魔力同調(シンクロ)の壁と、規格外の乙女たち
【第3章・世界樹防衛編、堂々開幕!】
★毎日「朝7時」更新中!★
舞台は王都から世界へ! ついに「ファストトラベル」と「新たなロマン重火器(RPG&対空ミサイル)」が解禁!
剣と魔法のファンタジー世界を、FPSのロジックで圧倒する痛快無双劇!
※第1章・第2章(王都編まで)完結済み。今からの「一気読み」も大歓迎です!
地上の『鉄機平原』に築かれた簡易砦の広場。
そこには、前日に完成したばかりの四機のカスタマイズ・石巨人が並んでいた。
「よし、みんな。まずは基本操作の確認だ。機体の制御コアに意識を集中して、魔力をゆっくり流し込んでみてくれ」
俺はタイタンモードの『吉祥天ダルマ』のコクピットから、外部スピーカーを通じて三人に指示を出す。
「はい、ポンタさん……やってみます!」
「うむ、承知した。我が手足のように動いてくれると良いのだがな」
「……全神経を研ぎ澄ませます」
エリス、ヒルデ、ミリーナの三人が、それぞれの機体の中で魔力同調を開始する。
だが、その直後――。
「うっ……!? な、何ですか、この重さは……っ!」
「ぐぬぅ……まるで泥の中で巨大な岩を担いでいるような感覚だぞ……!」
「音が……情報の密度が、多すぎます……。頭が、割れそうで……」
三人の声が通信用魔導具を通じて苦しげに響く。
数メートルの巨体を動かすためにフィードバックされる膨大な情報の圧力に、彼女たちの感覚がパンクしかけていたのだ。
『マスター。各員の機体との同調率は現在12%。肉体で直接動かそうとする意識と、ゴーレムの魔力伝導の間にラグが生じているのが原因です。このままでは魔力酔いを引き起こす可能性があります』
脳内でソフィアが冷静に分析結果を告げる。
隣で見守っていたドワーフの操縦士たちが、「やっぱり素人には無理なんだ」「あのバリン様が徹夜で作った機体でも、乗り手がこれじゃあな」と小声で囁き合うのが聞こえた。
そんな停滞した空気を切り裂いたのは、快活な金属音だった。
「あはは! 何言ってるの、バリンもみんなも! こんなに素直で可愛い子たち、他にいないよ!」
見れば、一番右に並んだルルの『ヴァルカン・ストーン』が、まるでダンスでも踊るかのように滑らかに、その場でくるりと一回転してみせた。
「見て見て、師匠! この子の関節、ジイちゃんの調整よりもずっと遊びが少なくて最高だよ! 私の『機工の神髄』があれば、もう自分の体そのものだね!」
ルルだけは最初から水を得た魚のように、巨大な工作アームを自在に操り、連射式のグレネードランチャーをジャグリングでもしそうな勢いで振り回している。
天才技師の片鱗……いや、その本質をこれでもかと見せつけられ、ドワーフたちが「嘘だろ……」と絶句した。
「あはは! ルル、凄いねー! 頑張れー!」
砦の観覧席では、エリスの杖から離れたユーグが、ニアとハティの隣でピョンピョンと跳ねながら応援している。
「お姉ちゃんたち、すごいのー! がんばれー!」
「わふわふっ!」
ニアとハティの純粋な声援が平原に響く。
俺は三人の緊張を解くように、再びマイクを握った。
「みんな、ルルの動きを追おうとするな。無理に手足で動かそうとするから感覚がズレるんだ。機体を『自分の体』と思うんじゃなくて、『使い慣れた武器』の延長だと思え。エリスは杖、ヒルデは拳、ミリーナは耳だ。お前たちの得意な感覚に、機体の出力を預けるんだ」
「自分の……武器……」
「拳の……延長……」
俺のアドバイスと、ユーグたちの声援が届いたのか。
三人が大きく深呼吸をし、再び魔力を練り上げる。
(ソフィア、補助演算を最大に。彼女たちの特性に合わせてパラメータを最適化してくれ)
『了解しました。マスターへの絶対的な信頼をパスとし、魔力パスを再構築します。……同調率、一気に上昇。30……60……85%! 完全同調を確認しました』
次の瞬間、四機の石巨人の目がカッ! と眩く紅蓮の光を放った。
「……掴んだぞ。行くぞ、主どの!!」
ヒルデの『ヴァルキリー・ストーン』が、地響きを立てて一歩踏み出した。
彼女が機体を通して放ったのは、代々伝わる一子相伝の体術――『地龍八極拳』。
ズドォォォォォォンッ!!
凄まじい踏み込みと共に放たれた正拳突きが、大気を爆ぜさせた。
衝突の瞬間、目に見えるほどの衝撃波が円形に広がり、訓練用の標的として置いてあった巨大な岩山が、触れてもいないのに素振りの余波だけで木っ端微塵に粉砕された。
「なっ……なななっ……!?」
ドワーフたちの悲鳴が上がる。
「では、私も防壁のテストを……!」
エリスが巨大な石の大盾を地面に突き立てる。
次の瞬間、彼女の無限の魔力が機体を通じて一気に解放された。
ゴォォォォォォッ!!
現れたのは、半透明の黄金色に輝く超巨大な魔力障壁。
それは機体一点を守るためのものではなく、なんと背後にあった簡易砦の全域をすっぽりと覆い隠してしまうほどの、規格外のサイズにまで膨れ上がった。
「ま、魔力計が振り切れたぞ!? 砦全体をカバーするほどの結界を、ゴーレム一機で維持しているというのか!?」
「……捕捉しました」
間髪入れず、ミリーナの『アルテミス・ストーン』が動く。
彼女は数キロ先、視界にすら入らない雲の向こうを飛ぶ魔鳥の羽ばたきを、拡張された『地獄耳』で完璧に捉えていた。
二連装の超大型弩弓が唸りを上げ、放たれた鋼鉄の矢が、空を切り裂くレーザーのような弾道で魔鳥の羽だけを正確に撃ち抜いた。
「ひゃっほーい! 最後は私の番だね!」
ルルの『ヴァルカン・ストーン』が、背中のアームで六連装アルケミー・グレネードランチャーを構える。
ドドドドドドォォォン!!
連続して放たれた錬金爆弾が、平原の端に巨大な火柱を次々と立ち昇らせた。
爆煙が晴れた後には、ゴーレム数体が一瞬で吹き飛ぶほどの威力を物語る巨大なクレーターが並び、土煙が空を覆った。
静まり返る鉄機平原。
見学していたドワーフたちは、あまりの破壊力とデタラメな性能、そしてそれを操る乙女たちの「加減を知らない強さ」に完全に顎を外し、ブルブルと震え始めた。
「あ、あいつら……もしかして、帝国軍よりヤバいんじゃないか……?」
バリンがポツリと漏らしたその言葉に、その場にいた全員が心の中で激しく同意した。
(……確かに、これなら戦術もクソもなさそうだな)
コクピットの中で、俺は苦笑交じりに冷や汗を拭う。
だが、その確かな手応えに、俺は勝利を確信した。
「よし、テスト終了だ。あとは……実戦で暴れるだけだな」
いよいよ翌日に迫った帝国軍の侵攻。
規格外の『遊撃特種部隊』が、その初陣を飾る瞬間が近づいていた。
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