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『元世界ランク1位、異世界で【浮遊砲台】になる。~手足のないダルマに転生しましたが、FPS視点の「魔弾」でヘッドショット余裕です~』  作者: 暁月カケル
世界樹防衛編 ――星の楔(くさび)と、世界を巡る特使たち――

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断罪の銃声と、元老院の崩壊

【第3章・世界樹防衛編、堂々開幕!】

★毎日「朝7時」更新中!★

舞台は王都から世界へ! ついに「ファストトラベル」と「新たなロマン重火器(RPG&対空ミサイル)」が解禁!

剣と魔法のファンタジー世界を、FPSのロジックで圧倒する痛快無双劇!

※第1章・第2章(王都編まで)完結済み。今からの「一気読み」も大歓迎です!


 地下の星くずの神殿から響く、断続的な地鳴りと凄まじい魔力の余波。

 エルフェリアの中枢たる上の階層『謁見の間』は、未曾有の事態に完全にパニックへと陥っていた。


「な、何事だ!? 地下で何が起きている!」

「結界の異常な乱れ……まさか、世界樹に何かあったのでは!?」


 半円形の議席に座る元老院の長老たちが、青ざめた顔で立ち上がり口々に叫ぶ。

 彼らを守る数十名の近衛兵たちも槍を構え、得体の知れない揺れに怯えていた。


 ――その時である。


 ズッドォォォォォォンッ!!


 謁見の間の重厚な扉が、強烈な爆発音と共に蝶番ごと吹き飛ばされた。

 舞い散る木端と土煙。その奥から、硝煙をくゆらせるコンバット・ショットガンを肩に担いだポンタが、氷のように冷たい瞳で姿を現した。


「よお、クソジジイ共。お遊戯の時間は終わりだ」


 その後ろからは、ヒルデ、ルル、ミリーナ、そして巨大な白銀の成獣の姿を保ったハティが続く。

 さらにその後方では、エリスが満身創痍のシャドウの肩を支えながら、ゆっくりと謁見の間へと足を踏み入れていた。


 シャドウの裂けた皮膚や外傷は、エリスの【極大治癒ハイ・ヒール】によって完全に塞がっている。しかし、彼女の顔色は土気色で、荒い息を吐き続けていた。

 呪われた血の力を極限まで引き出した反動――『邪神の瘴気が臓腑を内側から焼くような激痛』だけは、どれだけ強力な聖なる回復魔法をもってしても治癒することができないからだ。それは彼女が世界を救った『英雄の血統』であるという、残酷なまでの証明でもあった。


