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赤木の森の下影に  作者: 一人雅伸
吾が学び舎と共に
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 <育成会八幡様のキャンプ>

<育成会八幡様のキャンプ>

 

 五口小学校に赴任すると、校務分掌の一つに育成会の係を任命されました。

 私自身が赴任したばかりで、地域や学校の取り組み等も、まだ十分には把握しきれていない頃です。上田町育成会会長の川田さんが、学校の庭先を借りて飯盒炊飯をやりたい、と相談に来ました。

 学校に話すと、体育係の先生から反対の意見が上がります。校庭を常に整備しているのに、校庭の真ん中でキャンプファイヤーをして灰だらけにされ、あちこちに飯盒炊飯のための『穴』を掘られては堪らない、ということです。係としては当然の理由で、ごもっともな事だと思います。

 しかし、川田さんも熱が入ってしまい、どうしてもやりたいと主張します。日光などのキャンプ場ではお金も掛かりすぎるし、大袈裟になってしまいます。


もっと身近で手軽に出来ないだろうか、という事です。


 そこで、私は上田地区を巡視しました。上田町の八幡様の境内はどうだろう、と提案しました。『火を使わないなら貸しても良い』と言われ、消防団の協力を仰ぐと言うことで神社側の承諾を得る事が出来ました。

 残るは、テントと炊飯器具です。市子連の事務局に連絡を取るようにアドバイスしたところ、丁度キャンプ用品が揃った所だというので、なんとか借りる事が出来ました。

 ここまでこぎ付けられたのも、上田町の川田さんや育成会の皆様の、東奔西走があったからですが、その熱意と努力には敬服させられます。


 ついに、上田地区育成会の初めてのキャンプが開催されることになりました。杉の大木に囲まれた八幡様の森に、炊飯の白い煙が何本も立ち上がります。子供と一緒にジャガイモの皮を剥く人、お皿やスプーンを用意し、配る人、氷を入れた冷たい水を紙コップで配る人、大人と子供が一体となって準備をし、全体にカレーの香りが漂います。


どの子供も一生懸命に働きます。

子供は、こういう行事が大好きなのです。

大人たちの笑顔も絶えません。

やがて夕闇の迫る頃、キャンプファイヤーが始まりました。

子供の歌声や寸劇、大人たちの用意した紙芝居や人形劇、その度に、大きな歓声や拍手が沸き起こり、森のこずえに響き渡ります。


 私には、このキャンプファイヤーの燃え上がる火の明かりに照らされた八幡様の森が、作られた用意されているキャンプ場とは比較にならないくらい、森閑とした荘厳な空間に思えたのです。心の中で『これが本当の、子ども会のキャンプだ』と叫んでいました。


 初めてテントで寝る子供達は、しばらくはモゴモゴと動き、ザワザワと小さな話し声を立てていましたが、やがて、いつもの静寂な八幡様の森に戻りました。八幡様も、天岩戸以来の騒々しさに、さぞや戸惑ったのではないかと思います。


 清清しく爽やかな朝の境内を、子供達と全員で、せっせと掃除をして、後片付けをして解散です。無事に、子ども会育成会のキャンプは終了しました。


 その頃、子ども会といえば、バス旅行に行くとか、大きなキャンプ場に行くとか、経費や手間隙のかかる活動が多かったように感じます。この「初めてにして手作り感満載」の八幡様のキャンプは、今後の子ども会活動の参考になるのではないかと思ったものです。



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