第参九回戦!!ミカン船
第参九回戦!!
世界代表!航海王子、エンリケ!日本代表!ミカン船、紀伊國屋文左衛門!
冒険者たちの先頭に立ち時代を引っ張った王子はキャラベル船に乗って現れた。大航海時代の先駆者である。
対するは嵐の中、ミカンを江戸に届け、流行病の中、塩鮭を上方へ届けた商人。江戸時代の投機家である。
第参九回戦、開始!!
偉大なるポルトガル王室の王子は冒険者たちを支援し、希望峰へ繋がる航路の開拓に生涯を捧げた。
彼が手に持つのはポルトガル初の金貨。
麾下の冒険者たちを危険な大西洋へ送り出す影響力は今もなお衰えることはない。
紀州の商人は先を見通し、遠くの声を聞き逃さなかった。大型船を直し、果実を買い上げ、求められる場所で売り捌いた。需要と供給を満たす為なら、彼は自然の力など恐れない。
そこに商機がある限り、あらゆる厄災の中で物を売るのだ。それはいつ何時でも変わらない。そう今もまさにそうだ。
「今回、私が売るのは勝利でございます。エンリケ航海王子殿下。今なら大特価の10万両で如何でしょうか?」
「10万両?1両は何レアルだ?」
「レアル?ポルトガルの貨幣ですね?
少々お待ち下さい。
ふむふむ。
大凡ですが出ましたぞ!20万レアルで1ユーロ、1ユーロは120円です。1両が13万円なので10万両は130億円。つまり10万両は21兆1068億レアルになります!」
「貴様、巫山戯ているのか?」
「いえいえ至極真面目ですとも!
今回はおまけして100分の1の2110億までで構いません。」
「それで売れると思っているのか、貴様。
首を出せ。貴様を殺せば貴様の資産も勝利も私のものだ。」
「おや、買われない?
ましてや私の資産を接収しようと仰る?
ほほう。ですが、出来ますかな?
ほら、早く決めないから嵐が来ましたよ。」
「何!?」
大時化が船乗りたちを襲う。
荒れる波に船が沈まないよう帆を畳みオールで嵐の海域から離脱しようと必死になるエンリケ。
それを船の縁からロープに捕まりながら眺める紀伊國屋文左衛門。こちらも大波に船が上下して船員が走り回るが、慣れきっているのか余裕の表情で帆を張り嵐の帆船とは思えない速度で航行する。
金貨の力で強化された冒険者たちは海に投げ出されては救助を待つ以外何も出来ない。
エンリケたちは船員が減っていく中まだ嵐の中。
それを横目に紀伊國屋文左衛門たちは嵐からの生還と確信した勝利に祝杯をあげた。
材木商・奈良屋茂左衛門
「あの野郎、上手いことやったよ。江戸の情報なんざ紀伊にいてもそう簡単に手に入るかっての。」




