第77話 衝撃のYO-YOテストと二元同時コーチング
7月17日(火) ―― 13時00分
午前中に自分が放った「言葉の重み」の真実を知り、牧野椿姫大尉と牧野葵少尉の二人と婚姻を結ぶ覚悟を決めた。
またしても妻が増えてしまうことへの戸惑いは隠せないが、昼食時の千代乃からの強烈な圧力を乗り越えた僕は、しっかりと気持ちを切り替えていた。
ここからは、ラグビー日本代表のフィジカルトレーナーとしての顔になる。
僕は北川さんと、松田さんをリーダーとする6名の護衛、そして研究員としてデータを取る気満々の妻・クリスを伴い、体育隊のグラウンドへと足を踏み入れた。
クリスはノートPCと計測デバイスを抱え、「代表選手の生データが取れるなんて最高!」と大興奮で鼻息を荒くしている。
グラウンドに到着すると、そこにはすでに陸軍広報部の牧野葵少尉が、3名のスタッフを引き連れて待機していた。
午前中のあの「やらかし告白」――こちらの世界では明確な求婚にあたるそれを、姉の椿姫さんにしたことで、妹である葵さんを連婚者として北川さんから提案されたからだろうか。
あるいは、すでに北川さんから『本日20時頃に天馬さんが責任を取る旨(婚姻の意志)をお伝えします』という連絡がいっているからなのか。
葵少尉は完全に蕩けた表情でこちらを意識しており、顔を真っ赤にしながら蚊の鳴くような声で挨拶してきた。
「しゅ、取材……よろしくお願いします……っ」
「あ、はい。こちらこそよろしくお願いします」
僕も少なからず意識するも、努めて冷静に淡々と返した。
そして、小声で葵少尉に尋ねる。
「あの……椿姫さんはどうされました?」
「あ、お姉ちゃんですか……? 本来の業務に戻ってはいるんですが……何かずっと、放心状態というか、ぼーっとしていて……ふふっ」
葵少尉はモジモジしながら僕を見つめてくる。
「葵さん、椿姫さんと一緒に、今夜20時に僕の宿舎の応接室まで来てください。お待ちしてます」
「は、ハイッ!!」
葵少尉は赤面しながらも、弾けたような元気な返事を返した。
そこへ北川さんが僕たちに割り込み、葵少尉の耳元で小声で何かを囁く。葵少尉は目を丸くしたあと、猛烈な勢いでスマホを取り出して操作し、椿姫さんに連絡を入れ始めた。
おそらく「正式に婚姻届を書くから準備して!」とでも送ったのだろう。
自分の発した言葉の重みを受け止め、彼女たちの人生を背負う覚悟はできている。僕は深く息を吐き、完全にトレーナーの顔へと切り替えた。
〜〜〜〜〜
ふとグラウンドの脇に目をやると、見慣れた大型バスが停まっていた。車内から姿を現したのは、驚いたことに「大舘さおり」さんだ。東相大学の理事長であり、日本ラグビー協会の会長でもある彼女が、なんと!「ヨーヨーテスト」の専用機材を自ら届けに来てくれたのだ。
誰もが認める“ラグビー狂”の理事長は、日本代表の合宿を視察したくて居ても立ってもいられなくなったらしい。開発段階から全面バックアップしてくれている理事長直々の指示とあって、スタッフたちの機材設置の手際は鮮やかだった。
「天馬さん! 準備は進んでるかしら!?」
「理事長、自ら機材を届けてくださり、ありがとうございます」
僕が応じると、理事長は豪快に笑った。そこへタイミングを合わせたように、イノウエ監督とナカムラヘッドコーチが歩み寄ってくる。
「さおり! 久しぶりね!」
「相変わらずパワフルね、さおり」
「アリッサ! マヤ! あなたたちこそ、代表の指揮は順調かしら?」
三人はお互いに力強いハグを交わし、冗談を言い合いながら楽しそうに笑い合っている。
かつて世界の頂点を争った者同士の息はピッタリだ。
イノウエ監督が選手たちをグラウンド中央に集めさせた。招集された日本代表選手全60名が集結した。
