第13話:街道の人狩り
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『食べるほど強くなる小人の俺は、巨人に支配された世界を物理でぶち壊す』
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草の中から街道を見た。
荷馬車は止まったままだった。四人の人間が荷台を囲んでいる。全員が腰に剣を吊っていた。一人は革鎧を着ていた。もう一人が荷台の鍵を確認するように揺すった。鎖の音がした。
リトは草の中に腹ばいになって、四人の配置を読んだ。
北側に二人。荷台の左右に一人ずつ。御者台に一人。南側の街道に一人、見張りとして立っている。見張りは街道の西を向いていた。東は見ていない。
射線が見えた。
まず南の見張り。次に御者台。北の二人は荷台を挟んでいるから、片方を倒せばもう片方の視野が一瞬切れる。順番がある。間違えなければ、四人は繋がっている。
「ミラ、ルカ」とリトは小声で言った。「草の中を東へ二十歩動け。俺が動いたら、荷馬車の反対側へ回れ。荷台から出てくる者がいたら、逃げ場を作れ」
ミラが何か言いかけた。
リトはもう動いていた。
最初の石が南の見張りの手首を打った。
剣が落ちた。見張りが声を上げる前に、二発目が御者台の男の肘を打った。手綱が落ちた。馬が驚いて前足を上げた。その音で北側の二人が荷台から離れた。視線が馬に向いた。
その一瞬に、三発と四発を続けた。
北側の一人が膝を抱えて倒れた。もう一人が剣を抜いて走り出した。逃げようとしていた。
リトは走りながらスリングを回した。
石が男の左膝を打った。男が倒れた。立ち上がろうとした。立てなかった。
四人全員が地面にいた。
リトは止まって、熱の残量を確かめた。
半分以上残っていた。
もう一度確かめた。間違いなかった。想定の半分も使っていない。
第1章で鎧熊を十頭相手にしたとき、三日分の熱を全部使い切った。今は人間を四人制圧して、まだ半分以上ある。
何が変わったのか。
射線を読む前に石を放っていたのが、第1章だった。今は順番を見てから動いた。無駄な一発がなかった。力みもなかった。体が重くなかった。
まだ分からない。なぜ変わったのかは分からない。だが体が確実に違う。
ミラとルカが荷台の反対側から走ってきた。
荷台の鍵は、倒れた御者台の男が持っていた。
リトが鍵を取った。鍵穴に差し込んで回した。錠が外れた。鎖が落ちた。荷台の扉を開けた。
中は暗かった。
しばらく何も動かなかった。
それから、目が見えてきた。小さな目が、複数あった。暗がりの中に、小人が五人いた。子供が二人混じっていた。全員が縄で手を縛られていた。足首にも縄があった。
一人の男が、リトを見た。リトの体を見た。三十センチの体を見た。スリングを持っている手を見た。
「どこの組の者だ」と男が言った。
リトは縄を切り始めながら答えた。「どこの組でもない」
「どこの組でもない者が、なぜ」
「通りかかった」
男が黙った。
リトは五人分の縄を全部切った。子供の一人が泣いていた。声を出さずに泣いていた。
「逃げろ。街道は使うな。草地を西へ」
男が立ち上がった。足がふらついていた。それでも立った。子供の手を引いた。五人は草地へ消えた。
荷馬車の荷物を確認した。
木箱が三つ。一つは鍵がかかっていた。一つは空だった。一つを開けると、干し肉が詰まっていた。布に包まれた硬いやつだ。量がある。三人で分けても、一週間は持つ。
「もらっていいのか」とルカが言った。
「奴隷商人の食料だ」とリトは言った。
ルカが干し肉を袋に入れ始めた。
宿場町に着いたのは夕方だった。
小さな町だった。城下町と比べると何もかいが半分以下だ。街道沿いに宿が数軒、食堂が一軒、鍛冶屋が一軒。それだけだった。
だが、歩いている人間の中に、小人が混じっていた。三割くらいいた。首輪をしている者はいなかった。焼印はあった。首ではなく、手首や首筋に小さく刻まれていた。それでも、首輪がない分だけ違った。
リトは町を見ながら、「まし」という言葉の意味を考えた。首輪がなければましだ。焼印だけならましだ。その「まし」が積み重なって、この町になっている。
「宿を取る」とリトはミラに言った。「お前が交渉しろ」
ミラが「私が」と言った。
「お前の方が話しやすい。交渉に向いた声をしている」
ミラが少し黙った。それから「分かった」と言った。
小人専用の宿は、町の端にあった。
宿というより物置だった。天井が低い。窓が一つしかない。藁が敷いてあって、それが寝床だった。だが屋根がある。壁がある。鍵がかかる。それで十分だった。
宿の主人は中年の小人の女だった。ミラが銅貨を出すと、何も聞かずに鍵を渡した。
夕食を持ってきたとき、主人が少し話した。
「東へ行くのかい」と主人は言った。
リトが「なぜそう思う」と聞いた。
「東へ行く旅人は、だいたいここで泊まる。最後の宿だから」
「最後」
「東の城から帰った者は、一人もいない」
主人は淡々と言った。怖がっている様子はなかった。ただ、知っていることを言っているだけの声だった。
「どうなるんだ」とルカが言った。
「噂が二つある。一つは、奴隷として使い潰されるという噂。もう一つは——」主人は少し間を置いた。「王のコレクションになるという噂」
「コレクション」
「大領主はものを集める。珍しいものを。小人も、珍しいものの一つということだ」
ルカが「どっちが本当なんだ」と言った。
「両方かもしれない。どちらにしても、帰ってこない」
主人は夕食の皿を置いて、立ち上がった。
「もう一つ聞いていいか」とリトは言った。
主人が振り返った。
「大領主のことを知っているか。城より外の縄張りを、どうやって管理しているか」
主人が少し考えた。「魔物を使うという話は聞いたことがある」
「魔物を」
「縄張りの境界に魔物を放つんだそうだ。その体に印を刻んで、自分の所有を示す。人を使うより安上がりで、逃げないから」
リトは地図を思った。赤い丸。その周囲に広がる、地図に描かれていない土地。
魔物に印を刻む。
城より外の広大な土地を、魔物が管理している。
帰ってこれないのではなく、帰れないのかもしれない。
「ありがとう」とリトは言った。
主人は何も言わずに出ていった。
夜、三人は藁の上に座って干し肉を食べた。
翌朝、宿を出ようとすると、昼間に解放した五人の中の一人がいた。男だった。縄を切ってもらった男だった。一人で立っていた。
「東に行くのか」と男は言った。
リトは答えなかった。
「やめておけ。あの城からは誰も帰ってこない」
リトは男を見た。男は本気で言っていた。心配しているのか、知っていることを言っているだけなのかは分からなかった。どちらでもよかった。
「分かった」とリトは言った。
男が何か言いかけた。リトはすでに街道の方へ歩き出していた。
その夜中のことだった。
眠りかけていたリトの耳が、廊下の気配を拾った。
足音だった。重い。一歩一歩が沈み込むような歩き方だ。金属の音が混じっている。鎧の音だ。
扉の前で、足音が止まった。
数秒あった。
また動き出した。遠ざかっていった。
リトは目を開けたまま、天井を見ていた。
あの廃屋で扉が吹き飛んだとき、最初に聞こえたのも、ああいう足音だった。
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