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あべこべ世界でのランナー ~マラソン日本記録保持者が女性過多で貞操観念も逆転した世界線に転移し無双する~  作者: アサノ霞
第2章 コーチ就任 編

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第11話 決意とコーチ就任

2月20日㈫


 第三夫人となったクリスは甲斐田姓に改姓した。クリスとも一緒に住みたかったのだが、法律上認められないので、クリスは実家に居住し僕が通うことになった。

真人さんが敷地内に僕たちの新居(一戸建て)を現在建設中である。


 クリスは『東相とうそう大学スポーツ科学部』の研究員と陸上部(長距離と駅伝)の監督を兼務する多忙な身である。

従って、「結婚休暇」は未だ取っていない。


 これは僕とクリスの二人で話し合いをして決めたのだが、僕がコーチとなり、クリスと二人三脚で陸上部の選手を育てなければならない責任がある。依ってクリスとの子供は、もう少し後にすることにしたのである。

だが、クリスからの提案で、避妊して営みは継続と……相成った。

意外にも……クリスは、かなりの()()()()()()()なのである。


 クリスを第三夫人に迎えてから5日後、クリスより連絡が入り、役員会で僕が東相大学陸上部のコーチと、ラグビー部のフィジカルトレーナーとして正式に採用される事が決定されたとの報せが入る。

陸上部のコーチだけでなく、何故ラグビー部も? と、疑問に思ったのだが、ラグビーもフィジカルの強さがとても大切なので、僕のトレーニング理論を実践したいとの理事長からのたっての願いだそうだ。


 因みに理事長は、元ラグビーのプロ選手で日本代表にも選ばれたことがあるそうだ。

現在はラグビー部の顧問も務めている熱烈なラグビー狂であるとのこと。


 大学側から仮契約書が送られて来たので、僕は北川さんと共に確認と不備の修正作業をする。

事前に北川さんが色々と契約内容について、理事長と話し合いをしてくれていたのではあるが、修正には数日かかる見込みだ。



◆◆◆◆


 契約書の補備修正をしながら、僕はふとヨッシーのアドバイスが頭に過った。


「こちらで生きていくのなら、何でもいい! 自分のやりたいものを見つけなさい」


 僕にはヨッシーがかけてくれたこの言葉が胸に突き刺さる。コーチとしての契約内容はかなりの好待遇だし、この世界で選手を育てるのもいいかもしれない。コーチ業はとても遣り甲斐があるし特に不満はない。


 だが……僕には元の世界で目指すものがあった! 


 それは……『オリンピックで金メダルを獲る!』ということだ!


 その一点の目標のために、僕は今まで血の滲む様な努力を積み重ねてきたのではないか!当時のチームのメンバーたちは、僕を親身になってサポートしてくれた。

たとえ違う世界線とはいえ、僕は目指すべき目標に向かって突き進むべきである。そうしないと……元の世界線で僕に夢を託し、サポートしくれたチームの者たちに胸を張れない。


 元の世界線での夢を実現しなければならないのだ!


 そう! 僕は『オリンピックで金メダルを獲得』する決心をした。


◆◆◆◆


—— 翌日 ——


 オリンピック出場を目指すにあたり、今一度この世界で男性選手のオリンピック出場記録を詳しく調べた。

種目は様々だが、毎回10人程度の出場はある。しかしながら、陸上競技に至っては1992年が最後でそれ以降の出場記録はなかった。

マラソンに限っては、1964年の東京大会を最後に、それ以降の出場記録はなかった。

因みにそのときのタイムは5時間30分で男子の世界記録である。


 こうして調べてみると、男性のオリンピック出場の記録があるので、僕がオリンピックに出場することに特に問題はないのではないかな?

