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あべこべ世界でのランナー ~マラソン日本記録保持者が女性過多で貞操観念も逆転した世界線に転移し無双する~  作者: アサノ霞
第3章 レース編 1

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第23話 レース後の反響!

 大会後の夜、日本国陸連から連絡が入り、ドーピング検査の結果、僕がクリーンであることが証明された。今後は日本国陸連を通じてWA(世界陸連)へ僕の記録が提出され、正式に受理されれば記録は認定されることになる。しかし、ドーピング検査がクリーンである以上、事実上の認定は確定しているも同然だった。


◆◆◆◆


 翌朝のニュースでは、昨日のレースが大々的に報じられていた。


「5000mで世界記録樹立! しかも男性が!」

「5000mを脅威の14分切り! 男性選手が歴史的快挙!」

「男性が女性を遥かに上回る記録を樹立!」

「彼は本当に男性なのか?」

「突如、彗星のごとく現れた美男すぎるアスリート!」

「男性にしては高身長! 筋肉質でセクシーな体!」

「彼はいったい何者なのか?」

「長距離界に男神おがみ降臨!」

「ウェヌス・プラチナ・グランプリに初の男性選手出場か?」

「彼が出場すれば、スポーツ界に新たな波が訪れるのは間違いない!」


 観客が撮影した動画もネットで拡散され、スタート前のルーティンやレース中の走りが数多く公開されていた。それぞれの動画は、たった一日で100万回再生を軽く超え、勢いは止まる気配がなかった。


『スプリング・トラック・ゲームス2018』での僕の出場と記録は、想像を遥かに超える反響を呼んでいた。朝のニュースを見ながら、僕はコーヒーを片手に複雑な表情を浮かべる。この反響は嬉しくもあり、同時に戸惑いも感じさせた。


隣に座る奈月がスマホをスクロールしながら呟いた。


「思った以上に話題になってるわね」


その横では朱里もネットニュースをチェックしていた。


「……大会側の反応はまだないみたい。でも、メディアはかなり前向きな論調ね」


僕は苦笑しながらカップを置き、ため息混じりに呟いた。


「前向きというか、センセーショナルな感じが強いな……」


 ネットやテレビの報道には期待と賞賛の声もあれば、男性が女性の記録を塗り替えたことへの疑念や戸惑いも混じっていた。陸上競技界の重鎮たちも、この異例の事態に次々と言及し始めた。


5000m走のオリンピック金メダリストであり、世界記録保持者の「サヤット・ベケレ」は、とあるスポーツ番組で興奮気味に語った。


「14分切りなんてとても信じられなかったわ! 何しろ私より30秒も速いのですもの! しかも男性が達成したのですから尚更よ! だけど……動画を見たら……信じざる負えないわ! 彼が特別な才能を持ってるのは間違いないわ!」


一方、WA(世界陸上連盟)の理事長である「瀬田せたとし子」は慎重な見解を示した。


「これまでのトラック競技は、女性を中心に発展してきた歴史があります。そこに男性が参加するというのは、前例のない試みです。彼の能力がどれほどのものか、そしてそれが競技にどのような影響を与えるのか。慎重に議論しなければなりません」


 そんな中、僕の出場を支持する声も多かった。伝説的なランナーで、現在はコーチとして活躍する「ソフィア・ベネット」はメディアのインタビューで語った。


「彼のレースを見たわ! 信じられないほど無駄のない洗練された美しいフォーム! 驚異的な持久力と圧倒的なスピード! これは人間の走りなのかと思ったほどよ! しかも……見惚れてしまうほど芸術的な美しい肉体! 彼がここまで作り上げたのは、想像を絶するトレーニングの賜物でしょう。彼は陸上競技の未来を広げる存在よ! ウェヌス・プラチナ・グランプリに彼が出場するなら、私はその走りを心から楽しみにしてるわ!」


「ここまでの話題になるとは……」


僕は呆れたように呟く。

すると隣に座る奈月が真剣な表情で言う。


「天馬、これは単なる陸上競技の話じゃないわ! 社会全体の価値観にも関わる問題よ! あなたの記録は、これまでの常識を完全に覆した! しかも男性がね。だからこそ戸惑いも生まれるし、注目もされる。でも……本当に出場するつもりなの?」


