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『元世界ランク1位、異世界で【浮遊砲台】になる。~手足のないダルマに転生しましたが、FPS視点の「魔弾」でヘッドショット余裕です~』  作者: 暁月カケル
世界樹防衛編 ――星の楔(くさび)と、世界を巡る特使たち――

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星くずの神殿と、千年の欺瞞

【第3章・世界樹防衛編、堂々開幕!】

★毎日「朝7時」更新中!★

舞台は王都から世界へ! ついに「ファストトラベル」と「新たなロマン重火器(RPG&対空ミサイル)」が解禁!

剣と魔法のファンタジー世界を、FPSのロジックで圧倒する痛快無双劇!

※第1章・第2章(王都編まで)完結済み。今からの「一気読み」も大歓迎です!


 エルフの防衛隊長に先導され、深い森をオーバーランド馬車で進むこと数時間。

 分厚い霧が晴れた先に現れたのは、巨大な樹木群と見事に調和した、息を呑むほどに美しいエルフの居住区だった。


「すげえ……ファンタジーの街そのものだな」


 運転席のポンタが、感嘆の声を漏らす。

 枝から枝へとかかる優美な吊り橋に、巨大な幹をくり抜いて作られた温かみのある家々。

 その街の目抜き通りを未知の鉄の箱(馬車)が進むと、通り沿いの窓や路地裏から、エルフの住人たちが次々と顔を覗かせた。


「ねえ見て! おっきな鉄の箱が動いてる!」

「人間の男の人だ! わぁ、猫耳の女の子もいるよ!」


 千年の鎖国ゆえに、外の世界を全く知らない純朴なエルフの子供たちが、目を輝かせて馬車を指差し、ぶんぶんと手を振ってくる。大人たちもまた、警戒や恐怖というよりは、無邪気な好奇心と好意的な眼差しをポンタたちに向けていた。


「えへへー、こんにちはなのー!」

「ワフッ!」


 助手席の窓から身を乗り出したニアが元気に手を振り返し、ハティも愛嬌たっぷりに鳴き声を上げる。

 街全体が、珍しい来訪者を歓迎するような温かい空気に包まれかけた――その時だった。


「……下がるのだ。穢れが移るぞ」


 先導していた防衛隊の兵士たちが、槍の石突きを地面に打ち鳴らし、冷酷な目で住人たちを鋭く睨みつけた。

 その一瞥と威圧的な声だけで、街の空気は一変した。

 親たちは弾かれたように怯えた顔になり、サッと子供の手を引いて家の中へと身を隠してしまう。そこには、明確な『権力への恐怖』があった。


「……なんだかなぁ」


 ポンタはハンドルの上で頬杖をつき、小さく息を吐いた。

 一般の住人たちは外の世界に対して無知で善良なだけだが、権力側に立つ兵士や上層部は、ポンタたちを明確に『汚物』として見下し、住人たちを恐怖と抑圧で統制している。


(国全体が美しい自然でコーティングされてるが、中身は完全に歪んだ支配構造じゃねえか。……なんか引っかかるぜ)


 ポンタの中で、この『エルフェリア』という国に対する不気味な違和感が、静かに膨らみ始めていた。




 ◇ ◇ ◇




 やがて馬車は、居住区のさらに奥――エルフの中枢である『星くずの神殿』へと到着した。

 そこでも出迎えた神官や近衛兵たちは、エリスの杖に宿るユーグ(精霊)に対しては深く平伏するものの、ポンタやエリス、ハーフドワーフのルルに対しては、やはり汚物を見るような露骨な嫌悪の視線を向けてきた。


 一行は神殿の最奥、天窓から神秘的な星の光が降り注ぐ巨大な『謁見の間』へと通された。


 一段高い場所に設けられた半円形の議席から、冷ややかな見下ろす視線が突き刺さる。

 彼らこそが、このエルフェリアの国政を牛耳る最高機関『元老院』の長老たちだった。エルフの恐るべき長命を思わせる、威厳と深い年輪を刻んだ顔つきの者たちが並んでいる。


「……事情は隊長から聞いた。人間どもめ、よくぞ我が神聖な森へ入り込んだものだ。精霊様が共におられなければ、生きてここを通すことはなかったと思え」


 中央に座る一際身なりの豪華な長老が、ポンタたちを虫けらのように見下して言い放った。


「そりゃどうも。挨拶もそこそこに本題に入らせてもらうが、俺たちはグランゼリア王国の全権特使として来た」


 ポンタは全く怯むことなく、長老たちを真っ直ぐに見据えて要求を突きつける。


 千年前の代償で、星の龍脈(マナの血管)が枯渇し始めていること。

 世界樹が内側から弱り、このままでは帝国に『邪神の封印の杭』を抜かれてしまうこと。

 そして、星を救うためにルルの母アストリッドが遺した『龍脈のバイパス手術』を成功させるには、エルフ族の秘術が必要不可欠であること。


 世界の危機を理路整然と語ったポンタだったが――元老院の長老たちは、まるで下等生物の戯言を聞いたかのように、鼻で笑った。


「ふん……。外界の穢れた地脈が枯れようと、我らには何の関係もないことだ」


 長老の一人が、退屈そうに顎を撫でる。


「我らには、この完璧な結界と、清浄な森のマナがある。外界の人間どもがどれほど滅びようと、このエルフェリアは永遠に安泰なのだよ。下等なドワーフの考えた野蛮な『手術』など、我らの神聖な樹に施す必要など微塵もないわ」