「き、貴様ら……! 下等な人間と、汚らわしいダークエルフめ!」


 元老院の代表である長老が、顔を真っ赤にして激昂した。


「神聖な地下で何をした! なぜ貴様らが生きている! ……防衛隊! 今すぐその汚物どもを処刑しろ!!」


 長老のヒステリックな命令に、数十名の近衛兵が一斉にポンタたちへ向けて槍を突き出し、殺到してくる。

 だが、ポンタが指一本、引き金に掛ける必要すらなかった。


「シィィィッ!!」


 真っ先に踏み込んだヒルデが、地龍八極拳の冴えを見せる。

 床を砕くほどの踏み込みから放たれたガントレットの一撃が、突き出された十数本の槍の穂先をまとめて木端微塵に粉砕した。


「えーいっ! 【機工の真髄(ザ・メカニック)】!」


 ルルが右腕を振るうと、魔法空間から出現した巨大なミスリル製の『ゴーレムハンド』が、近衛兵たちを虫を払うかのように壁際へとまとめて薙ぎ払う。


「ガルゥウウウウウウウッ!!」


 さらに、成獣姿のハティが鼓膜を破るほどの圧倒的な咆哮を上げた。

 強大な魔獣のプレッシャーに当てられ、後方にいた神官たちは白目を剥いて次々と腰を抜かし、その場にへたり込んでしまう。


 戦闘開始から、わずか数秒。

 元老院が誇る武力は、ヒロインたちの一方的な蹂躙によって完全に無力化された。


「ひっ……! ば、化け物どもめ……っ」


 長老たちが、あまりの戦力差にガタガタと震え出す。

 なんとか立ち上がり、再び武器を構え直そうとする近衛兵たちへ向けて、エリスの杖から飛び出した若枝の精霊・ユーグが悲痛な声を張り上げた。


「剣を引け! 君たちは騙されているんだ! その長老たちは、エルフの国を護る指導者なんかじゃない!」

「……え?」


 精霊の予期せぬ言葉に、近衛兵たちの動きが止まる。

 ユーグは謁見の間にいる全ての者へ向けて、千年前の真実を語り始めた。


「君たちが『穢れ』だと教えられてきたダークエルフは、違う! 千年前、世界を救うために溢れ出た邪神の瘴気を、君たちの先祖に代わってその身に引き受けてくれた……真の英雄たちなんだ!」


 ユーグの言葉が、謁見の間に波紋を広げていく。


「だけど、当時の長老たちは……瘴気で肌が変色した恩人たちの姿を見て、『次は自分たちにもその汚染が移るのではないか』と恐怖した。そして、自分たちの清浄な世界と身の安全を守るために、彼らに『穢れている』という理不尽な罪を着せて荒野へ追放し、歴史を改ざんしたんだ!」


「そんな……まさか……」

「我々は、恩人を迫害していたというのか……?」


 近衛兵たちが動揺し、互いの顔を見合わせる。

 そこに、トドメを刺すように、ユーグの背中から小さなフィオが顔を出した。

 フィオは涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、長老たちを小さな指で真っ直ぐに指差した。


「お爺ちゃんたち、悪い人! あの赤い髪のおじさん(ガウス)が持ってた怪しい道具を、お爺ちゃんたちがわざと地下の結界を緩めて、入れてあげたんでしょ! フィオ、あの変な怪物に食べられそうになったんだよ!」


「「「「……っ!?」」」」


 その決定的な告発に、謁見の間の空気が完全に凍りついた。

 外界の穢れを何よりも嫌うと公言していた元老院が、自らの保身――あるいは帝国からの何らかの甘い見返りのために、結界を意図的に緩め、世界樹を滅ぼしかねない帝国の罠を自国へ引き入れていたのだ。


 カラン、と。

 一人の近衛兵が、力なく手から槍を落とした。

 それを皮切りに、次々と武器が床に捨てられていく。彼らが長老たちへ向ける視線は、絶対の信頼から『軽蔑と強烈な殺意』へと完全に変わっていた。


「ち、違う! 誤解だ!」


 長老のリーダーは滝のような冷や汗を流し、パニックに陥りながらも、必死に自分を正当化しようと喚き散らした。


「だ、黙れ! 瘴気に塗れた汚物を切り捨てて何が悪い! そうしなければ、この美しい国は保たれなかったのだ! 帝国との取引も、すべてはこのエルフェリアを永遠に安泰にするための高度な政治的判断……そう、私は正しい! 私こそが、この国を――」


「嘘ばっかりなの……っ! フィオちゃんを怖いお化けに食べさせようとしたくせに!」


 エリスの後ろから顔を出したニアが、怒りで獣耳をピンと立てて叫んだ。

 その隣で、ミリーナもまた、普段の温厚な姿からは想像もつかないほど冷ややかな声で長老を蔑む。


「……ええ。私のスキルを通さずともわかります。あなた達の心音からは、醜い保身と自己中心的な言い訳しか聞こえません。自らの命を救ってくれた恩人を迫害し、保身に走るその性根……反吐が出ます」

「……っ、自分の命を救ってくれた恩人を迫害して、保身のために森を売り渡すような人たちが、この美しい国の指導者だなんて……絶対に許せません!」


 エリスが杖を強く握りしめ、長老たちを真っ直ぐに睨みつける。

 ヒロインたちの軽蔑の眼差しを一身に浴びた長老が、さらに何かを喚こうと口を開いた瞬間。


 ――ゴシャッ!!


 長老の狂ったような言い訳は、無言で歩み寄ったポンタの、コンバット・ショットガンの銃床ストックによる強烈な一撃で遮られた。


「あぐべぇッ!?」


 鼻骨が砕ける生々しい音と共に、長老が血飛沫を上げて床へ無様に吹き飛ぶ。


「ひぃぃぃっ!」


 床に這いつくばり、顔を押さえて悲鳴を上げる長老。

 ポンタはその長老の頭の真横――耳からわずか数センチの床材へ向けて、容赦なくショットガンの引き金を引いた。


 ズドンッ!!