僕は一瞬黙った後、静かにコーヒーを飲み干した。


「……出場する」


僕の言葉には、もはや迷いはなかった。


 そんな賛否が渦巻く中、沖ホールディングスを通じてメディアからの取材依頼が殺到していた。朝から電話が鳴りっぱなしで、会社のメールの受信も引っ切り無しな状態であったそうだ。


広報部総出でその対応に追われていたのだ。愛理には……後でしっかりとお礼をするとしよう。


◆◆◆◆ 


 出勤する奈月と朱里にお弁当を手渡して見送ってから、9時頃に護衛を伴い、近所の総合運動公園にて、疲労抜きを兼ねたロングジョグを実施した。


昨日のレースのこともあってか、競技場内にはおよそ100名ほどのギャラリーが集まっていた。

女性ばかりであり、よく見ると殆どが中高生くらいであった。3月下旬なので、春休みなのであろうか。


 競技場の周りで黄色い声援を送っては、僕のトレーニングする姿をスマホで撮影しているのみで、特に練習の邪魔をする訳ではなかった。

だが、日を追うごとにギャラリーの数が多くなることも懸念されるので、今後の対応なども含めて、ここは北川さんに相談してみるとしよう。


 昼過ぎから沖ホールディングスへと赴き、会長、社長を含めた役員全員に今回の大会の結果を報告した。

役員会議室にて役員全員にサポートしていただいたお礼を述べた。


「皆様のご支援のおかげで、このような結果を残せました。心より感謝申し上げます」


最初に会長の月子さんが穏やかな笑みを浮かべて言う。


「おめでとう! 天馬君の努力と才能があってこその結果よ。今後はこれまで以上に注目が集まることでしょうが、私たちはしっかりサポートしていくつもりよ」


社長の葉月さんも頷く。


「取材依頼が殺到してるみたいね。広報部を通じて対応は万全にしてるわ。愛理さんにも調整をお願いしてるから、安心してくださいね」


「ありがとうございます」


深々と頭を下げて役員会議室を退出後、愛理と少しだけ話す時間が取れた。


「天馬さん、大変なことになったわね」


「本当に……ご迷惑をおかけしてすみません」


僕は愛理に深々と頭を下げた。因みにここは会社内であり、愛理は僕の上司となるので、言葉遣いは敬語だ。


「迷惑だなんて思ってないわ。むしろ、会社にとってあなたの活躍は誇りよ! とはいえ、これからはもっと大きな波が来るでしょうね」


 愛理の言葉には、母親のような温かさと、ビジネスウーマンとしての冷静な視点が同居していた。


「北川さんとも相談して、これからの動きをしっかり決めておくといいわ。あなたの安全も含めてね」


「はい、色々ありがとうございました!」


僕は深々と頭を下げて愛理にもお礼を述べた。


 沖ホールディングスを後にしてからは大学へと赴き、理事長以下役員らに今回の大会の結果を報告した。

理事長以下、役員らは快挙達成の驚きと共に称賛の声が聴かれた。

また、大学を訪れた際には、多くの学生(女性)らから、黄色い声と共に写真撮影をお願いされ僕は全てそれに応じた。


 16時過ぎには、陸上長距離・駅伝部にて、クリスと共に部員らの指導をした。練習前に部員ら全員から今回の世界記録更新のお祝いの言葉を受けた。


「天馬コーチ、世界記録更新おめでとうございます! 今後とも私たちの指導もよろしくお願いします!」


代表して、キャプテンに就任した1年生(4月より2年生)の「鳴野なるの らん」が、僕に頭を下げ、お祝いの言葉を述べる。

身長は165cm程で肩まである黒髪を一纏めにしており、パッチリとした大き目の瞳がとてもキュートな眉目秀麗びもくしゅうれいな美少女だ。


「ありがとう! 今後もよろしくね」


僕は戸惑いつつも受け入れる。

僕的には平凡タイムであったので、世界記録更新の実感が未だ湧いてない状況である。


 僕が世界記録を更新したことで、部員らは俄然やる気を見せ、今日の練習は気合が入り過ぎてしまい、ジョグのスピードが上がってしまっていた。

3月いっぱいまでは、疲労抜きのジョグなので、とにかくゆっくりとジョグすることを指導したのである。


◆◆◆◆◆


3月27日㈫


 翌日も世界記録更新の興奮は冷めることはなく、更に大騒ぎとなる。そしてメディアは僕の妻たちにも注目し始めた。


「長距離走の男神おがみの妻は誰?」

「妻は5人?」

「何と!あのアテナと謳われた史上最強の美少女、佐山朱里!」

