ファンタジーって言ったら触手だよね
すみません、バイトの入社証を書くのに手間取ってしまい、一日遅れてしまいました。
決して手元にエロゲーが手に入ったから夢中になってしまった訳じゃありませんからね!?
どうも、久々に太陽を見たらバルスされた六道です。
そりゃあ十年間も薄暗い森の中にいたら、目が光に弱くなるのは当たり前ですよね。
それでも普通ならば失明してもおかしくないのに少したてば目が光に慣れるのだから、つくづくこの体は廃スペックになってしまったということに気づかされてしまう。
「それで、これからどうすんの?」
「我々は王都に帰らねばならないのでな。まずは近くにある村に馬車が置いてあるから、そこを目指すが……大丈夫か?」
「大丈夫だ、もう慣れた。……その村まではどれぐらいだ?」
「歩いて半刻くらいだ。……あの村だな」
そう言ってクルスが指差した先を見ると、見張り台が立っているのが見えた。
おそらく、この森から来る獣を警戒しての物だろう。
「んじゃ十分休めたし、行こうか」
そうして、俺たちは立ち上がり、村へ向けて歩き出した。
村の入り口辺りについた俺らを代表してクルスが見張りの人に話しかけると、見張りをしていた人が急に駆け出し、しばらくして六十代ぐらいのオッサンをつれてきた。
「いやはや、お疲れ様です冒険者どの。日が暮れても帰ってこなかったときは、我々一同大いに心配したものです」
服装は他の村民と代わり映えしないが、何やら変な棒を持っているので、他の人とは何か違うんだろう。おそらく、村長といったところか。
そこまで考え、そのオッサンの俺を見定めようとする視線が、一瞬だが見られたのに気がついた。
しかし、すぐにクルスへと視線を直したので、それほど気にすることではないと判断した。
そして俺たちは、オッサンに案内される形で村へと入った。どうやらオッサンの家に案内してくれるようだ。
道中、周りの村人が見せる、先ほどのオッサンのような視線を無視しながら歩いていると、オッサンがゴマをするような態度で口を開いた。
「それで、魔物の方はどうでしたでしょうか?」
「ああ、無事に討伐は完了した。あとは王都のキルドへ報告するだけだ」
「さようでございますか。いやはや、これで安心して暮らせます」
そう言うと、オッサンは大袈裟に胸を撫で下ろした。……いちいち大袈裟でウザったいな、こいつ。
「悪いが、そうはいかない」
「は?」
「今回我々が受けた依頼は、ウェア・ウルフの討伐というものだった。しかし、現地で現れたのはその上位種であるハイウェア・ウルフだった」
「そ、それは……私たちが見たウェア・ウルフはハイウェア・ウルフの部下だったのではないでしょうか?やつらは悪知恵が働きますので……」
「それはあり得ない。何故なら、ハイウェア・ウルフはウェア・ウルフが自分の縄張りにいることが何より気に入らない。そのため、ウェア・ウルフとハイウェア・ウルフが同じ森にいるはずがないのだ」
「う、ぬ……」
どうやら、依頼の内容が不正なものだったのでは?とクルスは言っているようだ。
みるみる顔色が悪くなっていくオッサンを見るに、何かしらの罰則がギルドから下されるのかね?
「……そ、それでは我々は見間違えてしまっていたのやも知れませぬ」
「いや、それも起こるはずがない。ウェア・ウルフとハイウェア・ウルフは毛並みの色が決定的に違う。さらにウェア・ウルフには尻尾が二本あるが、ウェア・ウルフは一本だ。まず、見間違えることはないだろう」
確実に、なおかつ正論を並べてオッサンの逃げ道を塞いで行くクルス。
……なんか逆〇裁判みたいだな。
それにしても、なんだか周りが殺気立って来たな。
「依頼内容の故意な偽装は大罪だ。ギルドの信用にも関わってくる事なのでな、今回の件はしっかりとギルドへ報告をさせてもらう。恐らく、この村からの依頼は二度と受け付けないだろう」
「……くっ、くははははははははははははははっっっ!!」
いきなり狂ったかのように笑いだしたオッサン。それを合図に村の人々が手に鍬や手斧といったものを武器に集まり始めた。
その数はおよそ八十。
村の大きさに対して人数が少ないかと思ったが、村人たちの中に子供がいないので逆に少し多いくらいかと思い直す。
その間にも村人たちは武器を構え直したりしながら、ジリジリと輪を狭めてきていた。
「くっ!?これはどういうつもりだ!?」
「フッフッフッ。ギルドに報告されてしまえば、この村は終わりなのでな。それに……」
オッサンは俺たちを一瞥し、その視線をエリスとルークで止まった。
「魔法を使える女と中性的な男は高く売れる。残りの男も安心せい。殺した後はしっかりと装備を売って、この村の糧となるのだからなぁ」
その言葉に続くように村人たちが笑い始めた。
悪役やってんなぁ(笑)。
たぶんこの村は今まで何回か同じことをやっていたんだな。素人の俺から見てもわかるほどに手慣れている。って言うか、すでに盗賊の域に入ってんじゃねぇのこれ?