今回の「YO-YO間欠性持久力テスト(レベル1)」を実施するにあたり、選手全員のスパイクには専用のICタグが装着され、胸部には心拍数をミリ秒単位で計測するハートレートセンサー(HR)が取り付けられている。
ロットナンバーで管理されたタグが各選手の詳細なデータを記録する。
さらに、フライングや20メートルライン手前での「インチキターン」を感知すれば、即座にセンサーが警告音を発する仕組みだ。
まずはラグビー協会会長として大舘理事長から手短な激励の言葉が送られ、続いて僕がマイクを握った。
「皆さん、お疲れ様です。臨時フィジカルトレーナーの甲斐田天馬です」
60名の精鋭たちが、一斉に僕へ視線を向ける。プロの風格を漂わせる猛者たちと、緊張した面持ちの大学生選手たち。その中には、義弟の優君の最愛の妻である「志田悦子」さんや、義妹の「大舘リリカ」の姿もあった。
「僕は皆さんの直近の国際試合の映像をすべて拝見しました。非常に迫力があり、素晴らしいプレーの連続でした。……しかし、明確な弱点があります。それは『リロードの時間』⋯⋯つまり、ワンプレー終了後から、前線復帰するまでの時間が明らかに遅いということです」
選手たちの表情が“ピキッ!”と硬直した。
「原因は明白です。皆さんには、ラグビーという格闘球技を80分間戦い抜くための『持久力』と『回復力』が足りてないからです。これから行う『ヨーヨーテスト』は、皆さんのその隠された能力を完全に数値化し、限界を曝け出すためのテストです。さらに、ターン時の姿勢から体幹部の強さとブレの有無も推測します」
僕はルールを口頭で説明したが、言葉だけではイメージしづらいため、実演して見せることにした。
「東相大のメンバー、前へ」
僕の指名で、リリカを含む東相大学の5名がライン前に並ぶ。
「ルールは単純です。20m先のマーカーまで走り、シグナル音に合わせてターンし、戻ってきて20mのゴールラインを通過したら、10秒間のインターバル(歩行・休息)を挟みます。そして再びリスタート。これをオールアウト(完全な限界)を迎えるまで繰り返します」
一呼吸置いてから僕は続ける。
「注意事項として、フライングの禁止。そしてマーカー手前での手抜きターンはセンサーが弾きます。また、早くゴールして長く休もうとするのを防ぐため、制限時間のちょうど半分のタイムで『ビープ音』が鳴ります。皆さんはその音を目安に、スピードを調整してゴールしてください」
僕は実際に走るリリカたちを見せながら、攻略のコツを伝授した。
「コツは、スタート直後は速めのペースで入ること。そしてターン手前でしっかりと減速し、脚への負担を減らすために『右足ターン』と『左足ターン』を本数ごとに交互に使うこと。ターン後も速やかに加速し、ゴール直前で減速して回復時間を1秒でも長く確保することです」
以上のテストの説明を終える。選手らは全員興味深い表情をしている。
今回のテストは【レベル1】で実施する。
スピードレベル 5: 時速10km(40mを14.40秒)からスタート。
・2本目
レベル 9: 時速12km(12.00秒)
・3本目〜
レベル11: 時速13km(11.08秒)
・8本目〜
レベル13: 時速14km(10.29秒)
・20本目〜
レベル15: 時速15km(9.60秒)
・36本目〜
レベル17: 時速16km(9.00秒)
シグナル音が鳴る間隔がどんどん短くなり、要求されるスピードと回復力が加速度的に上がっていく地獄のテストだ。
15名ずつ4つのグループに分け、テストのやり方を熟知している東相大の5名を各グループに振り分けてスタートを切った。
『ピピッ――!』
電子音がグラウンドに響き渡り、第1〜第3グループのテストが進んでいく。
プロリーグのトップ選手たちは、さすがの意地を見せた。
