表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『元世界ランク1位、異世界で【浮遊砲台】になる。~手足のないダルマに転生しましたが、FPS視点の「魔弾」でヘッドショット余裕です~』  作者: 暁月カケル
世界樹防衛編 ――星の楔(くさび)と、世界を巡る特使たち――

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

129/134

ガーディアンと、血塗られた決死行

【第3章・世界樹防衛編、堂々開幕!】

★毎日「朝7時」更新中!★

舞台は王都から世界へ! ついに「ファストトラベル」と「新たなロマン重火器(RPG&対空ミサイル)」が解禁!

剣と魔法のファンタジー世界を、FPSのロジックで圧倒する痛快無双劇!

※第1章・第2章(王都編まで)完結済み。今からの「一気読み」も大歓迎です!


 地下の聖域を揺るがすほどの、圧倒的な質量と威圧感。

 世界樹の根から生み出された『神樹の近衛騎士エント・パラディン』は、全高十メートルに達するその巨体を軋ませ、手にした巨大な琥珀の大剣を無造作に振り上げた。


 ――ゴォォォォッ!!


 ただの一振り。

 それだけで地下空間に猛烈な暴風が吹き荒れ、分厚い岩盤の床が丸ごと抉り取られる。まともに直撃すれば、人間など跡形もなく挽肉に変わるだろう圧倒的な破壊力だ。


 だが、シャドウはその常軌を逸した剣圧の嵐の中を、紙一重で見切って躱していた。

 空中に舞い上がった岩の破片を足場にし、音もなく巨兵の懐へと潜り込む。


(デカい図体だ。……だが、関節の隙間は狙い放題だな)


 シャドウは空中で身を捻りながら、パラディンの膝裏にあたる駆動部分へ、漆黒のダガーを一閃した。

 刃には『ダークエルフの呪われた血』の赤黒い魔力が濃密に纏わされている。


 ジュゥゥゥッ!!


 ダガーが触れた瞬間、古代樹の硬い装甲がバターのようにドロドロと腐食し、溶断された。

 自重を支えきれなくなった巨兵の片膝が、轟音と共にガクンと折れ曲がる。


 暗殺者としての面目躍如。確実に機動力を削いだ――はずだった。


「……なに?」


 シャドウが着地した次の瞬間。

 パラディンの足元の地面から無数の『緑色のマナの蔦』が生き物のように這い出し、切断された膝の関節へと絡みついた。


 世界樹の根から直接無尽蔵のエネルギーを吸い上げたパラディンは、シャドウの呪いの血が装甲を腐食させるよりも遥かに速いスピードで、失った脚を『完全再生』させてしまったのだ。


「……厄介な。背後の樹と繋がっている限り、無限に再生するのか」


 シャドウは舌打ちした。

 暗殺の基本である『急所への一撃離脱』が全く通じない、最悪の相性を持つ敵。長期戦になれば、先にすり減るのは自分の方だ。


 パラディンが、鬱陶しい羽虫を排除するかのように戦術を変えた。

 琥珀の大剣を、自身の足元の地面へと深々と突き立てたのだ。


 ドドドドドドォォォッ!!


 直後、聖域全体の地面が波打ち、シャドウの足元から無数の鋭い『木の槍』が、間欠泉のように次々と突き出してきた。

 回避する場所すら奪う、回避不能の広範囲魔法攻撃(AoE)。


「くっ……!」


 シャドウは超人的なアクロバットと『影渡り』を駆使して乱れ飛ぶ槍の弾幕を躱し続ける。

 だが、休む間もない回避運動と、再生速度を上回る毒を生み出すために『呪われた血の魔力』の出力を上げ続けている代償が、確実に彼女の身体を蝕んでいた。


「ガハッ……! ゲホッ、ゴホッ……!」


 内臓が内側から業火で焼かれるような激痛。

 シャドウはついに耐えきれず、大量の血を吐き出して膝をついた。その僅かな隙を突き、一本の木の槍が彼女の脇腹を浅く抉る。


(……ここまで、か……。やはり、人間の身で……世界樹の守護者になど……)


 薄れゆく意識の中。

 痛みに歪む視界の奥に、スモッグに塗れた薄暗いテントで、苦しそうに息を吐く幼い弟の顔がフラッシュバックした。


『お姉ちゃん、おかえりなさい……』


(――だめだ)


 シャドウは血に塗れた唇を強く噛み破り、無理やり意識を覚醒させた。


(ここで私が倒れれば、ルカは……同胞たちは、帝国の道具として狂い死ぬだけだ……! 私は、まだ……死ねないッ!)


