獣王の驚愕と、繋がる世界
【第3章・世界樹防衛編、堂々開幕!】
★毎日「朝7時」更新中!★
舞台は王都から世界へ! ついに「ファストトラベル」と「新たなロマン重火器(RPG&対空ミサイル)」が解禁!
剣と魔法のファンタジー世界を、FPSのロジックで圧倒する痛快無双劇!
※第1章・第2章(王都編まで)完結済み。今からの「一気読み」も大歓迎です!
聖域での賑やかな打ち上げを終え、俺たち『アカマル』一行は、獣王都へと帰還の途についていた。
行きとは打って変わり、帰り道の空気は驚くほど穏やかだった。案内役を務めた特務武闘団『荒ぶる牙』の面々は、俺たち人間に対する警戒心を完全に解き、戦友としての深い敬意を向けてきている。
「ポンタ殿。足元が少し悪くなっている、気をつけてくれ」とザンバが先導し、
「それにしても、生きて精霊ココル様と神獣様をこの目で見られるとはな……」とヒグマのゴルドが感嘆の息を漏らす。
「あんなに小さくて可愛いニアちゃんが、神獣様から御霊を授かるなんて……まるでお伽話を見てるみたいだぜ」とイノシシのボルドが目を丸くし、
「ええ。ポンタ様たちのお力と、ニア様の奇跡……あの光景は一生忘れません」と黒豹のシアンが恭しく頭を下げる。
上空からはフクロウのフーゴが「周囲に異常なしだぜ、ミリーナちゃん!」とウィンクを飛ばしてきた。
かつては人間を激しく憎んでいた彼らが、今や種族の壁を越えて語り合っている。その平和な道行きの中心には、ニアの足元にじゃれつく銀色の仔狼――神獣フェンリルの『分け御霊』が、新しいアイドルのように収まっていた。
◇ ◇ ◇
獣王都の城へ到着した俺たちは、真っ直ぐに玉座の間へと通された。
豪奢な玉座には獣王ガロン・レオンハートが腰を下ろし、その傍らには見知った顔があった。
「ああっ! ポンタさんたち!」
ウサギの獣人の少女、キャロだ。彼女は俺たちの顔を見るなり、ぴょんぴょん飛び跳ねて身振り手振りで興奮を伝え始めた。
「闘技場の試合、ぜーんぶ見てたよ! ポンタさんたち、ドカーンってなったり、ババーンってなったり、すっごくかっこよくて、わたし感動しちゃった!」
「ははっ、そりゃよかった。……ゲンゾウの爺さんも、元気そうだな」
俺が視線を向けると、忍びの里の長老ゲンゾウが垂れた耳を揺らしてニカッと笑った。彼が玉座のすぐ傍らに立っているという事実が、彼こそが獣王国の裏の諜報機関のトップであることを物語っていた。
「フォッフォッ。大した活躍じゃったのう。ワシも鼻が高いわい」
ゲンゾウの労いの言葉に頷きつつ、俺は居住まいを正し、全権特使としてのフォーマルな口調で獣王ガロンに向き直った。
「――ご報告いたします、ガロン王。当初はご挨拶に伺う予定でしたが、聖域にて極めて発見しにくいガレリア帝国によるマナの侵食攻撃を確認いたしました。一時は根が侵され非常に危険な状態にありましたが、エリスの尽力とニアの働きにより、見えざる毒は完全に浄化されました。精霊ココル様もご無事で、神獣フェンリル様とも確かな盟約を結んでまいりました」
俺の報告を聞き終えると、ガロンはゆっくりと立ち上がり、玉座の階段を下りて俺たちの前までやってきた。そして、獣人族を代表し、深々と頭を下げたのだ。
「グランゼリア王国全権特使『アカマル』の皆様。そなたらの尽力により、我らが母なる大樹は救われた。心よりの感謝と敬意を表する」
王の最敬礼に、重鎮たちも一斉に膝をつく。顔を上げたガロンは、ひどく柔らかな笑顔を向けた。