徐々に狭まる制限時間の中、荒い息を吐きながら喰らいつき、37本(1480m)という記録で全員がオールアウト(脱落)となった。膝に手を当て、芝生に倒れ込むプロ選手たち。
一方、他大学から参加した一般の大学生選手たちは、レベルの高さについていけず、わずか30本(1200m)付近で次々と撃沈していった。
しかし――監督やコーチ陣、そしてプロ選手たちの目を疑わせる光景が広がった。
「な……何よ、あの子たち……!?」
東相大学の選手たちは、僕が日頃から叩き込んできた科学的フィジカルトレーニングの成果を遺憾なく発揮していた。
彼女たちは正確なターンで脚の疲労を最小限に抑え、軸のブレない体幹でスピードを維持している。
プロ選手たちが全滅した後も淡々と走り続け、なんと全員が50本(2000m)に到達するまで走り抜いたのだ。
「ウソでしょ……プロより13本も多く走るの!?」
「ターンする時の身体が、全然ブレてない……!」
周囲から驚愕の悲鳴が上がる中、いよいよ最終の「第4グループ」がスタートラインに立った。
ここには、サクラフィフティーンの絶対的エース・志田悦子さん(優君の妻)と、東相大のエース・大舘リリカがいる。まさに最上級の猛者たちが集う死の組だ。
『ピピッ――!』
テストがスタートした。
30本を超えたあたりで、リリカ以外の大学生選手が全員脱落。
35本目。プロの第一線で活躍するエース級の選手たちすら、顔を歪めて荒い息を吐き、足取りが重くなり始める。志田悦子さんも、汗だくになりながら必死に自身を鼓舞していた。
だが――その横を走るリリカは、まるで散歩でもしているかのように涼しい顔をしていた。
「リリカ〜! 遊んでるんじゃないぞ、ここからが本番だ!!」
僕がグラウンド脇から大声で喝を入れると、リリカは走るリズムを崩すことなく、ニッと八重歯を見せて親指を立てた。
「義兄さん! まだまだ余裕ですよ〜!!」
「「「「あいつ、あのペースで喋った……!?」」」」
プロ選手たちが絶望的な表情でリリカを見上げる。
36本目。限界を迎えたプロ選手たちが一気に脱落。
残されたのは、志田悦子さんとリリカの二人だけになった。志田さんは肩を激しく上下させ、息を絶命寸前まで乱しながらも、エースのプライドだけで足を出している。
そして38本目。
『ピピーッ!』
志田さんがタイムオーバーとなり、その場に崩れ落ちるようにオールアウトとなった。
「そこまで! 志田さん、ナイスラン!」
僕は労いの言葉をかける。
これで残ったのは、リリカただ一人。
その後は無音のグラウンドに、電子音とリリカの力強い足音だけが響く。40本、45本、50本――。
極限のスピード領域に入っても、リリカの体幹は全くブレない。
最終的に、リリカが倒れ込んだのは――脅威の55本(2200m)に達した瞬間だった。
「ハァ……ハァ……っ! 義兄さん……っ! 自己ベスト……更新、しました……っ!」
芝生に倒れ込みながらも、リリカは最高に満足気な笑顔を僕に向けた。
「すごいぞリリカ! よく頑張った!」
僕が駆け寄って労いの言葉をかけると、周囲の代表スタッフ、プロ選手たちは、まるで未確認生命体を見るかのような呆然とした表情でリリカを見つめていた。
「あり得ないわ……日本のラグビー界に、あんな怪物がいたなんて……」
イノウエ監督が絶句する中、理事長の大舘さおりさんだけは「ふふん、私の東相大の生徒ですもの。当然よ」と自慢気に胸を張っていた。
〜〜〜〜〜
「天馬、データの集計は完了したわ! プリントアウトしておくね!」
テスト終了後、クリスがノートPCのキーを叩き、即座にポータブルプリンターから分析結果を吐き出させた。
クリスはプリントアウトされたグラフを見ながら、小声で僕に囁く。
