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【閑話】そのころの店主

レオンに室の説明をした後、村上は厨房に戻った。


しばらくして。

店の裏口から夜風が吹き込む。

村上は誰もいない客席を見回した。

それから小さくため息を吐く。


「まったく……」


カウンターの上に置かれたレオンの上着を見る。

擦り切れた布。

何度も補修された跡。

袖口のほつれ。

まともな着替えがあるようには見えない。


「明日困るだろ」


誰に聞かせるでもなく呟く。

そして財布を尻ポケットへ突っ込んだ。

店の灯りを一つ消し、裏口から外へ出る。

向かう先は、徒歩ですぐの二十四時間営業の激安量販店。


その名も――


『トンキー・ポーク』


「サイズは……まあ、あれだけデカけりゃLLか」


そう呟きながら、村上は夜の商店街を歩き始めた。

本人に言えば遠慮する。

だから言わない。

風呂から上がった後に着る服。


下着。


靴下。


そして明日から店で過ごすための着替え。

どうせ何も持っていないのだろう。


まったく。

拾うだけならまだしも、服まで買うとは思わなかった。


「お人好しも大概だな、俺も」


誰に聞かせるでもなく呟く。

だが足取りは止まらない。

夜の商店街を抜けながら、村上は苦笑した。


その頃レオンはまだ知らない。

この世界に来て最初に手に入れる服が、『トンキー・ポーク』の特売品になることを。


閑話です。

単純に激安(今はそんな激安ではないですが)量販店の名前を思いついてしまったので、書きたかっただけです。

おそらく、前身は肉屋だったのでしょう。肉を焼く救うっているうちに総菜も売るようになり、お皿とかも売るようになり、気が付いたらこうなってたとかいう感じなんでしょうかね?

では次回のお話で。

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