「ポンタ殿。我らはすでに国を救い、心を通わせた戦友だ。どうかそのような堅苦しい敬語は捨ててくれ。良き友人として、いつもの気さくな口調で話してはくれまいか?」
「……王様がそう言ってくれるなら、お言葉に甘えさせてもらうぜ。こっちの方が性に合ってるからな」
「うむ! これからは人間と獣人が手を取り合って、世界樹を守っていくのだ!」
ガロンが誇り高く笑う。だが直後、彼の視線が、背後で仔狼と楽しそうに戯れているニアでピタリと止まった。
「……うむ? その可愛らしい仔狼は、道中で拾ったのか?」
ガロンの疑問に、ザンバが進み出て冷や汗を流しながら報告する。
「ガロン王、その仔狼は……神獣フェンリル様がニア殿に心を開き、自ら切り離された『分け御霊』でございます。つまり、ニア殿は伝説の『奇跡のテイマー』の……」
「し、神獣様の……御霊ッ!?」
ガロンは目ん玉を飛び出させ、後ずさって玉座の階段で思い切り尻餅をついた。周囲の重鎮たちも大パニックになり、あわやニアに向かって拝み出しそうな勢いだ。
「きぅん?」
「ライオンのおじさん、ころんじゃったのー?」
キョトンとするニアと仔狼。そのあまりの温度差に、俺たちは思わず吹き出してしまう。
「はははっ! まあ、そんなに畏まらなくていいって。……そういや、まだ名前を決めてなかったな。何か……」
俺が言いかけるより早く、ニアが仔狼を抱き上げ、満面の笑みで宣言した。
「ハティ! この子の名前は、ハティなのー!」
「わうっ!」
俺は目を丸くした。
「またすぐ決まったな。ニア、前から考えてたのか?」
「ううん、今あたまに、ぽわわーって浮かんだのー!」
無邪気に笑うニア。しかしザンバはワナワナと震え出した。
「ハティ……。我が国の古き神話に伝わる、月を追いかける狼の名……。何も知らぬまま、その名を冠するとは……」
『マスター。ニア個人の脳内語彙データに当該神話の記録が存在する確率は0.0001%以下です。無意識下における高位存在との概念的同調、あるいは真なる【テイマーの直感】であると推測されます』
(……マジで奇跡のテイマーじゃねえか)
◇ ◇ ◇
すっかり威厳が吹き飛んだガロン王をなだめ、俺たちは王都の中央にある広大な館を提供された。これよりあの場所は『アカマル獣王国支店』となる。俺たちは館の奥、警備の厳重な部屋に立ち入り、床に魔力で陣を描き始めた。
「よし、座標の固定は完了。それじゃあガロン王、ザンバ、キャロとゲンゾウ爺さんも。色々と世話になったな」
見送りに来た彼らは寂しそうに頷いた。
「もう出発されるのか。まだ宴の準備も……」
「宴は昨日、遺跡で散々やったからな。気持ちだけ受け取っておくよ。全権特使として、一度グランゼリアの国王に報告してこないといけないんだ」
俺が軽口を叩きながら準備を終えると、ザンバが名残惜しそうに言った。
「そうか……。またいつでも来てくれ」
「ああ。じゃ、行ってきまーす。2、3日で戻ってくるわ」
「ははは、ポンタ殿は冗談がお好きだ。王都までは一ヶ月はかかる距離ですぞ?」
ガロンが笑い飛ばそうとした、その瞬間。
『空間転移シークエンス開始。座標、固定完了』
ソフィアのシステム音声と共に、俺たちを眩い光の柱が包み込んだ。獣王国のトップたちが呆然と目を見開く中、俺たちは一瞬にして世界を跳躍し、遥か彼方のグランゼリア王国へと転移を果たしたのだった。
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