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『元世界ランク1位、異世界で【浮遊砲台】になる。~手足のないダルマに転生しましたが、FPS視点の「魔弾」でヘッドショット余裕です~』  作者: 暁月カケル
世界樹防衛編 ――星の楔(くさび)と、世界を巡る特使たち――

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昨日の敵は今日の友

【第3章・世界樹防衛編、堂々開幕!】

★毎日「朝7時」更新中!★

舞台は王都から世界へ! ついに「ファストトラベル」と「新たなロマン重火器(RPG&対空ミサイル)」が解禁!

剣と魔法のファンタジー世界を、FPSのロジックで圧倒する痛快無双劇!

※第1章・第2章(王都編まで)完結済み。今からの「一気読み」も大歓迎です!


 闘技場での歴史的な完全勝利から数時間後。

 獣王国の王城に設けられた巨大な祝祭広場では、ポンタたち「アカマルパーティー」を主賓とした、盛大な祝勝の宴が開かれていた。


「見事な戦いであった。余は獣王国の王、ガロン・レオンハート。貴殿らの力と器の大きさ、このガロン、一生恩にきるぞ」


 立派なたてがみを持つライオンの獣人――獣王ガロンが、自らポンタの前に歩み寄り、深く頭を下げて宴の開会を宣言した。

 穏健派も過激派も入り乱れ、広場は美味そうな肉の焼ける匂いと、陽気な笑い声に包まれている。


「……あの、ポンタ殿。少し、よろしいか」


 宴もたけなわの頃、過激派の面々が少し気まずそうに、巨大な酒樽を持ってポンタたちのテーブルへとやってきた。


「俺たちは、獣王国の特務武闘団『荒ぶるワイルド・ファング』。俺は団長のザンバだ」


 大将戦でポンタと拳を交えた隻眼の大虎――ザンバが、深く頭を下げる。


「あんたの言葉で、目が覚めた。俺たちも、これからは国を守るために、あんたの防衛協定に協力させてくれ」

「ああ、頼りにしてるぜ、ザンバ団長」


 ポンタが笑って杯を合わせると、それを合図に『荒ぶる牙』の面々も、かつての対戦相手の元へと散っていった。


「お嬢ちゃん、あんなドデカイレンチを振り回すとはな! 次は俺が弾き飛ばしてやるぜ!」

「ふふん、ドワーフのパワー、いつでも相手になってあげるよ!」

 猪の獣人ボルドが、ルルと豪快にジョッキをぶつけ合う。


「俺の自慢のスピードを完全に封じた上に、傷一つ付けずに眠らせてくれるとは。聖女様の慈悲深さに感謝するよ」

「とんでもありません。あなたの動き、とても勉強になりました」

 黒豹の獣人シアンが、エリスに対して深々と敬意を払う。


「あんな理不尽な精霊魔法、チビるかと思ったぜ……。あと、ポンタの旦那。あの時(ゴルドの蹴り)は庇ってくれて助かった。あんた、意外といい奴なんだな」

「ポンタ様は世界で一番お優しくて強いんですー!」

 梟の獣人フーゴがミリーナの背後に隠れながらポンタに礼を言うと、ミリーナがなぜか自慢げに胸を張る。


「ガハハ! ヒルデの姉御の拳、最高に効いたぜ! 次までに腹筋を鋼にしておくからな!」

「フッ、ゴルド、貴様の根性も大したものだったぞ。さあ、飲め!」

 ヒグマの獣人ゴルドは、ヒルデと巨大な肉の塊を食らいながら、武人同士すっかり意気投合していた。


「むぐむぐ……獣王国の串焼き、すっごく美味しい……! みんな凄かったなのー、ニアとても感動したのー!」

 団体戦を心配そうに応援していたニアもすっかり安心したのか、ここぞとばかりに両手いっぱいにご馳走を抱え込み、口の周りにタレをつけながらニコニコと仲間たちや獣人たちを称賛している。そのマイペースで愛らしい姿に、過激派の面々もすっかり毒気を抜かれて頬を緩ませていた。


