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第伍九回戦!!東海の書聖

第伍九回戦!!

世界代表!ペルシアの英雄、ロスタム!日本代表!東海の書聖、日下部鳴鶴!


竜馬に跨る巨漢のペルシア人。栄光と悲劇の人生に彩られた彼はイランの為に700年もの歳月を戦い続けた。シャー・ナーメの英雄である。

対するは明治時代の書家。鶴門と呼ばれる流派を興し、数多の弟子を育て、日本近代書道の父と称された。明治の三筆である。


第伍九回戦、開始!!


竜馬、ラクシュが嘶き、日下部鳴鶴に咬みつこうとする。

英雄ロスタムの相棒たるラクシュは獅子を咬み殺し、龍の鱗すら咬みちぎった英雄の愛馬に相応しい豪快な気性の馬であった。


日下部鳴鶴は半紙に筆を下ろし、文字を書くだけ。

力強い筆で書かれた文字は世界に己が意味を訴え、現象となる!!


『壁』


バァッン!!


ラクシュと宙に浮かぶ半紙が大きな音を立てて激突した。


ロスタムはラクシュを撫でると一度後退し、駆け迫る。

『壁』に飛びかかり、上段に構えた剣を悪鬼を引き千切った剛力を持って振り下ろすと、『壁』は許容範囲を越えて破れ消える。


無防備になる日下部鳴鶴だが、再び紙に筆を走らせる。今度は半切。

書かれたのは『千之石碑』。

自身よりもはるかに巨躯のロスタムとラクシュに迫られ、命の危機にある日下部鳴鶴は刹那の合間に命を賭けた書を書き上げた。思い、想い、念い。書聖の信念が込められた書は世界の記憶を辿り、かつて存在した千基の石碑を呼び起す!!

地面から無作為に飛び出す大小数々の石碑。

日下部鳴鶴を中心に現れるそれらはロスタムらの障害となり、またロスタムら攻撃する石柱となった。

ほぼ真下から次々と現れる石碑にラクシュを跳ねさせ避けようとするがいかんせん、数が多く、すぐに打撲まみれになるロスタムとラクシュ。


やがて、千基の石碑が全て出ると、日下部鳴鶴は仕上げに入る。


半紙に書を書く日下部鳴鶴を見て、全身に痣を作ったロスタムは最後の力を振り絞り全身で短剣を日下部鳴鶴に投げる。

鬼を素手で殺し、樹幹をに矢を貫通させるロスタムの全力で投げられた短剣は音速を超え、空気摩擦により赤熱し、灼熱の鏃となって日下部鳴鶴に迫る。


日下部鳴鶴は視界内の大気を燃やしながら飛んでくる短剣を目視しながらも、避けない。

自身の書を信じ、明治時代の三筆の名を此処に示す!


『日下部東作』

雅号ではない。彼の真名は彼の存在を肯定し、強く世界に認識させる!

真名を記した事により、現代まで残る碑が呼応する。


短剣が衝突するが、現存する碑の数だけ強く世界にある日下部鳴鶴は焼けることなく立ち続ける。


やがて、自らの熱で伝説の短剣は溶け、落ちる。


同時にロスタムも力尽き倒れるのだった。





明治の三筆・中林梧竹

「私と違って規範的な書風の日下部鳴鶴は多くの弟子を持った。

規範的であったが、弟子には自由な書を認め、後の日本書道に大きな発展をもたらした。

まさに書聖である。」

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