですか!?」


 セコンドのヴィクトリアさん、エプロンサイドに登るとイクセントラを問い詰めますが…………


「何の話かわからない…………それより…………早く降りないと…………反則負け」


 反則負けを提示されると……下がるよりありませんでした。どうやら……イクセントラさん、完全に王女陣営みたいですね。まさかロープブレイクの妨害をするとは思いませんでした。


〈おいおい!? そこまでやるんか!?〉


〈正気を取り戻せよ!〉


〈Boo Boo Boo Boo !〉


 観客の方々の反応も、イクセントラさんへの批難ばかりですね。しかし、イクセントラさん。それすら聞くそぶりがありません。そして今も……カルラさんがロープブレイクの為に腕を伸ばすのを、邪魔し続けていました。




 ロープを握れそうになると……その手を叩かれ、蹴られ、とことんロープブレイクの邪魔をされたカルラさん。何とかイクセントラさんの隙をつくと、ようやくロープブレイクとなりました。


 緩慢にロープブレイクを指示し、アーサーさんにゆっくりとアキレス腱固めを解除するように求めるイクセントラさん。もはや完璧な悪徳レフェリーぶりを見せていますね。


 ようやく自由になったカルラさん、転がるようにして青コーナーへと戻ると……その背中をルカさんが触ります。これでタッチ成立ですね。今度はルカさんがリング内へと入ると……カルラさんは足を引きずりながら、コーナーへと控えるのでした。




***




 イクセントラさんの悪徳レフェリーぶりは、まだまだ続きました。今はルカさんが……その被害に遭っています。


「おいおい、レフェリー……後ろを見ろ、後ろだ!」


 コーナーから身を乗り出して、リング中央を指差し……アピールを強める山田さん。その指が示す先には……なんと、スピさんとアーさんに……両腕を脇固めに固められたルカさんがいました。


 右腕をアーさんに、左腕をスピさんに……まるでガルウイングドアのように高々と腕を極められてしまったルカさん。




「山田…………出てくるな…………」


 イクセントラさん、敢えてコーナーに控える山田さんだけに視線を向け……決してリング中央を見ようともしません。つまり……二人がかりの脇固めは黙認されています。


〈Boo Boo Boo Boo !〉


 ブーイングも何のその……いや、むしろブーイングを楽しむかのごとく悪徳レフェリーを楽しんで見えるイクセントラさん。山田さんのアピールをことごとく指摘して、青コーナーから離れません。


 その様子を見てでしょうか。赤コーナーからはバカ王女が出てきちゃいました。バカ王女、赤コーナーに登っていますね。そして……リング中央を見るようにして、コーナーポスト最上段に腰掛けました。




「オーーーホッホッホッ! スピ・アー! その哀れで下賤な小娘……こちらに連れていらっしゃい!」


 その命令に、二人は脇固めを解除すると……ルカさんの髪を引っ張り、赤コーナー側へと連行しました。




「だから、あっちを見ろって言ってんだろ!」


「あっちって…………どっち?」


 こちら青コーナー側、何度も何度も……山田さんは赤コーナー側を見ろとアピールするのですが……イクセントラさん、とぼけた顔で山田さんを、つまり青コーナー側だけを注視しています。




 そうこうしているうちに……赤コーナーではスピ・アーの両名がツープラトン・ブレーンバスターの要領でルカさんを持ち上げると……コーナートップに座るバカ王女にルカさんを乗せるようにして渡しました。


 スピ・アーさんがルカさんの上半身を支えるようにして保持し、バカ王女はルカさんの下半身を抱えています。そして……なんと、バカ王女、その姿勢のままマットへ向けて飛び出しました! これは……まるでコーナー最上段から、パワーボムをしているようではありませんか!




 ドカーーーーーン!


〈うおおおおおおおおおおおおお!〉


〈やばいだろ、あの落差!〉


〈レフェリー、仕事しろ!〉


「オーーーホッホッホッ! これぞ……スーパーパワーボムですわ! さあ、イクセントラさん……カウントを速く!」


 それを聞くと、山田さんと対峙していたイクセントラさん。即座に踵を返すと、フォールの姿勢に入っているバカ王女の元へダッシュし……高速で滑り込むと、カウントに入りました。


〈おれが悪かった! やっぱ仕事すんな!〉


「ワンツース…………」


 無茶苦茶な高速カウントを数えるイクセントラさん。しかし……その後を追った山田さんによって、ギリギリですがカットが成功しました。




〈おいおい、スカイハイ……やばいんじゃねーの?〉


 会場からは……そういった不安の声が次第に強まってきました。私もそう思います。




 これはスカイハイ史上……最大の危機ですね。



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