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異世界から来た男と初めての料理1

炒めた玉ねぎの香りが、厨房に残っている。


村上はそれを別の容器へ移し、調理台を片付け始めた。


私はその様子を眺めていた。


「これは、もう使わないのか?」


「使うぞ。」


「では、なぜ片付ける?」


「冷ますんだよ。」


「冷ます?」


「ああ。熱いままじゃ、具に混ぜられねぇからな。」


私は玉ねぎを見る。


先ほどまで火の上にあったものが、今は静かに置かれている。


料理とは、火を使っている時間だけではないらしい。


「料理というのは、ずいぶん待つものなのだな。」


「急いだって、うまくいかねぇこともある。」


村上はそう言って、別の作業へ移った。


私はその動きを目で追った。


肉を取り出す。


大きな塊ではない。


すでに料理に使いやすいよう、ある程度準備されている。


「それは?」


「肉だ。」


「ハンバーグに使う?」


「ああ。」


私は肉を見る。


昨日食べたものを思い出す。


「これを、あの形にするのか?」


「そう。」


村上は肉を調理台へ置いた。


「ただし、まだだ。」


「まだ?」


「玉ねぎが冷めるまでな。」


私は少し考えた。


「では、その間に別の作業をする。」


「そういうこった。」


村上は笑った。


私は頷いた。


冒険の野営でも、料理だけをしていたわけではない。


火を起こしながら周囲を見る。


食材を切りながら音を聞く。


仲間が休んでいる間も、何か異変がないか気を配る。


料理だけに集中するのではない。


いくつものことを同時に進める。


それは、あの頃と似ていた。


ただし――。


ここには魔物もいない。


魔力の流れを探る必要もない。


剣に手をかける必要もない。


代わりに、火の音がある。


包丁の音がある。


店の外から聞こえてくる、人の気配がある。


私はふと、厨房の外へ目を向けた。


「……静かだな。」


「まだ開店前だからな。」


「そうか。」


村上は笑いながら、別の食材を準備している。


私はその手元を見る。


すると、村上がこちらを振り返った。


「お前、暇ならこれ手伝ってくれ。」


「何をする?」


「これを混ぜる。」


村上がボウルを差し出す。


中には先ほどの肉が入っている。


私は受け取った。


「これを?」


「ああ。」


「どうすればいい。」


「手でいい。」


私は少しだけ肉を見る。


「手で?」


「そうだ。」


私は袖をまくった。


手を洗う。


そして肉へ手を入れた。


ひやりとした感触が掌に伝わる。


私は少し眉を動かした。


「……冷たい。」


「そりゃ肉だからな。」


「これは、どういう状態まで?」


「粘りが出るまで。」


私は肉を揉み始めた。


力を入れすぎない。


混ぜる。


押す。


返す。


村上の手元を思い出す。


「こうか?」


「ああ。そんな感じだ。」


私は続ける。


肉の感触が少しずつ変わっていく。


最初はばらばらだったものが、まとまってくる。


私はそれを確かめるように指先を動かした。


「……変わった。」


「分かるか。」


「ああ。」


私は頷く。


「最初とは違う。」


村上は何も言わず、ただ満足そうに笑った。


私は肉を混ぜながら考える。


包丁で切ったときもそうだった。


玉ねぎを炒めたときもそうだった。


そして今もそうだ。


料理は、目の前のものが変化していく。


その変化を見て、次に何をするかを決める。


それは、どこか自分の知っているものに似ている。


「……面白い。」


「そうか。」


「だが、まだ分からない。」


「何が?」


私はボウルの中を見た。


「これが、どうすれば昨日の料理になるのか。」


村上が笑った。


「それは、これからだ。」


私は頷いた。


昨日食べたハンバーグ。


その中身を、今、自分の手で作っている。


そう思うと、少しだけ胸が高鳴った。

とうとうです!!

19話目にしてとうとうりょりといえるものが出てきました!!

長かったw

しかし問題はタイトルです。

実は「異世界から来た男とハンバーグ」というタイトルは前にも使っていました

じゃあ、どうしよう?となり「異世界から来た男とハンバーグ(新)」とか「シン・異世界から来た男とハンバーグ」(笑)かと主思いましたがここはおとなしく「2」にしときました。

他の料理とも思いましたが、そうだよなぁやっぱりハンバーグだよなぁということで、レオン君の作る初めてのこっちの料理はハンバーグです!!

煮込みハンバーグとかにすんなよ!

※タイトルを「ハンバーグ」から「初めての料理」に変更しました

それでは次のお話で。

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