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『元世界ランク1位、異世界で【浮遊砲台】になる。~手足のないダルマに転生しましたが、FPS視点の「魔弾」でヘッドショット余裕です~』  作者: 暁月カケル
世界樹防衛編 ――星の楔(くさび)と、世界を巡る特使たち――

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暴動鎮圧(ライオットコントロール)

【第3章・世界樹防衛編、堂々開幕!】

★毎日「朝7時」更新中!★

舞台は王都から世界へ! ついに「ファストトラベル」と「新たなロマン重火器(RPG&対空ミサイル)」が解禁!

剣と魔法のファンタジー世界を、FPSのロジックで圧倒する痛快無双劇!

※第1章・第2章(王都編まで)完結済み。今からの「一気読み」も大歓迎です!


 ドロドロに溶かされた大穴を恐る恐る抜け、分厚い霧の壁を越えたポンタたちは、目の前に広がった光景に思わず息を呑んだ。


「……すげえ。外の荒涼とした景色が嘘みたいだ」


 そこは、まさに『ファンタジー世界のエルフの森』と呼ぶにふさわしい、美しくも神秘的な別天地だった。

 天を衝くほどの巨大な樹木が立ち並び、葉の隙間から差し込む陽光が、宙を舞う金色のマナの粒子をキラキラと照らし出している。足元には見たこともない色鮮やかな花々が咲き乱れ、空気は肺の奥まで清められるように澄み切っていた。

 結界の外と内とで、完全に別の世界が形成されているのだ。


「きれいなところなのー! お花がいっぱい咲いてるのー!」

「クゥン、クゥン!」


 ニアが身を乗り出して目を輝かせ、ハティも尻尾を振って外の空気を嗅いでいる。

 だが、その美しい景色とは裏腹に、ポンタの表情は険しかった。


「確かに綺麗だが……あの溶かされた門から続くように、地面の草花が黒く枯れちまってる。先に侵入した得体の知れない野郎、よっぽど凶悪な魔力を垂れ流しながら進んだらしいな」

「ええ。この神聖な森の空気に、泥水を一滴垂らしたような……ひどく不快な魔力の残滓を感じます」


 エリスが眉をひそめ、聖樹の枝杖を握り直す。

 一行が警戒を強めながら馬車をゆっくりと進めようとした、まさにその時だった。


「ポンタさん、止まってくださいッ!!」


 助手席のミリーナが、悲鳴のような声で叫んだ。

 彼女のユニークスキル『地獄耳ラビットイヤー』が、森の奥から急速に接近してくる『音』を捉えていた。


「先ほどの機械的な拒絶の音とは違います! 激しい怒り、憎悪、そして一切の容赦のない『明確な殺意の音』が、ものすごい数とスピードでこちらへ向かってきます!」

「チッ、やっぱりお出まし……というか、早すぎるだろ!」


 ポンタが走鳥の手綱を引いて馬車を急停止させる。

 敵が姿を現すまでのコンマ数秒の間に、ポンタは脳内のAIと高速で情報交換を行っていた。


『ソフィア、敵の数と武装は!』

『前方および頭上より、高レベルの魔力反応が三十二。装備は軽鎧、主武装は弓。全員が高度な精霊魔法を矢にエンチャントしています。また、対象の感情パラメータは極度の「激怒」状態にあります』

『完全に俺たちを門の破壊犯だと思い込んでやがるな。……殺さずに制圧ライオットコントロールできるか?』

『推奨戦術を構築。非致死性兵器ラバーバレットおよび音響・閃光兵器の使用が、エルフの鋭敏な感覚器官に対して最も有効かつ安全な制圧手段と推測されます。対象の生存確率、99.8%』