「沖グループのご令嬢姉妹も!」

「沖グループの役員も!」

「世界の恋人、至高俳優の娘さんも!」


自宅マンション隣りに引っ越してきた、美月宅にて僕は戸惑う。因みに今日明日は美月宅で過ごすことに。


「ここまで……過熱するとは! 美月……ほんとに申し訳ない!」


美月は口角を上げて応える。


「マスコミの過熱ぶりは異常だけど、心配いらないわ! 私たちへの突撃取材も男性保護法でしっかりと禁止されてるからね」


そう言い放った後に美月は下卑た笑みをし、僕に詰め寄る。


「朝ごはんも済ませたことだし……スルよっ!」


僕は朝っぱらから美月に襲われた。


~~~~~


 出勤する美月に弁当を持たせて見送った後に、僕は妻たちにまで及んでしまった過熱する報道と、今後の対応について、スマホにて北川さんに相談した。


スマホを耳に当てると、数コールの後に北川さんが応答した。


「おはようございます。お忙しいところすみません。今、大丈夫ですか?」


『ええ、大丈夫ですよ。何かありましたか?』


北川さんの電話越しの声は、いつもの様に落ち着いていた。僕は軽く息を吐いてから報道の件について相談する。


「実は……報道の件でのご相談なのですが……僕のことだけならともかく、妻たちにまで取材が及んでいるみたいで……今後の対応はどうしたらよろしいでしょうか?」


北川さんは一拍置いてから、ゆっくりと冷静な声音で応えた。


『以前も申し上げましたが、報道関係者による突撃取材や張り込みは、男性保護法で禁止されているので、特に心配する必要はございませんし、既に対策を考えております』


北川さんは少し声を低くし、続けた。


『まず、天馬さんの護衛の人数を必要に応じて増員致します。通常の警護に加え、報道関係者や群衆への適切な対応ができるように配置する予定です。また、旦那様方にも過熱する報道が冷めるまでの間ですが、護衛を付ける予定でおります』


至れり尽くせりな対応に僕は驚く。


「そこまでしてもらえるんですか……?」


『当然です!天馬さんは“稀人”です! 我が国にはなくてはならない存在ですからね』


北川さんは冗談めかした口調で言ったが、それが完全に笑い話ではないことは僕にも分かっていた。


 国が僕に、ここまでしてくれるのは、この世界での“種付け”を期待しているからに他ならない。

要請があれば、僕は国の求めに応じるつもりだ。


 その後の北川さんの電話越しでの説明によると、妻への取材は事前にアポイントを取り了承を得る必要があり、突撃取材は「男性保護法」により禁止されているとの事。

ルールを守らなかった場合、記者やレポーターとその媒体(出版社、テレビ局、新聞社)に至るまで、それなりの重い罰則が科されるとのことであるそうだ。


それでも、ルールを守らないメディアもいる可能性を考慮し、妻たちには、ほとぼりが冷めるまでの間、護衛を付けることを提案してくれた。


 妻達にも護衛を付けるとなると、その費用は馬鹿にならない。

僕が得た収入より出すと具申したのだが、北川さんより稀人である僕は特別な存在ということで、男性保護庁が全額負担することに。


 後日、それを耳にした葉月さんがゴリ押しで男性保護庁に掛け合い、葉月さんのポケットマネーで護衛費用を賄うことを決めたのだ。とても頼りになる葉月さんには後日しっかりとお礼をした。


僕が安心するのを見計らってか、北川さんは話を続ける。


『それと、今後の動きについてですが……』


「何かあるんですか?」


『ええ。いっそ、正式に取材を受けてみてはいかがでしょうか?』


「取材ですか……?」


『そうです。下手に取材拒否をし続けるよりも、ある程度こちらから情報を開示した方が過熱する報道を落ち着かせられる可能性があります。ただ、その際は沖ホールディングスの広報とも連携して、事前に質問内容をある程度制御する必要がありますが』


確かに、一方的に報道され続けるよりも、コントロールできる場を作るのは賢いやり方かもしれない。


僕は少し考えた後、小さく息をついた。


「……分かりました。全てお任せ致します。よろしくお願いします」


『ありがとうございます。では、日程については後ほど正式に連絡しますね』


「はい、よろしくお願いします」


通話を終えた後、僕はスマホをテーブルに置き、ゆっくりと伸びをした。


