闇を裂く閃光と、地底のコンボイ防衛戦
【第3章・世界樹防衛編、堂々開幕!】
★毎日「朝7時」更新中!★
舞台は王都から世界へ! ついに「ファストトラベル」と「新たなロマン重火器(RPG&対空ミサイル)」が解禁!
剣と魔法のファンタジー世界を、FPSのロジックで圧倒する痛快無双劇!
※第1章・第2章(王都編まで)完結済み。今からの「一気読み」も大歓迎です!
巨大な鉄橋を渡りきった先で俺たちを待ち構えていたのは、山肌に不気味な口を開けた、巨大な坑道の入り口だった。
「あそこが……アイアンホルムへと続く、『旧第十三坑道』ね」
ルルが少し緊張した面持ちで、その暗がりを見つめる。
坑道の奥からは、カビと鉄錆の混じったような、冷たく湿った風が絶えず吹き抜けてくる。時刻はすでに夕暮れ時。朱色に染まった空が、入り口付近のゴツゴツとした岩の影をより一層濃く、禍々しく際立たせていた。
「ポンタお兄ちゃん、あの中に入るの?」
ニアが俺の服の裾をぎゅっと掴みながら、不安そうに見上げてくる。
「いや、今日はここまでだ。夜のダンジョン突入は、FPSでも基本中の基本として『NG』だからな。視界が極端に悪い中での夜戦はリスクが高すぎるし、何より橋の建設でみんな疲労が溜まっている。疲労はエイム(命中精度)や判断力を鈍らせるからな」
俺の判断に、ミリーナも深く頷いた。
「賢明な判断です。この坑道は長年放棄されていて、内部に生息する魔物も独自の進化を遂げて凶暴化している可能性があります。万全を期すべきです。」
俺たちは入り口付近の、風を凌げる比較的安全な岩陰に陣取り、一晩の野営をすることに決めた。
焚き火を囲んで温かいスープで腹を満たした後、交代で見張りに立ちつつ、翌朝の地下探索に向けて装備の最終チェックを行う。
静寂に包まれた夜。背後に広がる真っ暗な坑道の奥から、時折「カチカチ」「ズルリ……」という得体の知れない物音が反響して聞こえてくる。未知の地下世界が放つ特有のプレッシャーに、俺たちは静かに気を引き締めた。
◇ ◇ ◇
翌朝。
山の冷気を含んだ朝日が昇ると同時に、俺たちは『旧第十三坑道』へと足を踏み入れた。
馬車の車輪が、長年使われていない石畳の残骸をガタゴトと踏み鳴らす。最初は入り口から差し込む朝日で十メートル先ほどまでは見えていたが、奥へ進むにつれ、外光はあっさりと消え失せた。
まさに『漆黒』だった。
俺たちが要所を照らすために用意した松明の火さえも、周囲の深淵に吸い込まれるように弱々しく揺れている。分厚い岩盤に阻まれ、空気の流れも淀んでいるせいか、息苦しさすら感じるほどの濃密な闇だ。
「きゅう……っ」
ハティが不安げに鼻を鳴らし、ニアの足元に擦り寄る。それ以上に深刻だったのは、馬車を引く走鳥たちだった。
普段は屈強な彼らだが、あまりの漆黒に怯え、首を振って足並みがバラバラになり、ついにはその場に立ち止まってブルブルと震え始めてしまったのだ。
「よしよし、大丈夫なのー。怖くないのー」
ニアが走鳥の首筋を優しく撫でて必死に宥めるが、動物が本能的に抱く「見えない恐怖」はそう簡単には拭えない。
『マスター。現在の極端な視界不良は、パーティー全体の士気および生存率に深刻な影響を及ぼします。ストレージ内の現代照明機材を用いた「タクティカル・ライティング」の展開を進言します』
(ああ、その通りだなソフィア。この暗闇に、律儀に付き合ってやる必要はないな)
有能なAIの提案に内心で頷き、俺は振り返った。
「みんな、ちょっと待ってくれ。ここからは俺たちのルールで進むぞ」
俺はストレージにアクセスし、現代の資材を取り出した。工事現場や夜間作業で使われる「高輝度LED投光器」を四台、そしてそれらを長時間駆動させる大容量のポータブル電源だ。
「ルル、これを馬車の屋根の四隅に増設してくれ。角度は外側、少し下を向くように固定するんだ」
「了解! お安い御用だよ!」
ルルは俺から工具を受け取ると、手際よく投光器の固定と配線を完了させた。
「よし、配線完了だ。スイッチオン!」
俺がポータブル電源のメインスイッチを押し込んだ瞬間。
――バァァァアン!!
