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『元世界ランク1位、異世界で【浮遊砲台】になる。~手足のないダルマに転生しましたが、FPS視点の「魔弾」でヘッドショット余裕です~』  作者: 暁月カケル
世界樹防衛編 ――星の楔(くさび)と、世界を巡る特使たち――

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

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受付嬢の殺意レーダーと、家事手伝いの精霊たち

【第3章・世界樹防衛編、堂々開幕!】

★毎日「朝7時」更新中!★

舞台は王都から世界へ! ついに「ファストトラベル」と「新たなロマン重火器(RPG&対空ミサイル)」が解禁!

剣と魔法のファンタジー世界を、FPSのロジックで圧倒する痛快無双劇!

※第1章・第2章(王都編まで)完結済み。今からの「一気読み」も大歓迎です!


 ルル、エリスと見事な連勝を飾り、ポンタ側(王側)の陣営がいよいよ「あと一勝」で完全勝利となる大将手前、第三試合の中堅戦。


「第三試合、中堅戦! 両者、前へ!」


 鳥人の審判の声が闘技場に響く。

 過激派の陣営から現れたのは、音もなく滑空するように歩みを進める『フクロウの獣人』だった。

 対するポンタ側からは、元ギルド受付嬢のミリーナが進み出る。彼女は普段から愛用している『高性能イヤーマフ』を装着したまま、愛用の弓を静かに構えた。


「はじめっ!!」


 試合開始の銅鑼が鳴った瞬間、フクロウの獣人は大きく羽ばたき、上空へと舞い上がった。


「『濃霧のミスト・ベール』!」


 同時に彼が高度な魔法を放つと、巨大な闘技場全体が、あっという間に視界ゼロの真っ白な濃霧で覆い尽くされた。


「ぎゃはは! 弓使いにとって、視界と音を奪われた空間は最悪だろう! 大人しく蜂の巣になりな!」


 霧の中から、フクロウの獣人の嘲笑が響く。

 彼は音もなく上空を飛び回りながら、自身の羽を硬質化させた『フェザーニードル』を、雨あられのように四方八方から降らせてきた。視界も音も奪われた空間での、完全な一方的狙撃(ヒット&アウェイ)だ。


 しかし、観客の予想に反して、ミリーナは全く焦っていなかった。

 彼女の『ルナ一族』特有のユニークスキル『地獄耳ラビットイヤー』は、他者の負の感情や殺意を『音』として感知してしまう、呪いのような能力だった。

 かつては他人の顔色ばかり窺って生きてきた彼女だったが、ポンタたちからプレゼントされたこの『高性能イヤーマフ』が、彼女の世界を変えた。


 周囲の雑音を完全に遮断し、純粋な『敵意や殺意』にのみ反応するよう調整されたこの心温まる魔導具のおかげで、今のミリーナの耳は、視界や霧に一切依存しない『超高性能の全方位殺意レーダー』と化していたのだ。


「……そこですね」


 ミリーナは、霧の中から無音で飛来する無数のフェザーニードルを、最小限の動きでことごとく躱し、あるいは自身の弓で的確に弾き落としていく。

 敵の位置は、手に取るように分かっていた。


(……でも、どうすれば……っ!)


 完全に相手を捕捉していながら、ミリーナは反撃の矢を放つことができずにいた。

 彼女はアルメニアでのスタンピード攻防戦の直前、ポンタのアドバイスにより、アカマルハウス(旧アイゼン邸)で大部分の力を失っていた上位精霊――風のシルフィと水のマリーと契約を果たしていた。


 その恩恵で放てる『風の矢(着弾と同時に強烈な爆風)』や『水の矢(ミスリルすら貫く高水圧レーザー)』は、現状のアカマルパーティーにおいて「最高火力」とも言える威力を秘めている。

 だが、射撃の精密さはピカイチでも、まだ強大な魔力のコントロールが未熟なミリーナにとって、「殺しは厳禁」というコロッセオのルールの下でその矢を放つことは、「当てたら相手が粉微塵になって(死んで)しまう」という強烈なジレンマを生んでいたのだ。