但し、男性が少なく貞操観念も逆転した世界線なので、僕が出場するにあたって、何かしらの支障が起きないとも限らない。その辺りを北川さんに相談してみる事にしよう。


 何よりも、妻たちには、僕の目標を話しておきたい。


 僕は三人の妻と北川さんを自宅に呼び、真剣な眼差しで僕の“目標”を皆に話すことにした。


「今日は集まってくれてありがとう。早速で申し訳ないのだが、僕の“夢”を皆に聞いて欲しい。北川さんには、そのことについて色々お聞きしたいです」


 妻たちは何事かと不思議そうな顔をしてるが、北川さんは無表情である。そして僕は皆に気持ちを伝える。


「僕は……マラソンでオリンピックに出場したい! そして……金メダルを獲得したい!」


妻らは、驚愕の表情をして暫くフリーズしていたが、北川さんのみはニヤリとした表情をしていた。

妻らが再起動した頃合いを見図り、僕は更に話しを続けた。


「大学のコーチをしつつ、マラソン選手としても活動し、オリンピックの金メダルを目指したい! ヨッシー……真人お義父さんは、俳優として大成した! お義父さんが出来たんだし、僕も出来ないことはないと思う! 挑戦したい!サポートをお願いします!」


僕は深々と頭を下げて、皆にお願いする。すると、奈月が代表して僕に優しい口調で語りかける。


「天馬……! 頭を上げてくれないか? 私たちは夫婦なのだから、夫の願いを叶えるのは、妻である私たちの務めだ! 天馬……金メダルを目指して!」


「ありがとう! ほんとにありがとう!」


 たが、僕は“稀人”だ。この国でオリンピックの出場は可能なのかと、北川さんに目を向ける。


「それで……北川さん、僕のオリンピック出場は可能なのでしょうか?」


北川さんが笑顔で僕たちに応える。


「条件付きではありますが、男性のオリンピック出場は可能です。只し、いくつかクリアしなければならない事項がございます。先ずは出場指定タイム……ですが、甲斐田さんは問題なさそうですね。次に、開催国の治安の問題があります。男性ですので開催中の安全の確保です。護衛は同伴致しますが、開催国によっては警備上の不備があったりもしますし、護衛の拳銃所持を認めない国もございます。その場合、我が国としましては、出場を認めることは出来ません」


 最後の護衛の拳銃所持って!……えっ!、今まで気にしてなかったが、僕の護衛って、拳銃を携行してたの?

これには驚愕したが、開催国の治安が悪く、警備上の不備があれば、出場を認められないのは理解できる。

女性過多な世界線なので、男性の誘拐や拉致、性的暴行などから僕を守るための措置が取れないのなら出場不可も致し方なしである。


 稀人たる僕は、身長が高くとても目立つ存在だ。周りの女性が隙あらば僕を狙ってるのは気付いてる。いつも気兼ねなく自由に外出できるのは、北川さんの柔軟な対応と、護衛がしっかりと僕をガードしてくれてるからこそである。


 これが他国となると、日本の常識が通用しなかったりする。日本は治安が良いが、これが他国となると、そうはいかないのは明白である。

無理にお願いは出来ないし、僕の我儘わがままで皆に迷惑をかけるわけにはいかない。


 僕が少し残念そうな表情をすると、北川さんは笑みを浮かべて僕たちに話しを続ける。


「そんな顔をなさらないで下さい。次のオリンピックは東京なので大丈夫ですよ。選考会を兼ねた世界大会も我が国で開催しますので大丈夫です。ですので、甲斐田さんがオリンピックを目指すのに何ら支障はございません」


僕は喜びの余り、向かい側に座る北川さんに抱き着いてしまった。


「ありがとうございます!!」


北川さんは暫くフリーズしてしまった。再起動した後にとろけた表情でポツリと呟く。


「だんせいから……ハグ……幸せ~~」


 確定した訳ではないが、オリンピックへの出場の道筋が得られたことで、光が差し込んだみたいだ。

決意とともに僕の目標も定まり、元の世界線で成しえなかったオリンピックの金メダリストを目指す意欲が漲るのであった。


◆◆◆◆


 後は大学コーチの契約書の修正案を早々に提出して、これで終わりとなる筈なのだが、北川さんより今後問題が生じる可能性を指摘された。


「甲斐田さん、契約内容に不備はないのですが、今後起こりうるであろう問題点をいくつか指摘してもよろしいでしょうか」


僕は驚きつつも頷く。


「では…いくつか指摘させていただきます。まずは、かつては名門の陸上部ですが、現在は弱小です。そんな弱小部に多くの予算は割けません。従ってOBの寄付金やスポンサーの収入をあてにすることになります。男性コーチなので、そういった収入は集まるでしょう。しかし、ここで問題が生じます!」 