『上等だ。特使として、平和的に挨拶してやろうぜ』


 ポンタが覚悟を決めた直後。

 バサバサッ! と、周囲の巨木の枝葉が激しく揺れ、数十の影がポンタたちを取り囲むように一斉に降り立った。


 それは、緑と銀を基調とした流線型の美しい軽鎧を身に纏った、エルフの精鋭防衛隊だった。

 だが、彼らの美しい顔には、鬼のような激怒の表情が張り付いている。全員がポンタたちの馬車に向け、魔力を帯びた鋭い矢をつがえていた。


「……貴様ら、よくも!!」


 部隊の先頭に立つ、一際装飾の細かい鎧を着たエルフの隊長が、血を吐くような声で怒鳴りつけた。

 その視線は、ポンタたちの背後――無惨に溶かされた国境の『大穴』へと向けられている。


「我らエルフェリアの誇りである神聖なる国境門を、あのようなおぞましい闇の魔法で穢すとは! 醜き人間どもめ、生かしてはおかん!!」

「おいおい待て待て! 誤解だ、俺たちが入ってきた時には既に門は溶かされてて――」

「問答無用! 結界を破壊した大罪人どもを、一人残らず射殺せよ!!」


 エルフの隊長は、ポンタの弁明など一文字たりとも聞く耳を持たなかった。

 彼らの立場からすれば当然の反応だろう。千年破られなかった門が破壊され、駆けつけてみれば、その穴の前に見慣れない鉄の箱(馬車)と人間たちが立っているのだ。完全に「門を破壊した実行犯」あるいは「仲間」だと誤解されている。


「だぁーっ! こういう『とりあえず話を聞かずに襲ってくる』のは、RPGのお約束だろうが!」


 ポンタは悪態をつきながら、仲間たちへ向けて怒号を飛ばす。

 ここで襲いかかってきたエルフたちをハンドガンや魔剣で殺してしまえば、グランゼリアの特使としての任務は完全に破綻し、エルフの国と永遠に敵対することになる。

 つまり、この場におけるポンタの勝利条件は『敵を殲滅すること』ではない。


「全員、絶対に相手を殺すな! 死傷者を一人でも出したら外交問題ゲームオーバーだ! これより、不殺の『暴動鎮圧ライオットコントロール』を開始する!!」


 ポンタの指示と共に、エルフたちの放った数十本の魔力矢が、雨あられと馬車へ向けて降り注いだ。


「馬車への攻撃は私が全て防ぎます! 『プロテクション』!!」


 エリスが杖を掲げ、馬車全体をすっぽりと覆う黄金の防御結界が展開される。

 鋭い矢が結界に弾かれて火花を散らす中、ポンタはインベントリから愛用のハンドガンを取り出しながら、弾倉マガジンを瞬時に切り替えた。

 実弾ではなく、殺傷能力を持たない硬質ゴム製の『非致死性弾ラバーバレット』。


「ヒルデ! 骨を折らない程度に無力化できるか!?」

「主どのの命とあらば! ……『地龍八極拳・柔の型』、いくぞ!」


 ヒルデが馬車のルーフからしなやかな動きで飛び降りる。

 そこへ、弓を捨てて双剣に持ち替えたエルフの前衛たちが、風のような超スピードで斬りかかってきた。常人であれば反応すらできない速度だ。


「ハァッ!!」

「遅い。……『流水』」


 だが、竜人族であるヒルデの動体視力の前では無意味だった。

 ヒルデはエルフの鋭い斬撃を紙一重で躱すと、相手の腕を絡め取り、遠心力を利用して地面へ叩きつける。さらに掌底で的確に鳩尾みぞおちを打ち抜き、気絶させていく。一切の流血を伴わない、見事な制圧術だ。


「ルル! 馬車を動かして相手の陣形を乱せ! ミリーナとエリス、ニアたちは絶対に馬車から出るなよ!」

「わ、わかった! 轢かないように威嚇するね!」


 ルルが二頭の走鳥の手綱を巧みに操り、馬車が巨大な図体を揺らしてエルフたちの周囲を土煙を上げながら旋回し始める。

 未知の鉄の塊が唸り声を上げて動き回る様に、エルフたちの陣形に僅かな動揺が走った。


「さて、エルフってのは聴覚と視覚が人間より遥かに鋭敏らしいな……。だったら、こいつの『デバフ効果』は絶大だろうぜ!」


 ポンタはニヤリと笑うと、インベントリから円筒形の特殊な手榴弾――『閃光音響手榴弾スタングレネード』を取り出した。

 ピンを抜き、エルフたちが最も密集している後方の弓兵部隊のド真ん中へと放り投げる。


「お前ら、目を閉じて耳を塞げッ!!」


 ポンタの指示に、ヒロインたちが咄嗟に身を屈める。

 コロコロと転がってきた奇妙な筒を、エルフの弓兵たちが怪訝な顔で見つめた直後。


 ――カァァァァァァァァァァァンッ!!!!!!


