第伍二回戦!!第64代内閣総理大臣
第伍二回戦!!
世界代表!電子レンジの発明者、パーシー・スペンサー!日本代表!第64代内閣総理大臣、田中角栄!
ポップコーンを片腕に抱えて現れたのは白衣を着たアメリカ人。1人の工場作業員から副社長にまで上り詰めた叩き上げである。
対するは逮捕された総理。日本中に高速道路に張り巡らせ、買収すらした政治家で新潟の偉人である。
第伍二回戦、開始!!
「振動開始」
マグネトロンがパーシー・スペンサーの声と共に田中角栄の周りに現れる。
マグネトロンは振動することによって周囲の水分子を振動させ加熱する。
生き物を電子レンジにかけてはいけません。
理由は簡単だ。
体内の水分が急速に加熱され蒸発し体積は膨張する。
そして爆発するからだ。生卵が爆発する理由だ。
今は上記と同じことが田中角栄にされているのだ。
普通に考えて必死の空間だが田中角栄は動じない。
腕を組み、周囲一帯にあるマグネトロンを見回し逃げ場のない振動空間の中高らかに声を上げる。
「俺の政策は日本大改造!これは物流を発展させて経済を育てた国の宝だ!」
田中角栄の力強い言葉と共に現れるのは巨大で長大な高速道路。
今や日本各地47都道府県全てに張り巡らされたこの道田中角栄は作ったのだ。
地方と言われる県の出身だからこそ賄賂すら送って全ての都道府県に差別なく張り巡らせたのだ。
彼は日本史において必要か不必要かと問われたならば、間違いなく必要な総理だった。
高速道路はそこに存在するだけで田中角栄に力を与える。コンクリートの硬度、道路の重量、高速道路の修復力、24時間稼働している持続力が田中角栄に宿る!
マグネトロンは無差別に現れた高速道路によって様々な高度に移動し振動空間に隙間ができる。
田中角栄はあえて柱も道路も出さなかったジャンクションの中心にパーシー・スペンサーを誘導し、そこへ向けて歩き出した。
道中にはマグネトロンが近くなる場所もあったが田中角栄には効かない。彼の体は今、高速道路の材料であるコンクリートの性質を有する超人なのだ。
近づいて来る田中角栄を見つけたパーシー・スペンサーは田中角栄の道中にあるマグネトロンを強化して振動空間を広げる。そしてそこにチョコレートと生卵を設置して一気に加熱した。
チョコレートが溶ける。パーシー・スペンサーの思いの分だけ存在するチョコレートは大量に存在し、やがてはチョコレートの濁流となって田中角栄を飲み込もうとする。
田中角栄は迫りくるチョコレートの津波を見て口角を上げると真横にあった高速道路の柱もを殴りつける。
殴られた高速道路、E4のナンバリングがされた日本最長の東北道は融解すると、一気に生コンに戻る。
東北道の生コンはチョコレートの津波に対して壁となり鉄筋が固定されると完全に固まり全容が露わになる。チョコレートの四方を囲う壁となって田中角栄を守ったのだ。
ならば、とパーシー・スペンサーが指を鳴らすと連続して破裂音が鳴り響く。それは小さな爆発。しかし、小さな衝撃は積み重なり巨大建造物すら破壊する。
近くの高速道路が崩落する。不思議に思い目を向けると地面に瓦礫と共に落ちている白い破片。
これは卵の殻であり破裂音は卵が爆発した音。
鳴り止まない爆発音。
次々と崩落する高速道路。
パーシー・スペンサーのいる場所まではまだまだ距離があり時間がかかるだろう。逆転か?
「そんな訳ねぇだろ?」
崩れたならば建て直せばいい。ただそれだけだ。
全国の料金所から集められた資金で高速道路が建て直される。崩れた側から復元される高速道路。真新しく生まれ変わった高速道路は耐震性、耐久性に優れていき建て直されるたびに爆発にも耐える硬度となっていく。
そして卵の爆発すら効かなくなった高速道路の力を宿す田中角栄が遂にパーシー・スペンサーの前に辿り着く。
パーシー・スペンサーは最後の切り札であるコーンを至近距離から大爆発させるが田中角栄には傷一つ付かない。
「…食べ物を粗末にするんじゃない」
爆発して散らばったポップコーンを横目にみた田中角栄は呟きながら生コンを操りパーシー・スペンサーの首から下を埋めるのだった。
木曜クラブ会長・西村英一
「田中君はコネのない政界で生き抜くために何でもやった。善悪はあれども国を良くするためということが必ず前提にあった。」