「……プロ選手たち、思った以上に持久力と回復力が欠如してるわね。東相大のメンバーと比べて、コンタクト後の心拍数の戻りが遅すぎる。天馬の指導がどれだけ異常……じゃなくて、先進的だったかが良く分かるわ」
クリスはプロ選手の数値に少しだけ失望しつつも、それを一から鍛え直す僕の存在に対して、尊敬と愛おしさが混ざった熱い視線を送ってきた。
また、一部始終を密着取材していた牧野葵少尉も、間近で東相大の異次元のスペックの高さを見せつけられ、興奮で頬を染めていた。
「すごい……プロを子ども扱いするほどのフィジカル……! これをすべて一人で作り上げた天馬さんは、やっぱり本物の天才なんだわ……!」
「全員、グラウンド中央に集まって!」
テストを終え、僕は疲れ果てた60名の選手たちを再び集めると、東相大のメンバーと一緒に実演しながら、仕上げの体幹トレーニングを提示した。
「今日のテストで分かった通り、皆さんの体幹はまだまだ弱いです。ターン時やコンタクト時に身体がブレないよう、このインナーマッスルを鍛えるトレーニングを最後に行います」
初めて体験する自重トレーニングの動きに、プロ選手たちもバランスを崩して「キャッ!」「キツい……何これ!?」と悲鳴を上げる。戸惑いながらも、彼女たちは僕の指示に従って必死に体を動かした。
約30分間の体幹トレを消化し、時計の針が15時を指したところで、本日の代表合宿のメニューはすべて終了となった。
「お疲れ様でした! 今日のYO-YOテストの分析結果と、それに基づく明日からの個人別トレーニングメニューは、明朝のミーティングで配布します!」
「「「ありがとうございました!!」」」
選手たちの力強い挨拶がグラウンドに響き渡る。
分析結果という明確な「鏡」を突きつけられたサクラフィフティーン。彼女たちがこれからどう化けていくのか――僕のトレーナーとしての血が、静かに熱く滾り始めていた。
〜〜〜〜〜
日本代表の壮絶な「YO-YOテスト」と体幹トレーニングを終え、グラウンドの片付けを見届けた僕には、休む間もなく次の任務が待っていた。
体育隊の長距離選手らの午後の練習(二部練)、そして東相大学長距離・駅伝部の練習という、二つのコーチングの掛け持ちだ。
火曜日の夕方、東相大学長距離・駅伝部の練習メニューは「イージーペース走と補強筋トレ」を実施する日。
一方で、体育隊の選手たちの午後のメニューは、昨日の過酷な1200mインターバル走の疲れを完全に抜くための「疲労抜きジョグ」だ。
「よし、体育隊の練習は直接現場で指導して、東相大のメンバーはタブレットによるリモートでチェックしよう。二元同時コーチングだ!」
自分に気合を入れ直し、僕は16時に合わせて再び体育隊のサブトラックへと向かった。傍らには、いつも寄り添ってくれる北川さんと護衛の皆さんがいる。
グラウンドに足を踏み入れると、そこには案の定、陸軍広報部の牧野葵少尉が3名のスタッフを引き連れて待機していた。
「天馬さん! お疲れ様です!」
葵少尉が挨拶をしてくる。
「葵少尉、お疲れ様です。引き続き取材、よろしくお願いしますね」
僕がそう応えると、一瞬で顔をポッと赤く染めて「は、はいっ!」と愛らしく頷いた。
グラウンドの中央に視線をやると、そこにはすでにジャージ姿の牧野椿姫大尉が立っていた。彼女はすでに体育隊の選手たち一人ひとりの体調管理チェックを終え、給水用ボトルを寸分の狂いもなく綺麗に整列させて準備を整えていた。
「て、天馬さん……! お疲れ様です……っ」
僕の姿を捉えた瞬間、椿姫さんは真っ赤になって硬直した。何かぎこちなく指先をモジモジと動かしながら、トロンとした恋する乙女そのものの眼差しを真っ直ぐに僕へ注いでくる。その純粋すぎる視線に射抜かれ、僕まで顔が熱くなって赤面してしまった。
僕は咳払いをひとつ挟み、意を決して椿姫さんのすぐ近くまで歩み寄ると、周囲に聞こえないくらいの小声で語りかけた。