北川さんは目を吊り上げて、僕に顔を近づける。


「あくまでも可能性ですが、OBやスポンサーは甲斐田さんとの繋がりを求めてくるでしょう。例えば……ウチには良い子がいるので会ってくれ、とか、何かしらのパーティーへの出席とか、お金を出して頂いてるので、誘いがあれば断りづらくなるでしょう。要するに“接待漬け”の毎日を送ることになり、コーチ業はおろか、選手として活動するのも困難な状況となるでしょう」


 僕と妻たちは驚いた。確かに、大学からは弱小チームに多くの予算を割いてはくれないだろう。遠征費や合宿費を捻出するためには、やはりスポンサーを募るしか手段はない。

そして、お金を出してくれたスポンサーには頭が上がらず、何かしらの誘いを断ることは出来ないであろう。そうなると、僕は接待漬けとなり、コーチ業はおろか、自身の練習も疎か(おろそ)になってしまう。

正直そんなことは考えもしなかったが、北川さんはそれを指摘してきたのだ。


僕と妻らが残念そうにうつむいたり、天を仰いたりしたのだが、北川さんはニヤリとした表情で“()()()()”をしてきた。


「そこでです! 奈月さんのお母様は『沖ホールディングス(株)』の社長ですよね。美月さんは未だ独身でしたよね! そして、朱里さんのお母様も独身ですよね!」


奈月と朱里が“はっ!”とした表情をして何か気付いた様である。僕は何のことやら想像もつかないが……。


そこで奈月と朱里がシンクロして言い放つ。


「「連婚つれこん!!」」


クリスまでもが笑顔になる。北川さんは話しを続ける。


「ご明察! 美月みつきさん愛理あいりさんと連婚つれこんするのです。種付けでも構いません。そうすれば全て解決致します」


妻たちは驚喜するのだが、連婚つれこんが全てを解決? 僕にはイマイチ理解が出来なかった。僕はその疑問を北川さんに投げかけた。


「連婚が全てを解決? とは、どういう意味なのでしょうか?」


あ~そうか、と言わんばかりに北川さんが詳しく説明してくれた。


 この世界線では男性をめぐるトラブルが頻発している。男性は既婚者であっても、独身女性は何かと繋がりを持とうと色々画策してくるものであり、ワンちゃんを狙ってくる者も多いという。立場を利用したりしては、何かとお誘いをしてくる等……。

特に著名人には殊更そういう問題に直面しているのである。

 

著名人は、それらを回避する手段として、大企業の庇護ひごを受ける。という手段を取るそうだ。

 

 今回の僕のケースに於いては、大学側からの部費は期待出来ないので、僕とクリスがスポンサーを募ることとなる。

男性の僕がコーチということもあり、スポンサーは集まるであろう。但し、そのスポンサーからは立場を利用して何かと色々な“()()()”をして来る。僕は()()()無碍むげに断りづらくなり接待漬けの日々となる。そうなると、最早コーチ業はおろか、選手としての活動も疎かになってしまう。


 それらを回避するための措置として、奈月の実家である『沖グループ』の庇護ひごを受ける措置をとるとのことである。


奈月の姉の美月さんと、朱里の母親の愛理さんと連婚することで、『沖ホールディングス(株)』の社員として在籍し、大学コーチは出向扱いとする措置を取るのである。


 北川さん曰く、大企業の役員令嬢若しくは管理職以上の者と婚姻した男性は、身内となる“夫”を同じ会社に雇用し、そこで庇護ひごしてもらうのが常識となっているとのことである。