 鼓膜を破壊するような爆音と、飛び散る石の破片。

 長老は恐怖のあまり「ヒィィィ」と短い悲鳴を上げ、その場で無様に失禁した。


「テメエらのちっぽけな保身のために、あいつらがどれだけの地獄を見たと思ってんだ」


 ポンタの瞳は、絶対零度よりも冷たく、底知れぬ怒りを湛えていた。

 彼はゆっくりと振り返り、エリスに肩を借りて立っているシャドウを指差す。


「よく見ろ。テメエらが捨てたその『英雄の血』が、今日、お前らの大事な世界樹を救ったんだよ」


 シャドウは、血に塗れた身体で、静かに長老たちを見下ろしていた。

 かつてのような復讐心や、狂気じみた憎悪はもうない。激痛に耐えながらも、その瞳にあるのは、世界を救った血脈としての『静かな誇り』だった。


「ひっ、あ……ぁ……」


 命の危機と完全な敗北を悟り、長老たちはガタガタと震えながらポンタを見上げる。


「千年の罪の落とし前だ。全員、こいつ(シャドウ)に土下座して謝れ」


 ポンタの冷酷な命令に、逆らえる者など一人もいなかった。

 かつて神聖な指導者としてふんぞり返っていた長老たちは、全員が這いつくばり、屈辱と恐怖の涙を流しながら、シャドウの足元へ深く、深く額を擦りつけた。


「……いいだろう。ジジイ共の処遇は、後でお前ら(近衛兵たち)で勝手に決めろ」


 ポンタはショットガンを再び肩に担ぎ、本題を切り出した。


「俺たちは星を救うために『龍脈のバイパス手術』を行う。……その処置の要となる、エルフに伝わる『世界樹のマナを制御・連結する秘術』を全部出せ」

「ひっ……ひぃぃ! わ、わかりました! お出しします、すぐにお出ししますから命だけは……っ!」


 床に額を擦りつけたまま、長老のリーダーが泣き叫ぶ。

 彼は震える手で懐から鍵を取り出すと、謁見の間の奥にある隠し扉を開けさせた。


 そこに安置されていたのは、巻物や魔導書ではなく――淡い翠色に発光する、巨大で美しい『ひとつの水晶』だった。


「なんだ、こりゃあ。俺は秘術の文献を出せって言ったんだぞ」

「そ、それが秘術のすべてなのです……!」


 長老が怯えながら説明する。


「それは『記憶の水晶メモリー・クリスタル』。千年前、偉大なるエルミナ様が遺された、当時の出来事と術式のすべてが込められた結晶です! 我々エルフの秘術は、文献ではなく『過去の追体験』として、この水晶の中に映像のように閉じ込められているのです!」

「追体験、だと?」


 ポンタが水晶を訝しげに見つめる。

 その隣で、ユーグが深く頷いた。


「間違いない。あれはエルミナ様の魔力だ。……星の龍脈を繋ぐためのピースは、千年前のエルミナ様の『記憶の中』に隠されているんだ」

「なるほどな。過去の映像ログに直接ダイブして、情報を抜き出せってわけか」


 ポンタは水晶を手に取り、その淡い光を見つめる。

 シャドウもまた、エリスに支えられながらその水晶をじっと見つめていた。自分が憎み続けてきた「エルミナ」の真実が、そして先祖たちがどのような運命を辿ったのかが、この中にあるのだ。


「……見る覚悟はあるか、シャドウ」


 ポンタの問いかけに、シャドウは静かに頷いた。


「ああ。私の血に刻まれた『真実』……見届けさせてもらう」


 千年もの間、エルフの国を縛り付けていた腐敗した鎖国体制は、こうして完全に崩壊した。

 一行は元老院の制圧を近衛兵たちに任せ、星を救うための『龍脈のバイパス手術』を完成させる最後のピース――千年前のエルミナの記憶へと潜る準備を始めるのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

7時投稿間に合わず19時させて貰いました。


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