「椿姫さん……。今夜20時、僕の宿舎の応接室に来てください。葵さんと二人で」
「っ……!」
椿姫さんが息を飲んで目を見開く。
「午前の僕の発言……言葉の重みをしっかりと受け止めて、今夜お二人にケジメを付けます。期待していてください」
僕が真っ直ぐ目を見つめてそう告げると、椿姫さんの端正な瞳から、ポロポロと大粒の嬉し涙が溢れ出した。彼女は何度も、何度も深く頷き、言葉にならない想いを噛み締めるように胸元で小さく拳を握りしめた。
その温かな余韻を胸に抱きつつ、僕は体育隊の選手たちを集めた。
「全員集合! これから午後の練習を始めます。今日のメニューは、昨日のスピードトレーニングの疲労を完全に抜くための『疲労抜きジョグ』です。キロ5分(1kmを5分)のゆったりとしたペースで、10km走をします」
「「「はい!」」」
選手たちが準備運動を始めていると、後方からテスト勉強をひと区切りつけて走ってきた蘭が慌ただしく合流した。
「ハァ、ハァ……ごめんなさい! 遅くなりました!」
「大丈夫だよ蘭、焦らないで。じっくりストレッチして」
20分ほどかけて入念に準備運動を終えた後、僕は走力とペース感覚が安定している蘭をペーサー(ペースメーカー)に指名し、10kmの疲労抜きジョグをスタートさせた。
トラックを静かに走り出した選手たちを見送り、僕はグラウンド脇のベンチに腰を下ろすと、片手に持った高解像度タブレットの画面に意識を集中させた。
画面の向こうでは、大学のトラックにて東相大学長距離・駅伝部の部員たちが、整然とイージーペース走を行っている様子がリアルタイムで男子マネージャーによって映し出されていた。
「うん、良いフォームだ。みんなしっかりできてるな」
僕はマイク越しに部員らに指示を出す。
「みんな、良いペースだぞ! 腕の振りをコンパクトにな!」
そして目の前のトラックを通過する体育隊の選手たちにも視線を移す。
東相大の画面と、目の前の体育隊の走りを交互にチェックしながら、フォームの乱れや疲労度を緻密に分析する。
走り終えた後は、双方のグループに同時に指示を出し、仕上げの補強体幹トレーニングを全員で消化して、本日の長距離練習はすべて無事に終了した。
「ふぅーっ……! なんとか乗り切ったぞ……」
三つの異なる現場(体育隊・リモートの東相大・そして午後のラグビー日本代表)でのコーチングをすべて滞りなくやり遂げ、僕は心の底からホッと息を吐いた。
明日(水曜日)は、これらに加えてさらに「東相大学ラグビー部」のフィジカルトレーナーとしてのコーチングも入ってくる。本当に目が回りそうなほどの多忙さだが、どこか充実感に満ち溢れている自分もいた。
「天馬さん、本当にお疲れ様でした。見事な采配でしたね」
北川さんが冷たいスポーツドリンクを差し出して微笑む。
「ありがとう、北川さん。……さて、それじゃあ宿舎へ戻ろうか」
僕は手短に牧野姉妹に挨拶をしてから宿舎に戻っていく。二人とも赤面しつつも、僕に挨拶を返した。
これからの事があるので、今日は午後の自主トレは中止にした。
昨日スピードトレーニングをしたので、午前に実施したイージーペース走でリカバリーとしても問題ないだろう。
(よし……これで午後の仕事は一区切りだ。次は……いよいよ今夜20時、椿姫さんと葵さんへの『責任』を果たす時間だな……)
時刻は18時半過ぎ、茜色に染まるグラウンドを見つめながら、僕は意を決して宿舎への帰路につくのだった。
【あとがき】
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
次回の投稿は月曜日とさせてください。
今後ともお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。




