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赤木の森の下影に  作者: 一人雅伸
舟人渡る川の畔
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 <福祉教育(縄綯(なわな)い)>

<福祉教育(縄綯なわない)>


 農村地帯だから、老人と子供の触れ合いは、先ず『縄綯なわないであろう』と、自分の生活体験から判断してしまったのがいけなかったのです。

 私の子供の頃は、農家の人は皆縄綯いが上手くて、何につけても、わら縄を編んで仕事をしていました。そこで、老人の人に、縄綯いの仕方を子供たちに教えてくれないか、と頼みました。気持ちよく請けてくれましたが、そのあと、苦労話をされて、時代を感じました。

 昔は、農家は稲を束ねたり、物を縛ったりするのを全部藁や縄で処理していましたが、現在は、ビニールとか便利なものが使われていて、わら縄等あまり使わなくなって来たのです。わら縄も縄綯い機の縄を使うので、手編みをする人がほとんど居なくなって来たと、いうことです。


 それから、今稲刈り機が発達して、稲刈り、脱穀機、籾の袋詰めまで、稲刈り機でやってしまうコンバイン機までが開発されて、藁が細かく切断され、稲刈りをする傍から田んぼへ棄てられてしまうので、昔のように縄を綯ったり、わらじを編んだりする藁を探すのに苦労するというのが現実です。その上に、縄の綯える老人を探すのに苦労したというのです。

 時代劇などで『農家が夜なべ仕事として、棍棒のような物で稲藁いねわらの束を叩いている作業』を見た事がある人もいるかと思います。あれは、藁を柔らかくして縄をうための作業なのです。とはいえ「藁製のロープ」など、今では「お正月のしめ飾り」とか、特殊な商品(民芸用の草鞋、お祝い用の米俵やお酒の一斗樽等)しか使わない、という現代ではやむを得ない事なのかもしれません。


 それでも4・5人の老人を連れて来てくれました。そして、何とか縄綯い教室が始まったのです。

 藁を5・6本二つに分けて、分かれた藁を両手で拝むようにじるのですが、これがなかなか上手くいかないのです。結局、老人が総出で、個人指導です。小一時間もして、両手の捩り方が出来たぐらいです。


 だんだんと縄らしい物が出来てくると、競争しようと言うことになって、全員並んで編み始めました。お尻から編んだ縄が後ろへ伸びていきます。この長さと出来具合で、勝負が決まります。


 子供は特に、勝負とか競走が大好きです。夢中になって綯っています。老人達も夢中で応援や世話をしています。大成功でした。      


 最近、独居老人が増えてきたといいますが、それぞれの立場で、皆が仲良く、暮らす方法を考え出していく努力が必要ではないでしょうか。ややともすると、他人任せの風潮が強いですが、このような身近な所に解決策は転がっているような気がします。


 老人と子どもの触れ合いの場面を捜すのに、一苦労しました。現在は、長寿会などが生まれて、旅行や、輪投げゲームとか、カラオケやゲートボール・グランドゴルフなど、老人の娯楽やスポーツが、いろいろ出来て、老人の生活も、楽しく豊かになってきましたが、まだまだ、多くの人々の細やかな気配りや愛情が必要でしょう。


 今回、縄綯いというテーマには反省の余地がありますが、学校、地域、行政が協力して子供達と老人達の交流の場やテーマを考え、明るい社会作りと子供達の健全育成に役立てて欲しいと思います。

 



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