美月さんは『沖ホールディングス(株)』の管理職(課長)であるし、愛理さんに至っては、常務取締役である。特に問題はないそうだ。


 著名人などにはこういった大企業の庇護を受けるのが常であるそうだ。

僕が著名人?!と、驚くが、北川さん曰く、近い内にそうなるのは明白なので、早めに手を打っておいた方が良いとのこと。


今後は沖ホールディングス(株)が後ろ盾となってくれることで、他にスポンサーを名乗り出る企業やOBがいたとしても、そういった立場を利用した行為を阻止する措置が取れるというものである。


僕的には……こんな縁故採用って、どうなの? と思うが、こちらの世界線ではそれは常識であるとのことらしい。


 だけど、僕の目標を達成するために二人と婚姻するのは、何だか申し訳ない気持ちになる。

北川さんは、二人ともそんなのは気にしてないし、むしろとても喜んでました。と言う。


 それと……とても重要なことなのだが、『沖ホールディングス(株)』が、身内となる僕と出向先の大学陸上部に、スポンサー契約を結んでくれることも確約済みであるとのことである。


 ん??? 北川さんの話しを聞くと、美月さんと愛理さんとの連婚といい、スポンサー契約の確約といい、まるで“既に話は付いてる”状態ではないか。

そういえば……以前、僕がコーチの打診を受け相談した際、電話越しではあったが、北川さんが何か小言で言ってたな!


 北川さん的には、僕を守るための措置として色々考え、そのように誘導……いやっ!僕の進むべき道を導いてくれたのかもしれない。

北川さんの掌の上で踊らされた感は否めないのではあるが、北川さんには感謝しかないな、僕はその流れに身を任せることにした。


美月さんは、とても可愛らしく素敵な女性だ、愛理さんは……とても妖艶で嵌りそうだ。


僕は北川さんに“しっかり”とお礼を言ってからハグし、その提案を受け入れた。


美月さん愛理さんを“愛して幸せ”にしようと思う。


—— 数日後 ——


2月23日㈮

 

 僕は美月さんと愛理さんと、立ち合いとして妻たちと北川さんと護衛らを連れて、婚姻届けを提出すべく市役所を訪れた。


又々担当者は『野本』さんである。

まるで能面の表情で淡々と僕に質問し手続きを進める。


「美月さんは、奈月さんの姉で連婚と……、愛理さんは朱里さんの母親で……寡婦……ですから…連婚に問題なし。再婚!!……(羨ましい)ですね。このお二人との婚姻で間違いないですね?」


野本さんの能面の様な無表情に躊躇ためらってしまうが、ここは前回と同じく、僕は決意を込めると同時に優しい口調でその質問に答えた。


「はい。僕は美月と愛理を必ず幸せにすると誓います」


「えっ!?………」


野本さん他皆が数十秒程フリーズした。


 再起動した野本さんが涙を流しながら手続きを終わらせた。そして、『婚姻届け受理証明書』を受領し、晴れて美月と愛理は僕の妻となったのである。

美月を第4夫人、愛理を第5夫人として登録した。


皆から祝福の言葉をかけられ、美月と愛理は涙を流しながら喜んだ。朱里は愛理に抱きつき喜びを分かち合った。


「おっ、お母さん……いや、愛理さん、これからも宜しくね。おめでとう」


「朱里、今後もよろしくね」


美月さんも奈月に抱き着いて喜びを分かち合っていた。そして僕は美月と愛理を抱きしめた。


「美月、愛理! 愛してる! 必ず幸せにする」


すると二人はフリーズして失神してしまったのである。


 この世界線へ転移して早2カ月余りが経過した。妻が5人となったが、僕はこの世界で生きていく覚悟を決めた以上、伴侶となってくれた妻たちを幸せにすると決意を新たにしたのである。


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