 森の静寂を切り裂く、鼓膜が破れるほどの170デシベルの爆音。

 そして、白昼の森すらも白飛びさせるほどの、数百万カンデラの強烈な閃光が炸裂した。


「ぎゃああああああああっ!?」

「目、目がぁッ! 耳がぁぁぁぁあああ!?」


 ポンタとソフィアの読みは完璧に的中した。

 研ぎ澄まされた鋭敏な五感を持つエルフたちにとって、現代兵器のスタングレネードによる視覚と聴覚への暴力的なオーバーロードは、人間が受けるそれとは比較にならないほどのダメージをもたらしたのだ。

 精鋭部隊の半数以上が、武器を取り落として地面にうずくまり、苦痛に悶絶する。


視界サイトと聴覚が潰れた相手の制圧なんて、的当てゲームより簡単だぜ!」


 ポンタはハンドガンを構えたまま、目と耳を押さえて混乱するエルフの集団へ向けて一気にダッシュした。

 至近距離からのCQC(近接戦闘)。

 パンッ! パンッ! と乾いた発砲音が連続して響く。

 放たれたラバーバレットは、エルフたちの太ももや肩、鳩尾などの急所を的確に打ち据え、一切の致命傷を与えることなく次々とその場に昏倒させていく。

 反撃しようと剣を振るう者には、銃のグリップや膝蹴りで物理的なスタン(気絶)を与え、完全に無力化していった。


 戦闘開始から、わずか数分。

 圧倒的な速度と連携、そして初見殺しの『非致死性兵器』の前に、エルフの精鋭防衛隊は誰一人として命を落とすことなく、全員が地面に這いつくばる結果となった。


「クソッ……! 悪魔め……殺せ……!」


 唯一、意識を保っていたエルフの隊長が、地面に膝をつきながらポンタを激しく睨みつける。そのプライドの高さゆえに、敗北の屈辱に唇を噛み締めていた。


「だから、俺たちはお前らの門を壊した悪魔(犯人)じゃねえっての。殺したきゃ最初から実弾を頭にぶち込んでる」


 ポンタはハンドガンの銃口を下げ、大きなため息をつきながら隊長を見下ろした。


「俺たちはグランゼリアの特使だ。お前らの門をあの汚え魔法で溶かして、今この森の奥へズカズカと入り込んでる本物の『悪魔』とは全くの無関係だ。むしろ、そいつの目的次第じゃあ俺たちにとっても放置できねえんだよ」

「戯言を! 貴様ら人間が持ち込んだ穢れ以外に、何があるというのだ!」


 意地を張る隊長。

 しかし、その頑なな態度は、馬車から降りてきたエリスの持つ杖が、淡く神秘的な光を放った瞬間に凍りついた。


「もうやめるんだ、エルフの森の守護者たちよ」


 杖から姿を現したのは、若枝の精霊ユーグ。

 その小さな体から放たれる、森の木々すらも平伏すような『至高のマナ』。世界樹の純粋な生命の波動に触れ、エルフの隊長の目が驚愕に見開かれる。


「せ、世界樹の……精霊様……!? ば、馬鹿な、なぜ人間と共に……!」

「彼らは僕の友達だよ。そして、このポンタの言う通りだ」


 ユーグは悲しそうな瞳で、森の奥――禍々しい魔力の残滓が続く方向を見つめた。


「あの門を溶かして侵入したのは、千年前の『エルミナ様の直系の血』を悪用した、とても恐ろしい影だ。君たちエルフの力じゃ、とうてい太刀打ちできない相手が、もうずっと森の奥へと向かっているんだよ」

「エルミナ様の、血……ッ!? そ、それでは……まさか……!」


 隊長の顔から、みるみるうちに血の気が引いていく。

 ようやくポンタたちが敵ではないこと、そして自分たちの国が、千年の歴史の中でかつてないほどの『最悪の脅威』に直面していることを悟ったのだ。


「俺たちの目的は、あくまで特使としてあんたらのトップ……元老院と世界樹の件で交渉することだ。だが、こんな得体の知れないバグ野郎に国を荒らされてちゃ、まともな話し合いもできねえだろ」


 ポンタはハンドガンをインベントリにしまい、ニヤリと笑って肩を鳴らした。


「特使からの『手土産』代わりに、その厄介な不法侵入者の駆除、俺たちが請け負ってやるよ。……元老院まで案内してもらうぜ、エルフの隊長さんよ」


 圧倒的な実力と不殺の姿勢、世界樹の精霊の証言、そして特使としての筋の通った提案。

 完全に発言権イニシアチブを握ったポンタたちは、エルフの防衛隊を水先案内人にし、謎の侵入者が向かったというエルフェリアの中心部へと歩を進めるのだった。


ここまで読んでいただきありがとうございます!


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