~~~~~

 

 更に翌日の28日㈬、メディアはますます過熱し、僕の世界記録更新について様々な意見が飛び交っていた。その中で、ある人気情報番組の女性コメンテーターが辛辣な意見を口にした。


「甲斐田選手の世界記録、確かに素晴らしいものですけど、ミナーヴァの最新シューズの性能による恩恵が大きすぎるんじゃないでしょうか? あれはアスリートの力を超えた“道具の力”ですよね?」


別のコメンテーターも同調する。


「確かに……あの走りは常識を超えてます。シューズの性能を調査すべきです!」


 テレビのワイドショーでは、僕の世界記録についての議論が白熱していた。中でも、ある40代女性コメンテーターの発言が波紋を広げていた。


「そもそも、気力も体力も劣る男性が、世界記録を更新したのが信じられませんし、ありえません!もしかすると、この厚底のシューズにバネみたいなものが入っていて、彼の記録をアシストしているのではないでしょうか?」

 

 この発言は瞬く間にネット上でも拡散し、賛否両論を巻き起こした。僕自身はそれほど気にしていなかったが、ミナーヴァ社が即座にネット配信に依る臨時記者会見を開き、ミナーヴァ社の開発責任者・木村さんは冷静に、しかし毅然とした態度で反論した。


「我が社が開発した試作モデル『エアロスパークα(アルファ)』は、カーボンプレートを内蔵しております。しかし、これはWA(世界陸上連盟)の基準に完全に準拠しており、違反は一切ありません! カーボンプレートは反発力を利用して効率的に推進力を生み出しますが、それはあくまで選手の走りを最大限に引き出すためのサポートに過ぎません。記録の向上には選手自身の実力が不可欠です! シューズが魔法のように記録を生み出すわけではなく、使いこなせるのは技術と体力を兼ね備えたトップアスリートのみです。実際、今回の試作モデルは陸連の増子さんや、元選手で現在はレポーターとして活躍する数名にも提供しております。皆さん、それぞれの評価を公開しておりますので、ご覧いただければ誤解は解けるはずです」


さらに、陸連の増子さんもメディアの取材に応じた。


「私自身もミナーヴァの試作シューズを履いて走りましたが、あのシューズの性能を引き出せるのは、体の中心部分の筋力……腹筋と背筋……体幹部とでもいった方がいいかしら? それと股関節周りの腸腰筋でしょうか? その体幹部の筋力がしっかりと鍛えられてないと、このシューズは使いこなせないでしょう! 甲斐田選手の記録は、彼自身の圧倒的な努力と才能の賜物です」


試作シューズの提供を受けた元マラソン選手のレポーターもネット配信をした。


「ミナーヴァの試作シューズは、地面に弾かれるような強い反発力から推進力を生みだし、スピードがどんどん上がります! しかし……しっかりとしたフォームを保たなければ、前につんのめってしまう! 反発力を推進力に変換するためには、それを受け止める筋力が必要不可欠でしょうし、適正なフォームを維持し続けるための筋力も必要です! それらの筋力がなければ、このシューズは使いこなせないし、タイムも期待出来ない! 色々な部分の筋力がなければなりませんが、このシューズは……今後の陸上長距離界に革命を起こすシューズですね!」


他のレポーターもネット配信し、同じようなコメントをしたことで、シューズへの疑惑は一気に沈静化した。一方で、僕の記録に対する驚きと称賛はますます高まるばかりだった。


僕自身もその反響に戸惑っていた。美月宅でニュースを見ながら、コーヒーを片手に複雑な表情を浮かべる。


「想像以上の反応だな……」


美月がスマホをスクロールしながら相槌を打つ。


「思った以上に話題になってるわね。でも、これだけ注目されると、しばらくは落ち着けそうにないかもね」


朝食を終えた直後、美月が楽しそうに微笑む。


「ねえ、天馬。ここまで注目されるなんて、やっぱりあなたはすごいわね。でも、メディアがどれだけ騒ごうと、私たちはずっとあなたの味方よ」


その言葉に、僕は少しだけ救われた気がした。


僕は静かに美月の手を取った。


「ありがとう。みんなの支えがあるから、僕は走れる!」


こうして、僕の次の挑戦が始まった。


土日は所用のため、更新をお休みさせてください。


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