「ひゃあっ!」


 魔力調整に躊躇し、攻めあぐねていた一瞬の隙を突かれ、フェザーニードルがミリーナの服の裾を掠めた。


「ポ、ポンタ様〜っ! 威力が強すぎて、どう戦っていいか分かりません〜!」

『魔力コントロールか……。こいつは誤算だったな』


 控室から、ポンタの声が届く。

 元はただの受付嬢だったのに、半ば強引にポンタに引き回されて以来、最初はポンコツでいつも泣き言しか言わなかった彼女。

 だが、今はこうして、屈強な獣人たちを相手に堂々と戦えているのだ。ミリーナは本当によくやっている。


『ミリーナ、無理そうなら降参タップでいいぞ。あとは俺らがやるからな』


 ポンタの気遣う声。だが、その会話を聞いたフクロウの獣人は、自分が手加減(自重)されていることなど露知らず、濃霧の上空から調子に乗って嘲笑った。


「ぎゃはははっ! なんだ、やはり所詮は女子供よな! たまたま最初の二人が強かっただけだろう!」


 フクロウの獣人の声が、闘技場に醜く響き渡る。


「残りの奴らも、お前のように泣き喚くしかできねえ腰抜けなんだろうよ! 特にあのガキ! 女の尻に隠れて喚いてるあの人間のガキも、大したことはないんだろう!」

「…………」

「俺らの副将、大将は半端ねーぜ! 獣人を舐めた報いだ。しょんべん漏らして泣き叫んでも、じっくりと痛ぶってやるからな! けけけっ!」


 ――その瞬間。

 ミリーナの雰囲気が、スッと、氷のように冷たく静まり返った。


「……なんですって?」


 自分が自分らしく生きられる場所(居場所)をくれた恩人たち。

 そして何より、誰よりも敬愛し、その絶対的な強さと優しさを知っている『ポンタ様』への、許しがたい侮辱。


「皆さんの、ポンタ様の侮辱は、絶対に許しません……っ!」


 ミリーナの中で、何かがプツンと弾けた。


「もう、どうなっても知らないんですからーッ!!」


 怒りに任せた感情の爆発。

 普段は長い時間と深い集中を要する精霊召喚の詠唱を、ミリーナは咄嗟の圧倒的な集中力で『瞬時』に成功させてしまった。


 ポンッ!

 という間の抜けた音と共に、闘技場の霧の中に、二柱の上位精霊が顕現した。


「なになに!? 敵襲なの!?」

「あらー。早く戻らないと、オーブンの中のパイが焦げてしまいますわ〜」


 箒を持ったまま目を丸くする風の精霊シルフィと、エプロン姿でおっとりと言う水の精霊マリー。いつものように館の家事をしていた二人が、そのままの姿で呼び出されたのだ。


「お願い、二人とも! あの相手を黙らせる力を見せてあげて!」


 ミリーナが上空の濃霧を指差して叫ぶ。


「しょうがないわねー」

「はーい」


 気の抜けた返事。

 だが次の瞬間、二柱の精霊が解放した恐ろしい魔力に、フクロウの獣人も、闘技場の観客たちも息を呑んだ。


「な、なんだこの魔力は……っ!?」


 突如として、闘技場内が嵐のような暴風に包まれた。

 濃霧が一瞬にして吹き飛び、フクロウの獣人は空中で体勢を保つことすらできず、もがき苦しむ。


「いくわよ、マリー!」

「ええ、シルフィ!」


 シルフィが風に指向性を与え、フクロウの獣人のすぐ目の前で、巨大な『上昇気流の竜巻』を発生させた。そこへ、マリーが『大量の水』の魔法を注ぎ込む。


 二つの戦略級魔法が合わさったそれは、まるで――【巨大な水流が、上り龍のように咆哮を上げる】規格外の超魔法となり、フクロウの獣人のすぐ横を掠め、闘技場の暗雲を割って天高くへと突き抜けていった。


 ゴアァァァァァァァァッッ!!!!


 圧倒的な自然の猛威。文字通り次元の違う魔法の威力をゼロ距離で目の当たりにし、フクロウの獣人は顎が外れんばかりにアングリと口を開けたまま、空中で完全に硬直した。


「……次は、当てます」


 地上のミリーナが、一切の感情を排した冷たい声で、そのフクロウに向かって鋭い視線を送る。


「ひ、ひぃぃぃぃぃぃっ!!」


 その絶対零度の視線と、今にも放たれんとする精霊たちの超魔法を前にした瞬間、フクロウの獣人は白目を剥いて泡を吹き。


「こ、降参タップ! 降参だぁぁぁぁっ!!」


 情けなく泣き叫びながら、自ら闘技場の地面へと転がり落ちるように舞い降りて、平伏したのだった。


「しょ、勝負あり! 勝者、中堅ミリーナ!!」


 かくして、怒れる受付嬢と家事手伝いの精霊たちによる理不尽な超魔法によって、ポンタ陣営の怒涛の『三連勝』が決定したのだった。


ここまで読んでいただきありがとうございます!


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