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赤木の森の下影に  作者: 一人雅伸
吾が学び舎と共に
46/74

 <梨作り>

 <なし作り>


 その頃、土地の特産物の生産を、学校教育に取り入れる体験学習が、叫ばれてきました。

地域それぞれで、

「稲作や、じゃがいも、さつまいも作り、兎の飼育」

等、地域に合った、体験学習が各学校で実践されてきました。


 五口小学校でも、梨の産地だから、梨作りを学校教育の中に取り入れたらどうか、と言う声がかかりました。気の早い人は、使い古した梨畑を借りて、梨作りの体験学習を取り入れよう言う考えも出てきました。

 ある梨作りの農家が、そのことで先生と独自に話し合ってみたいと言うので、私もお邪魔をしました。2時間ばかり話し合いました。その概要は次の通りです。


『梨作りを学校で教育に取り入れることは、大変結構で、我々なし作り農家としても、後継者育成の上にも、まことにありがたいことです。ご存知のように後継者を心配しているのも事実です。

 しかし、「生りなりもの」と、一口に言いますが、傍で見るほど易しい物ではないのです。売れる梨を作るには、数々の知識と手間がかかります。そして、子どもの頃から、それを身に付けさせたいのです。

 ですから、学校教育の中に取り入れるとすれば、只、興味本位に子どもに覚えさせられては、後で正しい梨作りを身につけさせるのに、大変な苦労がかかります。もし、学校教育に取り入れるとすれば、「花粉のこう配とか、芽摘み」等のときだけでも、専門家の指導を受けさせたい。

 我々農家も協力したいのだが、手が回らない状態です。無理に継いでも、生活がかかっていますから、トマトや、みかんのようなわけにはいきません。

 実は、私も学校でなし作りをやるのは大賛成なのですが、とくに梨作りは、手間がかかって暇がないのです。私もそうですが、五口の梨作りの人は皆そうですが、お手伝いできればよいのですが、それができない状態なのです。

 参考に、現在やっている五口梨の作り方を概略申し上げますと、今の目標は、「美味しくて大きな梨」を作ることです。赤ん坊の頭位が目標です。

 その基本は、

冬「せんて」をします。「せんて」によって、梨の大きさが変わってきます。

春先、「花芽を摘みます。」花が咲いたら、「花粉の勾配」を行います。それから「芽積み」を行います。

大きくなったら紙の袋を被せます。

 この過程と技術を是非、子どもに教えたい。これをしっかり理解をしないと、本当の梨作りがわからないままに、只、面白半分に、やったのでは、梨作りの意味がないと思いますよ。

 茄子やトマトなら、手間がかからないから、そちらの方が、気が楽かも知れませんね。』

と、丁寧に教えてくれました。


 秋になると、梨作りの苦労の味を噛みしめながら、五口梨を味わっています。教育も只、流行に押されて出来るものと、出来ないものもあることを学びました。




(お断り)

 本文中の表現に「トマト・みかん・茄子の栽培は簡単で子供でも出来る」という印象を与えるかもしれない言い回しがありますが、梨作り農家が後継者に「梨作りの工夫と苦労」を伝えたいがため、一般的な子供の教育に相応しいかどうかの選択として考えて頂きたい、という意見であり、決して他の作物栽培の難しさや工夫を否定するものではありません。

 個人的に家庭菜園で、茄子・トマト・ネギ・ジャガイモ・柿・梨・カキ菜・ほうれん草、等の栽培をしております。どの作物もそれなりに苦労と工夫が必要なのだと実感しております。まして、商品として出荷する物にするには、大変な苦労と思い入れが必要なのだろうと考える次第です。


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