坑道の中に、小さな太陽が落ちたかのような爆発的な白光が迸った。
「うわぁっ、すっごい明るい!」
「師匠、これすごいよ! 魔石も使ってないのに、なんでこんなに光るの!? 中身どうなってるの!? ちょっと分解して開けてみてもいい!?」
「こらルル、工具をしまえ。壊したら元も子もないぞ」
目を輝かせて投光器に群がろうとするルルをたしなめつつ、周囲を見渡す。
数万ルーメンを誇る強力なLEDの光が、岩肌のひび割れ一つ一つまでをくまなく照らし出し、俺たちの周囲十数メートルは、完全に「真昼の屋外」と同じレベルの明るさになっていた。松明の比ではない。この圧倒的な光量そのものが、暗闇のダンジョンにおける最強のチートだ。
「ポンタお兄ちゃん、お外のお昼と変わらないのー!」
「わふわふっ!」
ニアとハティが嬉しそうにはしゃぎ回る。視界が完全に開けたことで、先ほどまで怯えていた走鳥たちも「ルルルッ!」と安心したように鳴き声を上げ、パニックを収めていた。
「主どの、これは凄まじい魔導具……いや、主どのの叡智ですな。我が地龍の目をもってしても、眩しいほどだ」
「ええ、本当に……。これなら足元もはっきり見えますし、安心して進めますね」
ヒルデとエリスも、圧倒的な明るさに感嘆の声を漏らす。
和やかな空気が戻りかけた、その時だった。
強烈すぎる光は同時に、長年この暗がりに潜み続けてきた「招かれざる客」たちを容赦なく炙り出すことになった。
キィィィィィィッ!!
ギュルルルルッ!!
壁面の亀裂や天井の隙間から、ゾワゾワと無数の蠢く影が現れる。
光に驚き、そして住処を荒らされたことに激怒した地底コウモリや、巨大で硬い甲殻を持ち、無数の脚をカサカサと蠢かせる多足の魔物『シャドウ・クロウラー』たちが、悲鳴を上げながら次々と這い出してきたのだ。
「ひっ!? む、虫!? いやぁぁぁぁっ!!」
先ほどまで優雅に微笑んでいたミリーナが、顔面を蒼白にして絶叫する。
「わたしも……アレはあまり、近づいてほしくないです……!」
エリスも青ざめた顔で杖を握りしめ、身震いした。
「落ち着け、大丈夫だ、だが奴らを近づかせたら厄介だ! あの大群に囲まれたら馬車が立ち往生するからな!」
俺は即座にライフルを構え、迎撃の陣形を指示した。
「ここからは馬車を走らせながらの機動迎撃戦に移行するぞ! エリス、走鳥の手綱は任せた! 全速力で駆け抜けろ!」
「は、はいっ!」
「ミリーナは『風の矢』で後続と天井を狙え! ルルは『六連装錬金擲弾筒』で群れの中心を吹き飛ばして面制圧だ! 俺もアサルトライフルの連射で弾幕を張る!」
「了解だよ、師匠! 派手にいくよー!」
「ヒルデは馬車の側面に張り付いて、俺たちの弾幕を躱して近づいてきた奴を叩き落としてくれ!」
「承知した! 一匹たりともこの防陣は抜けさせぬ!」
全員の配置が完了したのを確認し、俺は叫んだ。
「エリス、走らせろ!!」
「行きますよ、二人とも! お願い、走って!」
的確な指示のもと、パーティーの面々は一斉に動き始めた。
エリスが手綱を振るうと、走鳥たちが力強い脚力で地底の石畳を蹴り上げ、馬車が一気に加速する。風を切り裂きながら走る光の移動要塞の背後から、怒り狂った虫とコウモリの津波が押し寄せてきた。