 昨日の敵は、今日の友。

 種族の壁を越えた温かい空気が、夜の獣王国を包み込んでいた。


   ***


 翌朝。王城の厳かな会議室にて。

 ポンタ、獣王ガロン、そして『荒ぶる牙』のザンバを交えた円卓会議が開かれていた。


「ポンタ殿。改めて、我々獣人が人間に対して強い警戒心を抱いていたことを謝罪したい」


 ザンバが、真剣な表情で語り出す。


「無理もねえさ。帝国がやってきた歴史を見ればな」

「……ああ。グランゼリア王国のような友好的な国もある。だが、長年この世界を我が物顔で蹂躙してきた『帝国』は、過去に我ら獣人を労働力や闘技場の見世物として狩る『奴隷狩り』を大規模に行っていたのだ」


 ザンバの拳が、ギリッと強く握られる。


「それだけではない。奴らはこの世界樹の根から溢れる魔力と資源を独占しようと、森を焼き払い、幾度となく侵略を繰り返してきた。……我々にとって、人間の国とは、自然を喰い尽くし、誇りを奪う存在だったのだ」

「だからこそ、グランゼリアと不可侵条約を結ぼうとした王様に反発したんだな。いつかまた、人間に都合よく利用されるんじゃないかって」

「恥ずかしながら、その通りだ。だが、あんたたちの戦いを見て分かった。あんたたちは奪うためではなく、共に守るために来てくれたのだと」


 ポンタの器の大きさに触れ、獣人たちの人間への不信は完全に氷解していた。


「そういうことなら、話が早い」


 ポンタはニヤリと笑い、テーブルの上に羊皮紙を広げた。


「協定の第一歩として、この王都の一等地に、俺たちの拠点を作らせてほしい。グランゼリアにある領事館と同じようなもんだ」

「拠点、とな?」ガロン王が目を丸くする。

「ああ。各国の物資の流通と、何かあった時に一瞬で援軍を送れる『転移門ゲート』を設置する。ただの同盟じゃなく、経済と防衛の両面で互いに利益を生み出す、強固な繋がりを作るんだ」


 ポンタの提案に、ガロン王もザンバも感嘆の息を漏らした。武力だけでなく、国の発展と防衛網の構築まで見据えた理にかなった提案だったからだ。


「もちろんだ。王宮のすぐ隣、かつての大貴族の館を『アカマル獣王国支店(領事館)』として提供しよう」

「話が早くて助かるぜ。よし、善は急げだ。ソフィア、提供された館と王都のアカマルハウスを繋ぐ常設パスを開通してくれ」

『了解しました、マスター』


 ポンタが空中に向かって指示を出した直後、会議室の空間がわずかに揺らぎ、見えないシステムの手によって瞬時に空間座標が書き換えられた。


「わーい! これでいつでも、獣王国のお肉を食べに遊びに来れるね!」


 いつの間にか会議室の隅のソファでくつろいでいたニアが、両手を挙げて歓声を上げる。

 一瞬にして他国との空間を繋いでみせた神がかり的な手際に、ガロン王とザンバは目をひん剥いて驚愕したが、ポンタは構わず話を先に進めた。


「そうだ。協定の総仕上げとして、獣王国にある『世界樹の根』の状態を確認して、そこの精霊に挨拶しておきたいんだが」


 その言葉に、ザンバとガロン王が顔を見合わせ、少し表情を引き締めた。


「……王都から離れた奥地に、世界樹の根が眠る『聖域』がある。だが、あそこには気高き狼の神獣『フェンリル』様が座しておられるのだ」

「ああ、そうらしいな」


 ポンタが頷くと、ザンバは心配そうに言葉を続ける。


「我ら獣人でさえ滅多に謁見は許されん、誇り高く気難しいお方だ。聖域への立ち入りを認めてもらえるかどうか……」

「まあ、案ずるより産むが易しってやつだ。今後の『防衛網』の要としても、きっちり顔を繋いでおきてえしな」

『神獣フェンリルのデータ収集、及び聖域への転移パスの構築。興味深いです、マスター』


 脳内でソフィアも乗り気な声を出している。

 かくしてポンタたち一行は、獣王国のさらなる奥地――世界樹がそびえ立つ『聖域』と、そこに住まう気高き番犬フェンリルとの邂逅へ向けて、新たな一歩を踏み出すのだった。

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