敗者への制裁と、Sランクの理不尽な追加ルール
【第3章・世界樹防衛編、堂々開幕!】
★毎日「朝7時」更新中!★
舞台は王都から世界へ! ついに「ファストトラベル」と「新たなロマン重火器(RPG&対空ミサイル)」が解禁!
剣と魔法のファンタジー世界を、FPSのロジックで圧倒する痛快無双劇!
※第1章・第2章(王都編まで)完結済み。今からの「一気読み」も大歓迎です!
中堅戦の決着。
それは、ポンタ陣営(穏健派)の『三連勝』という、誰の目にも明らかな王側の完全勝利を意味していた。
「勝った! 俺たちの勝ちだぁぁっ!!」
「あの人間たち、本当にすげえええっ!!」
穏健派の観客席はお祭り騒ぎとなり、歓喜の渦に包まれている。
だが、闘技場のもう半分――過激派の観客席を包む空気は、それとは全く異なる、異様でどす黒いものだった。
「ふざけんな……! なんで俺たちが、人間のガキ共に負けなきゃならねえんだ!」
「このまま腑抜けの王の下で、国が腐っていくのを黙って見てろってのか!? 冗談じゃねえ!!」
過激派の獣人たちがギリッと牙を剥き、手持ちの武器を握りしめる。
今にも暴動が起きそうな殺気と絶望。VIP席で穏健派の重鎮たちと共に観戦していた獣王(ライオンの獣人)は、そのヒリヒリとした闘技場の空気を、険しい表情で見つめていた。
(……まずいな。いくら神聖な決闘のルールとはいえ、血に飢えた過激派がこのまま大人しく引き下がるとは思えん。最悪の場合、ここから血みどろの内乱に発展するやもしれん……)
思慮深くも強大な力を持つ獣王が、万が一の暴動制圧に向けて静かに闘気を練り上げ始めた、その時だった。
「ひっ、ひぃぃぃぃ……っ!」
闘技場のリングサイド。
ミリーナの精霊魔法に恐れをなし、自ら這いつくばって降参した梟の獣人の腹に、情け容赦のない強烈な蹴りが叩き込まれた。
「ガハッ……!?」
蹴り飛ばしたのは、過激派の次なる出場者である『副将』――筋骨隆々で凶悪な面構えをしたヒグマの獣人だった。
「て、てめぇ……! 戦いもせずに尻尾を巻きやがって! 獣人の誇りを汚したゴミめが!」
ヒグマの獣人が、うずくまるフクロウの獣人を乱暴に踏みつける。
さらに、同じくリングサイドの待機列で腕を組んでいた過激派の『大将』――歴戦の無数の傷を持つ、隻眼の大虎の獣人が、氷のように冷たく厳しい声で言い放った。
「許すな。我らに戦わずして逃げる腰抜けは不要だ。……徹底的に痛めつけろ」
「へっ! 了解だぜ、大将!」
大将の容赦ない命令を受け、ヒグマの副将がフクロウの獣人の骨をへし折ろうと、丸太のような足を高く振り上げた。
――ガシィィィッ!!
「……あ?」
だが、その凶悪な踏みつけが、フクロウの獣人に届くことはなかった。
闘技場の中央からいつの間にか飛び降りていたポンタが、自身の細い腕一本で、ヒグマの獣人の丸太のような足を軽々と受け止めていたのだ。
(……お? 咄嗟に手が出たが、全く痛くねえぞ……?)
当のポンタ自身が、無傷でガードできている自分の体の硬さに内心で驚いていると、脳内でソフィアの冷静な声が響いた。
『マスター。現在は人間の少年の身体に変質していますが、元の転生体はヒヒイロカネ製のダルマです。少年の姿に戻ってから少しずつマナが安定し、現在の身体強度は通常の人間の遥か上の数値を叩き出しています』
(なるほどな。俺の体も、ドンドン成長してるってわけだ)
ポンタは内心で納得すると、目の前の獣人を冷たく見上げた。
「おいおい。身内でのパワハラは見苦しいぜ。負け犬いじめが、お前ら過激派の誇りか?」
「なっ、人間のガキが……っ!」
ヒグマの副将が力任せに足を押し込もうとするが、人間離れした強度を持つポンタの腕は、万力のようにピクリとも動かない。
ポンタはそのままヒグマの足を無造作に弾き返すと、リングサイドの大将(大虎の獣人)に向かって不敵な笑みを向けた。
「て、てめぇら! 勝負は三連勝で決まりだが、俺たちはまだ納得してねえぞ!!」
「そうだ! 今ここで人間どもを皆殺しにして、王の首を獲ってやる!!」
ポンタの介入を機に、過激派の観客たちが一斉に武器を掲げ、怒号を上げ始めた。
今まさに、闘技場が血みどろの大乱闘(内乱)の引き金になろうとしていた。
(……やっぱりな。獣人っていうのは、言葉やルールじゃなく『圧倒的な力』で心底へし折って納得させないと、本質は変わらねえんだ)
ここで暴動を起こされ、国が割れて王様が死んでしまえば、世界樹の防衛協定のサインが貰えなくなる。
盤面を完全にコントロールするため、ポンタは脳内でソフィアに話しかけた。
(ソフィア。ダルマの時にやってた、拡声音声はできるか?)
『はい、可能です』
ポンタはニヤリと笑うと、ソフィアの機能を使って、闘技場全体にビリビリと響き渡る大音声で言い放った。
「……おいおい、早まるなよ。三タテで終わりじゃあ、見世物としてつまらねえだろ?」
闘技場が揺れるほどの声量に、暴動を起こしかけていた過激派たちがピタリと動きを止める。
「過激派の連中。お前らに、特別ルール(ハンデ)をくれてやるよ。残りの副将戦と大将戦、フルでやってやる」
「……なんだと?」
「俺たちがあと二戦するうち、お前らが『一勝でも』すれば、お前らの逆転勝利でいい。王様を引きずり下ろすなり、好きにしろ」
ポンタの理不尽極まりない提案に、闘技場がどよめいた。
三連勝して既に勝利が確定しているのに、わざわざ自分たちからリスクを背負いに行くなど、正気の沙汰ではないからだ。
「……だが。俺たちが完全勝利(五連勝)したら、お前らは大人しく武器を捨てて穏健派に従い、俺の防衛協定に協力しろ。……どうだ? 悪くない取引だろ?」
「……人間が、舐めやがって。そのふざけたルール、乗ってやる!」
過激派の大将が、怒りで顔を引き攣らせながら承諾の声を上げる。
絶望していた過激派の観客たちも「まだ逆転できる!」「副将と大将なら、あんな人間ども瞬殺だ!」と再び熱狂し始め、今にも爆発しそうだった暴動の危機が、魔法のようにスッと収まっていった。
(な、なんという男だ……っ! あの絶望的な暴動の空気を、たった数手で己の盤面に引きずり込んでしまった!)
VIP席で見守っていた獣王は、人間の少年の恐るべき交渉術と肝の据わり方に、ただただ戦慄し、感嘆の息を漏らすことしかできなかった。
「……さて。待たせたな」
ポンタが控室に戻ると、そこでは出番を待ち焦がれていた副将――ヒルデが、抑えきれない闘気(竜種のオーラ)をバチバチと漏らしながら、好戦的な笑みを浮かべていた。
「ようやく、私の出番だな。……待ちくたびれたぞ、主」
「ああ。溜まったフラストレーション、存分に発散してこい」
暴力には、さらなる圧倒的暴力(竜種の力)を。
凶悪な過激派の副将の前に、一切の容赦を持たない『アカマル』の最強の前衛が進み出る。
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