「ポンタ様……彼らは、世界がどうなっても自分たちさえ助かればいいと仰っているのですか……?」


 信じられないといった様子で、ミリーナが悲しげに呟く。

 エリスも強く杖を握り締め、彼らのあまりの傲慢さに言葉を失っていた。


「……ふーん。外界の穢れとは一切無関係、ね」


 ポンタは鼻で笑うと、かつて帝国領内で遭遇した恐るべき暗殺者の姿を思い出しながら、意図的に鋭いカマをかけた。


「じゃあ、帝国の犬になって汚れ仕事をしてる『ダークエルフ』ってのは何なんだ? あれだけ外界を拒絶しておいて、あいつらも元はあんたらの同胞なんじゃねえのか?」


 その瞬間、『ダークエルフ』という単語を聞いた元老院の長老たちの顔色が一変し、極度の不快感と嫌悪に眉をひそめた。


「下等な人間が、我らとあの汚らわしい輩を一緒にするなどと暴言を吐くか!」


 中央の長老が、バンッと肘掛けを叩いて激昂する。


「千年前、偉大なる英雄エルミナ様は世界を救われた。……だが、共に戦った一部の軟弱なエルフたちは、あろうことか邪神の瘴気に当てられ、醜く邪悪な『ダークエルフ』へと堕ちてしまったのだ」

「……」

「千年前、エルミナ様は彼らの堕落を深く嘆かれた。……ゆえに我らは、この神聖な森を穢さぬよう、彼らを帝国の荒野へと『正当に追放』したのだ! 我ら元老院こそが、エルミナ様の清らかな意志を継ぎ、千年に渡ってこの森の美しさを守り抜いてきたのだぞ!」


 誇らしげに語る長老の言葉。

 街の住人たちを無知なまま縛り付け、この世界で流布され、今のエルフたちが信じて疑わない『絶対の常識』。千年前から生きているこの長老たち自身が、かつて自分たちの手で同胞を追放したというのだ。


 しかし、その自慢話を聞きながら、ポンタは強烈な違和感を覚えていた。


(……おかしい。夢で見たあのアイゼンや、赤き賢者ジンが、そんな理不尽な身内の追放を許すはずがない)


 だが、ポンタはすぐにその違和感を脇に置き、ニヤリと挑発的な笑みを浮かべた。

 そして、腕を組んで長老たちを哀れむように見下ろした。


「へえ、お前ら随分とご立派な血筋と歴史をお持ちなんだな。……だが、その『完璧な結界の門』は、ドロドロに溶かされて、デカい馬車が余裕で通れるほどの穴が空いてたぜ?」


「なっ……!?」


 ポンタの言葉に、長老たちの顔色が一気に青ざめた。


「ば、馬鹿な! 千年の結界が破られるなど、あり得るはずがない!」

「嘘ではないぞ。この目で確かに、無惨に溶かされた門を見たからな」


 ヒルデが腕を組みながら、冷徹な事実を突きつける。


「あの赤黒い、強烈な憎悪を持った魔力……お前らが追放したって言う『ダークエルフ』の血じゃねえのか?」

「ヒッ……!?」

「千年間も平和ボケして、自分たちの足元すら見えてねえお前らに教えてやるよ。もうとっくに、最悪のバグ野郎(暗殺者)が、お前らの足元に潜り込んでるかもしれないぜ?」


 ポンタの痛烈な宣告に、謁見の間はたちまちパニックに陥った。

 長老たちが「防衛隊を! 早く最深部を確認しろ!」と泡を食って叫び声を上げ、近衛兵たちが慌ただしく動き出す。


「あーあ、こりゃ完全に手遅れだな」


 ポンタは右往左往する長老たちを鼻で笑いながら、いつでもインベントリからハンドガンを抜けるよう、油断なくスタンスを落としていた。


 ――その頃。

 元老院の喧騒から遠く離れた、星くずの神殿の地下深く。


 一切の日の光が届かない静寂の中を、ひとつの『影』が、音もなく滑り進んでいた。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


本日は7時の投稿が間に合わなかった為19:00にさせて頂きました。


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