「ひぃぃっ! こっち来ないでください! 『ウィンドアロー(風の矢)』!」
虫嫌いのミリーナが、半ばパニックになりながらもルナ一族の『共鳴・超聴覚』で敵の殺意を正確に読み取り、神業的な連射速度で不可視の矢を放つ。空中のコウモリたちが次々と撃ち落とされていく。
「ルルの特製グレネード、喰らえーっ!」
ドンッ! ドンッ! と、重低音が坑道に響く。
ルルが放った魔力圧縮榴弾が群れの中心に着弾し、凄まじい爆炎と共に無数のシャドウ・クロウラーを宙へと吹き飛ばした。
「側面と後方は任せろ!」
俺は荷台に膝をつき、アサルトライフルをフルオートで乱射する。
ダダダダダダッ!!
リコイルコントロールを完璧にこなし、高圧縮された魔弾の光で弾幕の壁を形成して群れの進行を物理的に阻む。薬莢が落ちる音も硝煙もない代わりに、青白い魔力の残滓がバチバチと弾け、魔力特有のオゾンのような匂いが坑道のカビ臭さを上書きしていった。
「させぬわ! 『崩』ッ!!」
弾幕を抜けて馬車の車輪に取り付こうとした巨大な虫を、並走するように側面に張り付いたヒルデが、変形ガントレットに込めた龍気で装甲ごと粉砕する。
「わうっ! わうわうっ!」
「みんな、がんばれー!」
馬車の中央では、ニアとハティが荷物を守りながら力強く声援を送っていた。
現代兵器の重火器と異世界の魔法・武術が完璧に噛み合った、超高速の迎撃戦。地底の暗黒など物ともしない、ド派手で圧倒的な蹂躙だ。
激しいチェイスを繰り広げながら進むこと、数十分。
次第に魔物の数も減り、群れを完全に振り切った俺たちの馬車は、一本道のトンネルを抜け、少し開けた巨大な円形の空洞へと躍り出た。
「エリス、ストップ! もう大丈夫だ!」
俺の合図で馬車が速度を落とし、ゆっくりと停止する。
「ふぅ……はぁ……ようやく、終わりました?」
ミリーナが息を乱しながら弓を下ろし、その場にへたり込んだ。
周囲に敵意の音が無いことを確認し、俺が銃のセーフティをかけようとした、その時。
馬車の前方から放たれるLEDの光が、その空間の「異様」を鮮明に照らし出した。
「……何ですか、これ。道が完全に塞がっています……」
再び立ち上がったミリーナが、その大きさに震える声で呟く。
ライトが真っ直ぐに照らし出した前方の通路は、先ほどまでのゴツゴツとした岩肌とは全く異なっていた。
粘着質で不気味な「白い糸」が、壁から天井、地面までを網の目のようにびっしりと厚く覆い尽くし、奥へと続く巨大な繭のトンネルを形成している。
その分厚い封鎖線の奥から――カチカチ、カチカチカチ……と、無数の鋭い脚が節打つ不気味な音が、反響となって俺たちの鼓膜をじわじわと震わせた。
(……なるほど。地底の虫の巣窟か。だったら次は、『汚物消毒』の出番ってわけだな)
俺はストレージの中にある、虫の駆除には最適にして最凶のとある『物騒な兵器(火炎放射器)』を思い浮かべながら、ニヤリと不敵に笑った。
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