「テメェ!!」
俺たちは互いに背中を向け、武器を構えて村人たちを牽制する。
「どうする。さすがにこの数を相手に取るのは難しいと俺は考えるが」
「俺も後衛二人を守る余裕はねぇな……」
「わ、私も無理ですぅ」
今更だが、Bランクがどれぐらいの強さかと言うと、賊が三十人程度だったら五人もいれば撃退、または全滅させることができるらしい。
ならば倒すのは無理でも逃げるのはできるだろと思うだろうが、三人のうち一人は魔法使いのエリスである。
いくらBランクの冒険者とはいえ、たとえただの村人だとしても後衛含めて三人では八十人もの敵と相手取りながら逃げるのは難しいようだ。
「ヒャッハァーー!!」「さあ、殺して解して並べて揃えて晒してあげるわ!!」「オッパイノペラペラソース!!」「ウホッ、いい男」「一度だけチャンスをやろう。俺様の名前を言ってみろ!!」「今日の俺様は紳士的だ……一瞬であの世に送ってやるよぉ!!」
おい、こいつら本当に村人か?明らかに人間辞めてるやつがいるぞ。
しかも、何故だか菊門がキュってなるし……。ここは早めに終わらせた方がいいのか?
そう判断した俺は、つい先日に思い付いた魔法の構築へと集中した。
くっ、まんまと罠に嵌められた!!
こんな状況になっちまったのは王都のギルドに張られていた一つの依頼書が発端だった。
ユーリ・ルカイマズこと俺は、いまでは背中を預けられるほど信頼している相棒のクルスがBランク最後の依頼を探している時に見つけ出した、森から度々村を襲うウェア・ウルフを十頭討伐してくれと言うBランク内で比較的楽なものを承諾して太古の森へと向かった。
ギルドのランクは依頼の連続成功数で変動する。
例えば、初心者であるFランクは三回、Eランクは五回、中級者と呼ばれ始めるDランクならば十回と増えてゆくのだ。
そして、俺たちはBランクから上級者と呼ばれるようになるAランクになるための二十五回目をこの依頼に決めたのだった。
いま思えば、色々とおかしいことがあるし、俺たちもAランクにもっとも近いBランクとして持て囃され、慢心していたのだろう。
その慢心が高々ウェア・ウルフ等と油断を呼び、ろくに調査もしなかった結果がこれだ。
……まったく、笑いが込み上げてくるぜ。
だが、今更後悔しても遅い。
現にいまも村人たちは武器を手に、俺たちへと包囲を狭めてきている。
こうなったら……。
「……クルス、俺が道を開けるからお前はエリスとマコトを守ってやれ」
「何バカなことを言っている!?そんなことをしたらお前は……!!」
「だけど、お前じゃこの人数相手にするのは無理だろ?だったら、なるべく犠牲は少ない方がいいだろ」
「しかし……っ!!」
あーあー、相変わらずの固さだなぁ。長年つるんでるけど、相棒のこういうところが嫌になる。
何て言うか、大局を見極めないって言うの?そんなんだからいつまでたってもエリスにコクれないんだっての。
まったく、相思相愛だって言うのに何でコクれないんだろうねぇ?
「……むっ。なんだそのヘタレを見るような目は」
「べっつに~」
「貴様ら……わしらを無視するとは、なかなか余裕がありそうじゃなぁ」
「「いやまったく」」
つい村長の言葉に返事をしてしまったが、さすがは相棒。しっかりとハモらせてくれるとは。
まあ、そのお陰で奴さんは怒っちまったみたいだけどな。
「バカにするのもいい加減にし……なっ!?なんだこれはぁぁ!!」
声を張り上げようとした村長は、最後まで言葉を紡ぐことができず、透明な液体状の触手に捕らわれ、中に浮いている状態だ。
……って液体状!?
「ま、まさかスライム!?」
スライムはBランクの魔物に指定されていて、物理攻撃を完全に無効化してしまう前衛泣かせな魔物だ。
その分、炎と魔法にめっぽう弱く、魔法使いのいいカモにされているのが現状だ。
そんな魔物であるため、完全に前衛職な俺は天敵と言っていいほどの魔物だ。
しかも、魔法を使うことのできない村人たちがいるこの状況では、たとえ悪と論ぜられる輩だとしても見捨てるわけにはいかない。
「エリス!!魔法であいつを倒せるか!?」
「む、難しいですけど頑張ってみます!!」
エリスの属性系統は水だ。これは一番相性が悪く、下手をするとスライムを強化してしまうが、牽制にはなるだろう。
「マコト!!お前も…………なにやってんだお前?」
唯一の攻撃方法になるだろうマコトの方を見ると、何て言うか……パン作りに困らないぐらいに指をグニグニ動かしていた。
いや本当、まるでサンド・ワームが五匹いるみたいで正直……キモイ。
「ユーリさん、危ない!!」
エリスの悲鳴に近い声が響いたと同時に背後に気配を感じて振り替えると、まるで矢を放つかのようにスライムの触手が射出されていた。
その数は二本。
「くそぉ!!」
ダメージは与えられないが、時間稼ぎならばできるはずっ!!
そう思い剣を構える……が、予想に反して、触手は俺を左右から襲おうとしていた村人二人を捕らえた。
その後、次々と触手で村人を捕らえたスライムは、俺たち四人を護るかのように位置取った。
「な、なにがどうなっているのだ?」
あまりの事にクルスが疑問を口にするが、俺も何が起こっているのかわからない。
そんな時、先ほどから指を変なふうに動かしていたマコトの姿が脳裏を掠めた。
そして、マコトの方を見ると、まるでなにかをやりきったかのような薄い笑みを浮かべていた。
「水遁・線水手操の術。……さあ、縛られたいやつから前に出ろ(ドヤァ」
……その笑みは、とても殴りたくなる笑みだった。
今回の話は急にこしらえたのでその場のテンションで書いてしまいました。夏候燕です。
なんと、作者の通っている専門学校は、先週の月曜日に学校が始まったばかりだと言うのに今週からテストです(ガクガクブルブル
と言うわけで、もしかしなくても(ぉぃ)来週は投稿できないかもしれないので平にご容赦を。
では、いつも通り批判や感想、誤字脱字のご指摘など、心よりお待ちしておりますノシ