 彼女は悲壮な執念だけで立ち上がり、パラディンの巨体を鋭く睨み据える。


(あれだけ強烈な再生を行うなら、中枢となる『動力炉』が必ずあるはずだ。……見つけたぞ)


 パラディンがマナを吸い上げる度に、胸部の装甲の奥深くで強く明滅する『巨大な琥珀のコア』。

 あれを一撃で完全に砕けば、いくら世界樹と繋がっていようと再生は止まる。


 シャドウは、決死の特攻戦術に出た。


 彼女はあえて回避行動をやめ、振り下ろされる大剣の軌道上へと真っ直ぐに飛び出した。

 巨大な刃がシャドウの身体を両断しようと迫る、コンマ数秒前。


 ダンッ!!


 シャドウは『呪われた血』を両足に極限まで集中させ、爆発的な推進力を生み出した。

 大剣の刃を紙一重で見切ると、そのまま剣の側面を蹴りつけ、水平に構えられた巨大な腕の上を猛スピードで駆け上がっていく。


『――!?』


 迎撃のため、パラディンの肩口から無数の木の槍が射出される。

 シャドウは避けない。左肩を貫かれ、頬を切り裂かれながらも、血しぶきを引いて巨兵の胸元へと大跳躍した。


「腐り落ちろォォォッ!!」


 胸部の装甲にしがみついたシャドウは、残されたすべての『呪われた血の魔力』を両手のダガーに注ぎ込み、琥珀のコアに向かって渾身の力で突き立てた。


 ――ビキッ、ピキピキピキッ!!


 赤黒い呪いの猛毒が、コアの内部へと直接注入される。

 琥珀のコアがドス黒く変色したかと思うと、次の瞬間、内側から弾け飛ぶように粉々に砕け散った。


『ガ……ォ……ォォ……』


 動力炉を失ったパラディンの巨体が、痙攣するように震える。

 再生能力は完全に失われ、行き場をなくしたマナの蔦が枯れ落ち、巨木と蔓で構成された装甲がドロドロに腐敗していく。

 やがて、全高十メートルの巨兵は轟音と共に崩れ落ち、ただの枯れ木の残骸へと変わった。




 ◇ ◇ ◇




「はぁっ……はぁっ……」


 パラディンの残骸と共に地面に墜落したシャドウ。

 左肩からは血が止めどなく流れ、全身の骨が軋み、立っているのもやっとの満身創痍だった。生命力も魔力も底を尽き、命の灯火は今にも消えかけている。


 それでも彼女は、折れかけたダガーを引きずりながら、根本で震える小さな妹精霊・フィオへとゆっくり歩み寄った。


「ひぐっ……こないで……お兄ちゃぁん……っ!」


 涙をポロポロとこぼし、怯え切った表情で後ずさるフィオ。

 シャドウは虚ろな瞳でその姿を見下ろすと、懐から禍々しい『毒のプラント』を取り出し、フィオの胸元へ刃を高く振り上げた。


「これで……終わりだ」


 憎悪もない。ただただ、己の愛する者を護るための、悲しき暗殺者の凶刃。


 刃が振り下ろされ、フィオが絶望して目を瞑った――まさにその瞬間だった。




 ――ズドォォォォォンッ!!!!




 聖域の分厚い石壁が、凄まじい爆発音と共に木端微塵に吹き飛んだ。


 舞い散る土煙の中から、一筋の閃光が放たれる。

 それは、非致死性の制圧弾――ポンタの放ったラバーバレットだった。


「ガッ……!?」


 弾丸は寸分の狂いもなくシャドウのダガーに直撃し、強烈な衝撃で彼女の手から凶器を弾き飛ばす。


「ギリギリ間に合ったか……!!」


 崩れ落ちた壁の向こう側。

 土煙を払いながら、完全にブチギレた様子のポンタと、エリスたち『アカマル』の面々が、聖域へと乱入してきたのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


もし「面白い!」「続きが読みたい!」と思っていただけましたら、 ブックマーク登録や、広告下の【☆☆☆☆☆】から評価ポイントを入れていただけると嬉しいです!


執筆の励みになります!

↓↓【☆☆☆☆☆】評価お願いします↓↓

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